平成 18 年3月
神奈川県立総合教育センター
神奈川県
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は じ め に

今、各学校では、LD、AD/HD、高機能自閉症の子どもを含め、自らの力
では解決することが難しい課題(教育的ニーズ)を持つ子どもに対して、一人
ひとりに応じた適切な支援をしていくことが求められています。
この求めに応じて、文部科学省では、これまでの「特殊教育」から「特別支
援教育」へと視点の転換を図り、平成 16 年1月『小・中学校におけるLD(学
習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教
育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)』を作成し、小・中学校におい
て、LD、AD/HD、高機能自閉症の児童・生徒への支援体制を整備するため
の具体的な方法等を示しました。
神奈川県では、すでに、平成 14 年3月、「これからの支援教育の在り方協議
会」によりまとめられた『これからの支援教育の在り方』に基づき、すべての
子どもたちを対象とした「支援教育」を推進しています。「支援教育」とは、「特
別支援教育」の考え方をさらに一歩進め、障害のあるなしにかかわらず、一人
ひとりの子どもが抱えている悩みや課題を教育的ニーズとして捉え、その子に
応じた働きかけを行っていこうとするものです。こうした神奈川の「支援教育」
の考え方に基づき、県内の各学校においても、支援が必要な子どもの理解と校
内支援体制の構築や地域・関係機関とのネットワークづくりが着実に進められ
てきております。
「支援教育」の推進のために、当センターでは、平成 16年1月に『LD、
AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のためのティーチャーズ・ガイド』を、
平成 17 年3月に『ティーチャーズ・ガイドU チームで取り組む日々の実践と
不登校への対応』を刊行しました。これらのティーチャーズ・ガイドは、支援
を必要とする子どもへの理解と支援のために広く活用されてきました。
そして、今回、『LD、AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のためのティー
チャーズ・ガイド(改訂版)』を作成し、学校がより充実した支援体制を整備し
ていく際の参考となるよう、また、高等学校の事例を加えることにより、さら
に多くの教職員が活用できるようにいたしました。より一層の「支援教育」の
推進を目指し、本ガイドブックを、LD、AD/HD、高機能自閉症の子どもに
ついての理解と適切な支援及び学校内外のチームワークづくりやネットワーク
づくりに御活用ください。

平成 18 年3月
神奈川県立総合教育センター
所 長 清 水 進 一
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はじめに
1 支援を必要とする子どもたち ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1) 特別支援教育とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(2) 小・中学校における支援体制の整備について ・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(3) 特別支援教育を推進するための制度の在り方について ・・・・・・・・・・・・ 5
(4) 神奈川の支援教育とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

2 LD、AD/HD、高機能自閉症の理解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

(1) LDとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(2) LDの校内における実態把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(3) AD/HDとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(4) AD/HDの特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
(5) 高機能自閉症とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
(6) 高機能自閉症の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
(7) AD/HD、高機能自閉症の気付きの観点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
(8) AD/HD、高機能自閉症の指導における配慮 ・・・・・・・・・・・・・・・ 19
(9) LD、AD/HD、高機能自閉症の関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

3 LD、AD/HD、高機能自閉症への対応の事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

(1) 校内で協力して支援に当たった事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(小1ハルミさんの場合)

(2) 家庭との協力関係を築き、支援に当たった事例 ・・・・・・・・・・・・・・・ 25
(小3ナツオさんの場合)

(3) 教育相談コーディネーターに相談して支援に当たった事例 ・・・・・・・・・・ 30
(小4ユウジさんの場合)

(4) 学習スタイルを把握して支援に当たった事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
(小5イチロウさんの場合)
目 次
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(5) 「みんなで支援」を目指した学級づくりをした事例 ・・・・・・・・・・・・・ 36
(中1フユコさんの場合)

(6) 外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例 ・・・・・・・・・・・ 39
(中2ゴロウさんの場合)

(7) 校内でマニュアルを作成して支援を行った事例 ・・・・・・・・・・・・・・・ 42
(高1アキオさんの場合)

(8) 教育相談機関と連携して支援を行った事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
(高2ナナコさんの場合)

4 校内支援体制づくりに向けた取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
(1) 学校全体での取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
(2) 通常の学級における配慮と指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(3) インクルーシブな学級づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
(4) 教室環境の工夫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
(5) 校長の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
(6) 教育相談コーディネーターの役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
(7) 養護教諭の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
(8) 校内委員会の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56
(9) ケース会議の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
(10) 校内研修会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
(11) チームによる支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
(12) 交換授業・少人数指導の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
(13) リソースルームでの支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
(14) 特殊学級との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
(15) 通級指導教室での支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
(16) 児童・生徒指導体制との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
(17) 支援メニューの充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
(18) 保護者に対する支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
(19) 保育園、幼稚園、小・中・高等学校との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
(20) 外部専門機関との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72
(21) 個別の支援計画について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74
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5 資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
気づきシートT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
気づきシートU ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
学習達成基準(国語) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
学習達成基準(算数) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
支援シートT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84
支援シートU ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85
引用・参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86

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1
1 支援を必要とする子どもたち

支援を必要とする子どもはどのクラスにもいる

通常の学級には、学習に困難のある子ども、行動の自己コントロールが難しい子ども、
対人関係や社会的関係に問題を持ちやすい子ども等、自らの力だけでは解決が難しいさま
ざまな悩みや課題を持った子どもがいます。その中には、学習障害(LD)、注意欠陥/多動
性障害(AD/HD)、高機能自閉症の子どもが含まれています。
学習障害児については、平成 11 年7月に文部科学省(当時文部省)から出された「学習
障害児に対する指導について(報告)」において、その対応の枠組みが示されました。また、
平成 13 年1月に 21 世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議によりまとめら
れた「21 世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」においては、『学習障害児、注意
欠陥/多動性障害(ADHD)児、高機能自閉症児等への教育的対応』という項が設けられ、
対応すべき対象が学習障害(LD)に限らず、さらに広げて捉えられました。
また、平成 15 年3月に文部科学省でとりまとめられた「今後の特別支援教育の在り方に
ついて(最終報告)」では、従来の特殊教育の対象となる障害に加え、LD、AD/HD、高
機能自閉症を含めて障害のある子どもの自立や社会参加に向けて、生活や学習上の困難を
改善又は克服するために、一人ひとりの教育的ニーズを把握して、適切な支援を行い、そ
の持てる力を高める特別支援教育の方向性が明確に示されました。
さらに、神奈川県においても、平成 14 年3月にとりまとめられた「これからの支援教育
の在り方(報告)」を基本として、障害のある子どもを含め、すべての子ども一人ひとり
が持つ独自の課題を「教育的ニーズ」として捉え、それぞれの子どもに応じた働き掛けを
する「支援教育」の取組を進めています。

支援を必要とする子どもに対して、適切な対応を進
めていくためには、学習に特異な困難を持っているの
か、行動に気になることがあるのか、その双方なのか
ということを明確にした上で、適切な支援を行ってい
くことが大切です。それは、医学的な診断を性急に求
めるということではなく、一人ひとりのニーズを的確
に把握し、必要な支援を展開していくことです。
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2
特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高
機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の
教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服
するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである。

(1)特別支援教育とは

21 世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)
平成 13 年1月、文部科学省(当時文部省)に設置された 21 世紀の特殊教育の在り方に
関する調査研究協力者会議が、「21 世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)〜一人一
人のニーズに応じた特別な支援の在り方について〜」をとりまとめました。
最終報告では、『小・中学校等の通常の学級に在籍する学習障害児や注意欠陥/多動性障害
(ADHD)児、高機能自閉症児等特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に対しても
積極的に対応していく必要がある。』ことが提言されました。
そして、文部科学省への再編に際し、「特殊教育課」が「特別支援教育課」に変更され、
特別支援教育課は、盲・ろう・養護学校及び特殊学級における教育に加え、学習障害児や
注意欠陥/多動性障害児等通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする子どもへの
対応も積極的に行うこととしています。

今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)
平成 15 年3月、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議が、「今後の特別支
援教育の在り方について(最終報告)」をとりまとめました。この最終報告では、LD、
AD/HD、高機能自閉症により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする子どもが、
(医師等の診断を経たものではないので、直ちにこれらを障害と判断することはできない
ものの)6%程度の割合で通常の学級に在籍している可能性があること、これらの子ども
たちに対する教育的支援を適切に行うことは緊急かつ重要な課題であることが示されまし
た。
そして、今後の基本的方向として、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教
育」から、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う
「特別支援教育」への転換を図ることとしました。つまり、特別支援教育とは次のような
教育であると定義されています。






平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」より

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3
特別支援教育の在り方の基本的考え方
@「個別の教育支援計画」(多様なニーズに適切に対応する仕組み)
障害のある子どもを生涯にわたって支援する観点から、一人一人のニーズを
把握して、関係者・機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うために、
教育上の指導や支援を内容とする「個別の教育支援計画」の策定、実施、評価
(「Plan-Do-See」のプロセス)が重要。
A特別支援教育コーディネーター(教育的支援を行う人・機関と連絡調整をするキーパーソン)
学内、または、福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるい
は、保護者に対する学校の窓口の役割を担う者を学校に置くことにより、教育
的支援を行う人、機関との連携協力の強化が重要。
B広域特別支援連携協議会等(質の高い教育支援を支えるネットワーク)
地域における総合的な教育的支援のために有効な教育、福祉、医療等の関係
機関の連携協力を確保するための仕組みで、都道府県行政レベルで部局横断型
の組織を設け、各地域の連携協力体制を支援すること等が考えられる。

特別支援教育を推進する上での学校の在り方
@盲・聾・養護学校から特別支援学校へ
障害の重複化や多様化を踏まえ、障害種にとらわれない学校設置を制度上可
能にするとともに、地域において小・中学校等に対する教育上の支援(教員、
保護者に対する相談支援など)をこれまで以上に重視し、地域の特別支援教育
のセンター的役割を担う学校として「特別支援学校(仮称)」の制度に改めるこ
とについて、法律改正を含めた具体的な検討が必要。
A小・中学校における特殊学級から学校としての全体的・総合的な対応へ
LD、ADHD等を含めすべての障害のある子どもについて教育的支援の目
標や基本的な内容等からなる「個別の教育支援計画」を策定すること、すべて
の学校に特別支援教育コーディネーターを置くことの必要性とともに、特殊学
級や通級による指導の制度を、通常の学級に在籍した上での必要な時間のみ「特
別支援教室(仮称)」の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化
するための具体的な検討が必要。


また、特別支援教育の在り方の基本的な考え方、特別支援教育を推進する上での学校の
在り方として、次のような提言がなされました。



































平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)の概要」より

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4

(2)小・中学校における支援体制の整備について

これらを受けて、文部科学省は、平成 16 年1月に、「小・中学校におけるLD(学習障
害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の
整備のためのガイドライン(試案)」をとりまとめました。
このガイドラインでは、各都道府県・各市町村の教育委員会や特殊教育センター等の担
当者、各小・中学校の校長・特別支援教育コーディネーター・教員、専門家チームの構成
員や巡回相談員、保護者や本人が参考として活用し、総合的な支援体制の整備を進めてい
くための内容が示されています。@概要(導入)、A教育行政担当者用(都道府県・市町
村教育委員会等)、B学校用(校長用、特別支援教育コーディネーター用、教員用)、C
専門家用(巡回相談員用、専門家チーム用)、D保護者・本人用、の5部で構成されてい
ます。
学校用(小・中学校)の内容は、次の通りです。

校長用
・ 特別支援教育を視野に入れた学校経営
・ 校内委員会の設置
・ 特別支援教育コーディネーターの指名と校務分掌への位置付け
・ 校内の教職員の理解推進と専門性の向上
・ 保護者との連携の推進
・ 専門機関との連携調整の推進
特別支援教育コーディネーター用
・ 校内の関係者や関係機関との連絡調整
・ 保護者に対する相談窓口
・ 担任への支援
・ 巡回相談や専門家チームとの連携
・ 校内委員会での推進役
教員用
・ 気付きと理解
・ 個別の指導計画の活用
・ 支援の実際(学級担任や教科担任としての配慮や支援)
・ 支援の実際(担任の配慮や支援を支える仕組み)
・ 保護者との連携
・ 通級指導教室及び特殊学級の担当者の役割




平成16年1月 文部科学省「小・中学校におけるLD(学習障害)、
ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育
支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」より
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(3)特別支援教育を推進するための制度の在り方について

中央教育審議会は、初等中等教育分科会に特別支援教育特別委員会を設置(平成 16 年2
月)し、特別支援教育を一層推進すべきであるとの認識の基、学校制度等の在り方につい
て検討を重ね、平成 17 年 12 月、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について
(答申)」をとりまとめました。
この答申は、特別支援教育を推進するための制度の見直しについて、次のような方向を
提言しています。


盲・聾・養護学校制度の見直しについて
・ 幼児児童生徒の障害の重度・重複化に対応し、一人一人の教育的ニーズに
応じて適切な指導及び必要な支援を行うことができるよう、盲・聾・養護
学校を、障害種別を超えた学校制度(「特別支援学校(仮称)」)に転換。
・ 「特別支援学校(仮称)」の機能として、小・中学校等に対する支援を行
う地域の特別支援教育のセンターとしての機能を明確に位置付ける。
小・中学校における制度的見直しについて
・ 通級による指導の指導時間数及び対象となる障害種を弾力化し、LD(学
習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)を新たに対象とする。
・ 特殊学級と通常の学級における交流及び共同学習を促進するとともに、特
殊学級担当教員の活用によるLD、ADHD等の児童生徒への支援を行う
など、特殊学級の弾力的な運用を進める。
・ 「特別支援教室(仮称)」の構想については、研究開発学校やモデル校など
を活用し、特殊学級が有する機能の維持、教職員配置との関連や教員の専
門性の向上等の課題に留意しつつ、その法令上の位置付けの明確化等につ
いて、上記の取組の実施状況も踏まえ、今後検討。

(注)「特別支援教室(仮称)」とは、LD・ADHD・高機能自閉症等も含め障
害のある児童生徒が通常の学級在籍した上で、一人一人の障害に応じた特別
な指導を必要な時間のみ特別の場で行う形態。



平成 17 年 12 月 中央教育審議会「特別支援教育を推進するた
めの制度の在り方について(答申)の概要」より
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(4)神奈川の支援教育とは

神奈川県においては、平成 14 年3月に、これからの支援教育の在り方検討協議会で
まとめた「これからの支援教育の在り方(報告)」を基本として、障害のある子どもを
含め、すべての子ども一人ひとりが持つ独自の課題をその子どもの「教育的ニーズ」と
して捉え、その子どもに応じた働きかけをする「支援教育」の取組を進めています。

支援教育とは
・ すべての子どもはそれぞれの課題を抱えており、課題解決に向けての働き掛
けを必要としている
・ この課題(教育的ニーズ)に対して働きかけていくために、一人ひとりをき
め細かく見ていく観点や担任がかかえこむことなく全校で協力して支援する
システムを学校教育の中に構築することが必要である
・ 障害児教育の延長ではない
支援教育の対象
・ すべての子どもたちが対象
・ 優先的に取り組む対象として自らの力で解決することが困難な課題を抱えて
いる子どもたち(例えば、従来からの障害、学習障害、注意欠陥/多動性障害、
高機能自閉症、軽度の病弱等の障害児教育と通常教育の狭間にいる子どもた
ち及び心理的な原因による不登校、集団への適応が苦手な子どもや対人関係
のきわめて苦手な子どもたちなど)
支援教育の場
○ 小・中学校、高等学校での支援
・ 課題をもつ子どもの教育的ニーズの把握、指導計画作成など、教員チームと
しての係わりや、担任を支える全校の協力体制を確立すること
・ ティームティーチングの拡大、交換授業の実施、教育ボランティアの活用、
教育委員会による巡回指導等による支援体制の整備を行うこと
○ リソースルーム、カウンセリングルームでの支援
・ 通常の学級に在籍する支援を必要とする子どもの効果的な取り出し指導を推
進すること
○ 通級指導教室での支援
・ リソースルームへの移行と併せて総合的な通級指導教室の展望を図ること
○ その他の場での支援−特殊学級
・ 通常の学級での支援教育を進める教員への援助の役割を明確にすること
・ 固定式の特殊学級のメリットを生かす担任の専門性向上を図ること
○ その他の場での支援−盲・ろう・養護学校
・ 障害児教育の地域センターの役割を明確に位置付け推進を図ること
・ 地域の諸学校での支援教育を援助するために、専門性の向上を図ること

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支援教育の推進に向けて
・ 個々の教育的ニーズを見抜く力、学級での配慮、学級経営の実践力など、
支援教育の推進に必要な専門性の獲得に向けて、教員の意識改革を図ること
・ 支援教育について教員研修や管理職研修、校内研修を計画的に実施すること
・ 支援教育の理解啓発用のパンフレットや手引き書を作成し、活用を図ること
・ 支援教育を学校経営に位置づけ、そのための協議する時間を確保すること
・ 地域の教育力の導入や地域に根付いた学校づくりを推進すること
・ 教育相談のネットワークを作り、教育的ニーズに応じた支援が受けられる
全県的な相談システムの整備を図ること
・ 通常の学級・特殊学級の学級編成の基準の見直しや、在籍の柔軟性や教員の
定数配置に関する柔軟な扱いなど、教育制度の検討を行うこと

平成 14 年3月 これからの支援教育の在り方検討協議会
「これからの支援教育の在り方(報告)」を要約


コラム 〜 インクルージョン 〜

神奈川の支援教育の背景には、すべての子どもたちの教育的ニーズを捉えた上
で、そのニーズに応じた教育を、分け隔てのない場で実践することを求める「す
べての子どもたちを一体として包み込む教育」すなわち「インクルージョン
(Inclusion)」の考え方があります。
平成6年に、スペインのサラマンカで開催されたユネスコの「特別なニーズ教
育に関する世界会議」で採択された「サラマンカ宣言」では、「世界の教育は、障
害のあるなしにかかわらず、すべての子どもたち一人ひとりのニーズに対応し、
なおかつ同年齢の子どもたちを一体とする場で教育するべきである。」、「どの子ど
もも、例外なく、他の人にない特徴、関心、能力と学習ニーズをもっている。そ
のような特徴やニーズの多様性を考慮した教育システムを構築し、カリキュラム
を実施するべきである。」、「通常の学校は、インクルージョンの理念を持つと、次
のような課題をもっと効果的に解決できる組織となる。すなわち、差別的な態度
に立ち向かったり、すべての人の受け入れに積極的な地域社会を創り出したり、
さらには、インクルーシブ(Inclusive)な社会を建設し、万人のための教育を達
成することができる。」などの内容を含む「インクルージョン」の考え方が提起さ
れました。
総合教育センターでは、平成7年度より、インクルージョンに関する調査研究
を行い、「インクルージョンの展開に向けた支援ネットワークシステムのあり方研
究」として研究冊子にまとめ、学校教育におけるインクルージョンの具現化を進
めています。

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2 LD、AD/HD、高機能自閉症の理解

知的な発達に遅れがないのに、行動上の問題を起こしやすい子どもや、人との関係をう
まく築けない子どもがいます。また、部分的な学習能力の落ち込みのために誤解されやす
い子どももいます。さらにこれらの困難さを併せ持っている子どももいます。
このような問題がLD、AD/HD、高機能自閉症によって起こっている場合であっても、
その状態が、努力不足、わがまま、自分勝手な行動として見られがちなため、保護者や教
員が正しく理解することができず、不適切な対応が続くと、心理面や行動面等で二次的な
障害(20 頁)を招く可能性があります。自己コントロールの弱さ、人との関係を築くこと
の苦手さ、あるいは部分的な学習能力の落ち込みは、その子の発達の問題であり、性格や
努力、家庭での育て方に問題があるのではありません。
文部科学省の調査は、知的な発達に遅れがないのに、学習面や行動面に著しい困難を抱
えている子どもが、通常の学級の中に約6%いると報告しています。教員にとって、その
ような子どもが、何にどう困っているのかに気付くことはとても大切なことです。周囲の
人たち、学級の子どもたちの理解と配慮で、本来持っている力を発揮しやすい環境を整え
る必要があるからです。効果的な配慮によって、困難さを軽くしたり、なくしたりするこ
ともできます。












一人ひとりのニーズを
的確に把握することが
大切!

例えば、AD/HDといっても、必ず問題行動を起こすわけではなく、状態は一人ひ
とり異なっています。同じ子どもが周囲からの適切な支援によって、急激に変わること
も決して珍しいことではありません。
支援を必要とする子どもを正しく理解し、一人ひとりに応じた支援を考えていきまし
ょう。一人ひとりのニーズを的確に把握することが支援の第一歩です。
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(1)LDとは



LDとは、「Learning Disabilities」の略で、学習障害と訳されています。
文部科学省は、次のように定義しています。














学習障害の子どもは、全般的な知的発達に遅れはなく、多くのことを他の子どもと同じ
ようにできますが、ある特定のことができず、「聞く」などの一つの領域だけに困難を示
す場合もあれば、「聞く」、「話す」、「計算する」などの複数の領域に著しい困難を示
す場合もあります。

学習障害の直接の原因は、中枢神経系の何らかの機能障害によるものと推定されていま
す。つまり、さまざまな感覚器官を通して入ってくる情報を受け止め、整理し、関係付け、
表出する過程のいずれかに十分機能しないところがあると考えられるのです。

学習障害は、他の障害や子どもの生育の過程や現在の環境におけるさまざまな困難とい
った外的・内的な要因による学習上の困難とは異なります。また、ある教科に対する学習
意欲の欠如や好き嫌いによるものでもありません。
学習特性に合わせた指導を受けられたことで、学力を身に付け、学習への自信を回復で
きた子どもはたくさんいます。できない子、やろうとしない子ではなく、一般的な指導方
法ではうまくいかない子として考えましょう。

学習障害児には、行動の自己調整や対人関係などに問題が見られる場合があります。例
えば学校生活において、注意集中の難しさや多動、対人関係などの社会的適応性の問題が
現れることもあります。このような問題は、一次的に学習障害と重複している場合と、学
習障害による学習上の困難の結果、二次的に生じている場合があります。いずれにしても、
学習障害児に対する指導の中で、それらの問題の改善について配慮する必要があります。

LDの定義
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読
む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困
難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定さ
れるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因
が直接の原因となるものではない
平成 11 年7月 学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に
関する調査研究協力者会議
「学習障害児に対する指導について(最終報告)」より
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10
(2)LDの校内における実態把握

子どもの特異な学習上の困難に、担任がまず気付くことが大切です。
担任の気付きのためには、次のような観点が参考になります。

<「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」>

・聞き間違いがある(「知った」を「行った」と聞き間違える)
・聞きもらしがある。
・個別に言われると聞き取れるが、集団場面では難しい
・指示の理解が難しい
・話し合いが難しい(話し合いの流れが理解できず,ついていけない)
・適切な速さで話すことが難しい(たどたどしく話す。とても早口である)
・ことばにつまったりする
・単語を羅列したり、短い文で内容的に乏しい話をする
・思いつくままに話すなど、筋道の通った話をするのが難しい
・内容をわかりやすく伝えることが難しい
・初めて出てきた語や、普段あまり使わない語などを読み間違える
・文中の語句や行を抜かしたり、または繰り返し読んだりする
・音読が遅い
・勝手読みがある(「いきました」を「いました」と読む)
・文章の要点を正しく読みとることが難しい
・読みにくい字を書く(字の形や大きさが整っていない。まっすぐに書けない)
・独特の筆順で書く
・漢字の細かい部分を書き間違える
・句読点が抜けたり、正しく打つことができない
・限られた量の作文や、決まったパターンの文章しか書かない
・学年相応の数の意味や表し方についての理解が難しい(三千四十七を 300047 や 347
と書く。分母の大きい方が分数の値として大きいと思っている)
・簡単な計算が暗算でできない
・計算をするのにとても時間がかかる
・答えを得るのにいくつかの手続きを要する問題を解くのが難しい(四則混合の計
算、2つの立式を必要とする計算)
・学年相応の文章題を解くのが難しい
・学年相応の量を比較することや、量を表す単位を理解することが難しい(長さや
かさの比較。「15cm は 150mm」ということ)
・学年相応の図形を描くことが難しい(丸やひし形などの図形の模写。見取り図や展開図)
・事物の因果関係を理解することが難しい
・目的に沿って行動を計画し、必要に応じてそれを修正することが難しい
・早合点や、飛躍した考えをする




平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料の「通常の学級に在籍する特別な
教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」質問項目より
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11
担任が学習面の困難に気付いたり、保護者からLDの疑いがあるとの申し出があったり
した場合には、校内委員会(56 頁)等において実態把握を行い、その特性に応じた指導方
法を取るなどの学習支援を行います。必要に応じて外部の専門機関と連携を取ります。
また、校内における実態把握のために、次のような基準が参考になります

さらに、「気づきシートT・U」(77、78 頁)や「学習達成基準(国語、算数)」(80〜82
頁)を活用することもできます。

特異な学習困難があること
@ 国語又は算数(数学)(以下「国語等」という。)の基礎的能力に著しい遅れがある。
・現在及び過去の学習の記録等から、国語等の評価の観点の中に、著しい遅れ
を示すものが1以上あることを確認する。この場合、著しい遅れとは、児童生
徒の学年に応じ1〜2学年以上の遅れがあることを言う。
小2、3年 1学年以上の遅れ
小4年以上又は中学 2学年以上の遅れ
・なお、国語等について標準的な学力検査の結果があれば、それにより確認する。
・聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のいずれかに著しい遅れ
があることを、学業成績、日頃の授業態度、提出作品、ノートの記述、保護者
から聞いた生活の状況等、その判断の根拠となった資料等により確認する。
A 全般的な知的発達に遅れがない。
・知能検査等で全般的な遅れがないこと、あるいは現在及び過去の学習の記録
から、国語、算数(数学)、理科、社会、生活(小1及び小2)、外国語(中
学)の評価の観点で、学年相当の普通程度の能力を示すものが1つ以上ある
ことを確認する。

他の障害や環境的な要因が直接の原因ではないこと
・児童生徒の記録を検討し、学習困難が特殊教育の対象となる障害によるもの
ではないこと、あるいは明らかに環境的な要因によるものではないことを確
認する。
・ただし、他の障害や環境的な要因による場合であっても、学習障害の判断基
準に重複して該当する場合もあることに留意する。
・重複していると思われる場合は、その障害や環境等の状況などの資料により
確認する。




平成 11 年7月 学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に
関する調査研究協力者会議
「学習障害児に対する指導について(報告)」より
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(3)AD/HDとは

AD/HDとは、「Attention-Deficit / Hyperactivity-Disorder」の略です。注意欠
陥/多動性障害と訳され、DSM−W(アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マ
ニュアル)で示されています。
また、世界保健機関(WHO)のICD−10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)
の定義では、「多動性障害」という診断名です。

文部科学省は、次のように定義しています。











AD/HDの子どもは、注意力・多動性・衝動性をコントロールすることが難しいと
いう特徴を持っています。









AD/HDは、こうした集中困難や多動などの状態が幼児期から明らかであり、「性格
の問題」ではなく、「発達の問題」として考えられています。家庭での育て方や環境の
問題で、このような状態になるのではありません。
AD/HDの子どもの行動は、問題行動と捉えられやすく、周囲の人から叱られるこ
とも多くなってしまいます。また、他の子どもが簡単にできることができなくて、自信
を失うなど二次的な情緒の不安定さにつながりがちです。
しかし、周囲の人たちの配慮で、本来持っている力を発揮しやすい環境に整えること
が可能です。また、AD/HDといっても、その状態は一人ひとり異なっています。一
人ひとりを正しく理解しその子どもに応じた援助を考えることが必要となります。
多動性
・じっとしていられない
・最後まで人の話を聞けない 等
衝動性
不注意
AD/HDの定義
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、
多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたす
ものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因
に よ
る機能不全があると推定される。
・順番が待てない
・考える前に行動してしまう 等
・いつもぼんやりしている
・忘れ物やなくし物が多い 等
平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等より

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(4)AD/HDの特徴

次のような特徴が多く見られ、少なくとも、その状態が6ヶ月以上続いている場合
には、教育的、心理学的、医学的な観点からの詳細な観察等が必要であり、関わり方を
工夫しなければなりません。


<不 注 意>
・ 学校での勉強で、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いを
したりする。
・ 課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい。

・ 面と向かって話しかけられているのに、聞いていないようにみえる。
・ 指示に従えず、また仕事を最後までやり遂げられない。
・ 学習などの課題や活動を順序立てて行うことが難しい。
・ 気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける。
・ 学習などの課題や活動に必要な物をなくしてしまう。
・ 気が散りやすい。
・ 日々の活動で忘れっぽい。

<多 動 性>
・ 手足をそわそわ動かしたり、着席していてもじもじしたりする。
・ 授業中や座っているべき時に席を離れてしまう。

・ きちんとしていなければならない時に、過度に走り回ったりよじ登ったりする。
・ 遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい。
・ じっとしていない。または何かに駆り立てられるように活動する。
・ 過度にしゃべる。

<衝 動 性>
・ 質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう。

・ 順番を待つのが難しい。
・ 他の人がしていることをさえぎったり、じゃましたりする。




平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等より

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(5)高機能自閉症とは

自閉症は、医学でいう広汎性発達障害に含まれる障害のことをいいます。
文部科学省は、高機能自閉症を次のように定義しています。










高機能自閉症の子どもは
、相手の気持ちや周囲の状況、雰囲気を読み取ることが苦手な
ため、対人関係をうまく結ぶことができず、集団への不適応を示すことが多くなります。
また、言葉によるコミュニケーションに関しても、ある面では流暢に話しますが、ユーモ
アや冗談、皮肉など、言葉の裏側にある意味の理解が難しいので、いじめの対象にされる
ことがあり、配慮が必要になります。不適切な対応が繰り返されると、二次的な障害(20
頁)を招きやすい子どもです。



高機能自閉症の定義
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、@他人との社会的関係の形成の困難さ、
A言葉の発達の遅れ、B興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とす
る行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教
育の在り方について( 最終報告)」定義と 判断基準(試 案)等より引用

コラム 〜 アスペルガー症候群 〜
文部科学省では、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉
の発達の遅れを伴わないものをアスペルガー症候群としています。しかし、高
機能自閉症とアスペルガー症候群の違いを厳密に区別するのは難しいのが実
情です。アスペルガー症候群は、言語機能に大きな困難性はありませんが、そ
の他の行動特性は自閉症と同じであり、教育的な対応は高機能自閉症と同様と
考えることができます。
なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、包括概念である広汎性発達障
害に分類されています。
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(6)高機能自閉症の特徴

次のような特徴が多く見られる場合には、教育的、心理学的、医学的な観点からの詳
細な調査が必要です。

<人への反応やかかわりの乏しさ、社会的関係形成の困難さ>
・ 目と目で見つめ合う、身振りなどの多彩な非言語的な行動が困難である。
・ 同年齢の仲間関係をつくることが困難である。
・ 楽しい気持ちを他人と共有することや気持ちでの交流が困難である。
【高機能自閉症における具体例】
・ 友達と仲良くしたいという気持ちはあるけれど、友達関係をうまく築けない。
・ 友達のそばにはいるが、一人で遊んでいる。
・ 球技やゲームをする時、仲間と協力してプレーすることが考えられない。
・ いろいろな事を話すが、その時の状況や相手の感情、立場を理解しない。
・ 共感を得ることが難しい。
・ 周りの人が困惑するようなことも、配慮しないで言ってしまう。

<言葉の発達の遅れ>
・ 話し言葉の遅れがあり、身振りなどにより補おうとしない。
・ 他人と会話を開始し継続する能力に明らかな困難性がある。
・ 常同的で反復的な言葉の使用または独特な言語がある。
・ その年齢に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性のある物まね
遊びができない。
【高機能自閉症における具体例】
・ 含みのある言葉の本当の意味が分からず、表面的に言葉通りに受けとめてしま
うことがある
・ 会話の仕方が形式的であり、抑揚なく話したり、間合いが取れなかったりする
ことがある


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<興味や関心が狭く特定のものにこだわること>
・ 強いこだわりがあり、限定された興味だけに熱中する。
・ 特定の習慣や手順にかたくなにこだわる。
・ 反復的な変わった行動(例えば、手や指をぱたぱたさせるなど)をする。
・ 物の一部に持続して熱中する。
【高機能自閉症における具体例】
・ みんなから、「○○博士」「○○教授」と思われている(例:カレンダー博士)
・ 他の子どもは興味がないようなことに興味があり「自分だけの知識世界」を
持っている
・ 空想の世界(ファンタジー)に遊ぶことがあり、現実との切り替えが難しい
場合がある
・ 特定の分野の知識を蓄えているが、丸暗記であり、意味をきちんとは理解し
ていない
・ とても得意なことがある一方で、極端に苦手なものがある
・ ある行動や考えに強くこだわることによって、簡単な日常の活動ができなく
なることがある
・ 自分なりの独特な日課や手順があり、変更や変化を嫌がる

<その他の高機能自閉症における特徴>
・ 常識的な判断が難しいことがある。
・ 動作やジェスチャーがぎこちない。







平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等より

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(7)AD/HD、高機能自閉症の気付きの観点

AD/HDや高機能自閉症等、障害の医学的な診断は医師が行うものです。しかし、
教員や保護者は、学校生活や家庭生活の中での状態を把握する必要があります。
学校における状態の把握については、
行動上の問題の把握だけでなく、教科学習や対人
関係の形成の状況、学校生活への適応状況などさまざまな観点から行うことが必要です。
その際、
障害種別を判断するというのではなく、行動面や対人面において支援が必要で
あるかどうかを判断していくことが大切になります。
実態把握をするためには、次のような気付きの観点が参考になります。

<知的発達の状況>
・ 知的発達の遅れは認められず、全体的には極端に学力が低いことはない。

<教科指導における気付き>
・ 本人の興味のある教科には熱心に参加するが、そうでない教科では退屈そう
にみえる。
・ 本人の興味ある特定分野の知識は大人顔負けのものがある。
・ 自分の考えや気持ちを、発表や作文で表現することが苦手である。
・ こだわると本人が納得するまで時間をかけて作業等をすることがある。
・ 教師の話や指示を聞いていないようにみえる。
・ 学習のルールやその場面だけの約束ごとを理解できない。
・ 一つのことに興味があると、他の事が目に入らないようにみえる。
・ 場面や状況に関係ない発言をする。
・ 質問の意図とずれている発表(発言)がある。
・ 不注意な間違いをする。
・ 必要な物をよくなくす。


<行動上の気付き>
・ 学級の児童生徒全体への一斉の指示だけでは行動に移せないことがある。
・ 離席がある、椅子をガタガタさせる等落ち着きがないようにみえる。
・ 順番を待つのが難しい。
・ 授業中に友だちの邪魔をすることがある。
・ 他の児童生徒の発言や教師の話を遮るような発言がある。
・ 体育や図画工作・美術等に関する技能が苦手である。
・ ルールのある競技やゲームは苦手のようにみえる。
・ 集団活動やグループでの学習を逸脱することがある。

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・ 本人のこだわりのために、他の児童生徒の言動を許せないことがある。
・ 係活動や当番活動は教師や友達に促されてから行うことが多い。
・ 自分の持ち物等の整理整頓が難しく、机の周辺が散らかっている。
・ 準備や後片付けに時間がかかり手際が悪い。
・ 時間内で行動したり時間配分が適切にできない。
・ 掃除の仕方、衣服の選択や着脱などの基本的な日常生活の技能を習得してい
ない。


<コミュニケーションや言葉遣いにおける気付き>
・ 会話が一方通行であったり、応答にならないことが多い。
(自分から質問をしても、相手の回答を待たずに次の話題にいくことがある。)
・ 丁寧すぎる言葉遣い(場に合わない、友達どうしでも丁寧すぎる話し方)
をする。
・ 周囲に理解できないような言葉の使い方をする。
・ 話し方に抑揚がなく、感情が伝わらないような話し方をする。
・ 場面や相手の感情、状況を理解しないで話すことがある。
・ 共感する動作(「うなずく」「身振り」「微笑む」等のジェスチャー)が少ない。
・ 人に含みのある言葉や嫌味を言われても、気付かないことがある。
・ 場や状況に関係なく、周囲の人が困惑するようなことを言うことがある。
・ 誰かに何かを伝える目的がなくても、場面に関係なく声を出すことや独り言が
多い。

<対人関係における気付き>
・ 友達より教師(大人)と関係をとることを好む。
・ 友達との関係の作り方が下手である。
・ 一人で遊ぶことや自分の興味で行動することがあるため、休み時間一緒に遊
ぶ友だちがいないようにみえる。
・ 口ゲンカ等、友達とのトラブルが多い。
・ 邪魔をする、相手をけなす等、友だちから嫌われてしまうようなことをする。
・ 自分の知識をひけらかすような言動がある。
・ 自分が非難されると過剰に反応する。
・ いじめを受けやすい。

平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等より

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(8)AD/HD、高機能自閉症の指導における配慮

AD/HD、高機能自閉症の子どもの指導を進めるに当たっては、それぞれの特性を十分
に理解した上で、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な対応をしていくことが大切で
すが、配慮すべき点について類似するものも少なくありません。
具体的な配慮事項として、次のようなものが挙げられます。

<ADHDの指導・高機能自閉症等の指導共通>
・ 共感的理解の態度をもち、児童生徒の長所や良さを見つけ、それを大切にした対
応を図る。
・ 社会生活を営む上で必要な様々な技能を高める(ソーシャルスキルトレーニング)。
それらは、ゲーム、競技、ロールプレイング等による方法が有効である。
・ 短い言葉で個別的な指示をする(受け入れやすい情報提示、具体的で理解しやす
い情報提示)。
・ いじめ、不登校などに対応する。
・ 本人自らが障害の行動特性を理解し、その中で課題とその可能な解決法、目標を
持つなど対処方法を編み出すよう支援する。
・ 校内の支援体制を整える。
・ 周囲の子どもへの理解と配慮を推進する。
・ 通級指導教室での自信と意欲の回復を図る(スモールステップでの指導等による)。
・ 通級指導教室担当者は、在籍学級担任への児童生徒の実態や学習・行動の状況等
に関する情報提供や助言をする。
・ 医療機関と連携する。
<ADHDの指導>
・ 叱責よりは、できたことを褒める対応をする。
・ 問題行動への対応では、行動観察から出現の傾向・共通性・メッセージを読み取る。
・ 不適応をおこしている行動については、その児童生徒と一緒に解決の約束を決め、
自力ですることと支援が必要な部分を明確にしておく。
・ グループ活動でのメンバー構成に配慮する。
・ 刺激の少ない学習環境(机の位置)を設定する。
<高機能自閉症の指導>
・ 図形や文字による視覚的情報の理解能力が優れていることを活用する。
・ 学習環境を本人に分かりやすく整理し提示する等の構造化をする。
・ 問題行動への対応では、問題行動は表現方法のひとつとして理解し、それを別の
方法で表現することを教える。
・ 環境の構造化のアイディアを取り入れること(見通しがもてる工夫や、ケースに
よっては個別的な指導ができる刺激の少ないコーナーや部屋の活用等)が効果的
である。
・ 情報の受け入れ方や心情の理解などにおいて、障害のない者とは大きく異なるこ
とを踏まえた対応をする。

平成 15 年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)定義と判断基準(試案)等」より

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(9)LD、AD/HD、高機能自閉症の関係

LD、AD/HD、高機能自閉症は、その原因として中枢神経系に何らかの機能不全が推
定されるという点が共通しています。すなわち、いずれも軽度の発達障害ということがで
きます。
LDは学習面で、AD/HDは行動面で、高機能自閉症は社会面で主たる困難さが現れま
すが、LD、AD/HD、高機能自閉症の症状は重なり合うことが多く、LDとAD/HDを
併せ持っている子どももいます。したがって、その判断や診断は慎重に進められなければ
なりません。また、学習や行動等の困難の原因として、軽度の知的障害や環境的な要因が
含まれていることも考えられます。








しかし、こうした子どもへの支援は、判断や診断があって、初めて開始されるものでは
ありません。診断や判断を参考にして適切な支援を行っていくことはもちろん大切なこと
ですが、診断名によって教育や指導の在り方が決まるのではないということです。一人ひ
とりの教育的ニーズを的確に把握し、必要な支援を考えていくことが大切です。
LD、AD/HD、高機能自閉症
の関係
AD/HD
L D
高機能自閉症

コラム 〜 二次的な障害 〜
LD、AD/HD、高機能自閉症の子どもは、知的発達に遅れがないため、その
特徴が周囲から理解されにくく、結果として、不適切な対応が生じる可能性があ
ります。理解不足により、否定的な評価や叱責等の不適切な対応が積み重なると、
否定的な自己イメージを持ったり、自尊心が低下したりします。そのことによっ
て、情緒の不安定、反抗的な行動、深刻な不適応の状態等の二次的な障害を招く
ことがあり、それを防止することが重要です。
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(1)校内で協力して支援に当たった事例
(小1ハルミさんの場合)

(2)家庭との協力関係を築き、支援に当たった事例
(小3ナツオさんの場合)

(4)学習スタイルを把握して支援に当たった事例
(小5イチロウさんの場合)

(6)外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例
(中2ゴロウさんの場合)

(3)教育相談コーディネーターに相談して支援に当たった事例
(小4ユウジさんの場合)
(5)「みんなで支援」を目指した学級づくりをした事例
(中1フユコさんの場合)
(7)校内でマニュアルを作成して支援を行った事例
(高1アキオさんの場合)

(8)教育相談機関と連携して支援を行った事例
(高2ナナコさんの場合)

3 LD、AD/HD、高機能自閉症への対応の事例

さまざまな支援を必要とする子どもへの対応は、担任の気付きや悩みを起点として
始まります。
ここでは、LD、AD/HD、高機能自閉症と思われる支援を必要とする子どもへの
支援事例を取り上げました。
なお、事例として示した内容は、多くの支援事例を基に再構成したものです。







































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(1)校内で協力して支援に当たった事例
(小1ハルミさんの場合)

















ア ケース会議の開催
児童指導部が主催するケース会議を通じて対応の手立てを探ることにしました。
ケース会議では、チームシート(図1)を用いながら具体的な支援方針とその内容を得ること
ができました。







ハルミさんは小学校1年生。幼稚園のときにLD、AD/HD という診断を受けました。
小学校入学後、環境の急な変化もあり、学校生活の中で混乱した状況が次々と現れました。
担任のスズキ先生は、幼稚園の先生とも連絡を取り合い、特性の理解と、より適切な対応を図
るために努力しました。
スズキ先生は、保護者の願いにも応えようと熱心に対応しましたが、1年生の学級経営の大
変さもあり、保護者の求めや期待に十分に応じることができませんでした。保護者は不満を増
していき、担任と保護者との関係も円滑さを欠いてきました。
支援方針
@ ハルミさんを支える関係機関(医療機関等)と連携し、特性を客観的に把握する。(教
頭が窓口)
A 特性に応じた具体的な対応を探る。(担任と特殊学級担当)
LD児の認知特性、AD/HD児の行動特性
B 保護者との関係の修復を図る。まずは、教頭が教育相談を行う。(担任と教頭とが連絡
を密に取り合う。)
C LDやAD/HDについて、校内研修会を開き、全教員で学び合う。(市教委と連携)
D 定期的な授業公開(学級公開)とケース会議を実施する。
授業をお互いに見合うことで、全教員が児童の特性を理解する。
チームで教育的支援を考えるという視点を持つ。(児童指導部)
POINT!
ケース会議では、今後の方針とともに「誰が、何をするのか」
という役割分担など具体的な見通しを持つと良いでしょう。

がっこうって、たのしいな。でも、よ
うちえんとちがって、たくさんのおとも
だちがいるし・・・おへやもたくさんあ
るし・・・こまっちゃうな。
「LDやAD/HDについて、もっと勉強しなくて
は・・」とあせってしまう。本を読んだり、研修会に
参加したりして知識としては理解できるようになっ
たけれど、ハルミさんには、どのように対応したら良
いのだろうか・・・。

スズキ先生
ハルミさん
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図1:ケース会議で用いたチームシート

【石隈・田村式援助チームシート自由版】
実施日:平成 15 年7月 10 日(第1回) 次回予定:平成 15 年9月3日(第2回)
出席者:校長、教頭、担任、1年担任、児童指導部、特殊学級担当、養護教諭
苦戦していること:学習が困難(特に読み・書き)、すぐにかっとなって友達とトラブルになる。
児童・生徒氏名
ハルミさん
担任氏名 スズキ
学習面
(学習状況、学習スタイル、学
力など)
心理・社会面
(情緒面、ストレス対処スタイ
ル、人間関係など)
進路面
(得意なことや趣味、将来の夢
や計画、進路希望など)

健康面
(健康状況、身体面の様子など)
(A)
いいところ

子どもの自助資源
・大きな声で発表する。
・運動(鉄棒)が得意で
ある。
・算数のプリントに熱心
に取り組む。
・手伝いをすすんでする。
・音楽を聴くことが好き。
・いろいろな人とよく話
す。
・歌と水泳が得意。
・魚に詳しい。
・係の仕事をはりきって
行う。
・体力がある。
・健康である。
・外遊びが好き。
・スイミングクラブに通
っている。
(B)
気になるところ

援助が必要なところ
・国語の授業で集中しな
い。
・平仮名の読み書きが定
着していない。
・失敗すると、その後の
混乱が激しい。
・そわそわする。
・泣くことが多い。

・けがが多い。
・上履きの左右を間違え
て転ぶことが多い。
・机の中が雑然としてい
る。












(C)
してみたこと

今まで行った、あるい
は今行っている援助
と、その結果
・授業中、声かけを多くし
たところ、表情が和らぐ
ときがあった(担任)。
・逆上がりが上手だとほ
めたところ、その後ハ
ルミさんから挨拶する
ようになった(校長)。
・混乱したときに声をか
けたところ逆効果だっ
た(担任)。
・集中していないときにプ
リントを配る作業を頼
んだところ、その後再び
集中できた(担任)。
・朝礼のときに、校歌が
上手に歌えていると褒
めた(教頭)。
・魚の図鑑を一緒に見た。
詳しく、生き生きと魚
について語っていた
(養護教諭)。
・机を整理するように声
をかけたが改善されな
い(担任)。
・靴の左右を注意して履
くように促した。気を
つけて履けるときが増
えた(担任)。







(D)
この時点での
目標と援助方

・学習面の苦手意識を少なくする。
・関係機関(医療機関、相談機関等)と連携し、特性を客観的に把握し適切な対応を図る。
・保護者との関係を修復する。
・全教員がLDやAD/HDの特性や対応について学ぶ。
・定期的に授業公開(学級公開)とケース会議を実施し、みんなでハルミさんや担任を支える。
(E)
これからの援
助で何を行う

@学習へ取り組もうとす
る気持ちになったとき
に、そのことを褒める。
A得意なことを周囲の者が
認めることで本児にフィ
ードバックする(鉄棒等)。
B本児の特性に合った読
み・書きの指導方法に
ついて検討する。
C算数のプリントへの取
組を本児に分かるよう
に評価する。
D他児の前で発表する機
会を与える。
E関係機関から本児の特性
と対応のアドバイスを得る。
F気持ちを言語化できる
ように関わる。
G手伝いを意識的に頼
み、引き受けてくれた
ら褒める。
H混乱したときは、落ち
着いてから本児の気持
ちを聴く。
I魚の図鑑を一緒に見
る。
Jプール指導のときに、
本児が活躍する場面を
作る。
K上履きの左右の違いが
はっきりするように工
夫する。
L机を整理する日を設け
る(クラス全員が行う
日として設定する。:例
「毎週金曜日の帰りの
会で行う」)。
MLDやAD/HDの校
内研修会を開く。

(F)
誰が行うか
@ 担任
A 全教員
B 担任、特殊学級担当
C 担任
D 担任、学年
E 教頭、担任
F 担任、学年
G 担任、校長、教頭
H 担任、学年
I担任、養護教諭
J担任、学年
K担任が保護者へ依頼す
る。
L担任
M児童指導部







(G)
いつからいつ
まで行うか
@AC次回のケース会議
まで。
BE7月中
D学年集会等
FGH次回のケース会議
まで。
I次回のケース会議ま
で。
Jプール指導のとき。
K7月中に依頼する。
L毎週金曜日
M2学期

参考文献:石隈利紀・田村節子 平成 15 年3月 『石隈・田村式援助シートによるチーム援助入門 学校心理学・実践編』
図書文化社
石隈利紀 平成 11 年 11 月 『学校心理学―教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援
助サービス』 誠信書房
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24
イ 特性に応じた支援(特殊学級担当との協力)
医療機関や相談機関と連携することにより、特性に応じた支援の手掛かりを得ることができま
した。そこで、特殊学級担当と協力して、具体的な支援内容を考えることとしました。


ウ 保護者との連携
定期的な面談を行うとともに、保護者から相談があったときには、直接会って話をするよう
に心掛けました。そして、保護者の努力や不安に共感しながら、学校での様子を肯定的に、問
題解決の観点で伝えるようにしました。

エ 校内支援体制
担任一人に負担がかかり過ぎないように、学校全体の支援体制を考えることになりました。


オ スズキ先生の振り返り
ハルミさんを理解し関係を作ることに時間がかかりました。さらに、保
護者との信頼関係を築けなかった辛い時期もありました。しかし、ハルミ
さんの学習成果が現れ、学校生活で生じるさまざまな課題が減っていく中
で、保護者との信頼関係と連携が深まりました。
ハルミさんと出会ったときは、まずは、無我夢中で手当たり次第に専門
書を読んだり、専門家の講演を聞いたりしました。そのことから、一般的
な知識を積み重ねることができました。また、直接ハルミさんに関わって
いる専門家の話は具体的で支援に大変役立ちました。医療機関や専門機関との連携から支援への
自信や勇気を得ることができ、連携の重要さを感じました。
1年生の担任は、特に1学期は、学級の子ども一人ひとりに気を配らなければなりません。学
校全体の支援体制や担任をフォローするシステムが有り難く感じました。
スズキ先生が試みたこと
・担任が、個別の配慮を行いやすいように座席を最前列にする。
・注意を促してから、声をかけたり、ワークシートを用意したりするなど、教材や指導方法を
工夫する。
・ハルミさんの心に寄り添い、可能な限り衝突する場面を避ける対応を心掛け、良い関係づく
りを工夫する。
・学級の子どもたちに理解と協力を促し、友達との自然な関わりの中で、学校生活での行動を
スムーズに導く。
・行動をうまく切り替えるようになったり、課題に集中して取り組んだり、友達と関わったり、
良い発言ができたりしたときは具体的に褒める。
・連絡帳を工夫し、ハルミさんが“あしたのこと”をメモする習慣を形成する。
具体的に動く!
・ハルミさんへの理解と適切な対応については、校内研修会や授業公開(学級公開)、ケー
ス会議を通して、全職員の共通の課題であるという認識を促す。
・授業公開では、参観者は、ハルミさんの良くできていることや担任との関係性で、良い点
や課題と考えられる点を探るという視点で参観する。
・ケース会議では、子どもが持っているリソース(良くできていることや長所)をどのよう
にいかすかという視点で、具体的な対応を検討する。
・教室以外で一人でいるのを見掛けたときは、全職員で声をかけ合う。
・混乱した状況が生じた際に<誰がどのように動くのか>等、役割分担を明示したマニュア
ルを作る。
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25
(2)家庭との協力関係を築き、支援に当たった事例
(小3ナツオさんの場合)























ア 悩みを同僚に相談
そこで、ヤマダ先生は隣のクラスの担任、カワグチ先生にナツオさんのことを相談しました。
カワグチ先生は、以前ナツオさんと似たタイプの子どもを担当していました。
学年合同の授業や行事などをとおして、カワグチ先生もナツオさんのことで、気になっていた
ことを話してくれました。ナツオさんは、カワグチ先生の授業の時にも、学習に取り組まず、自
分の好きなことをして過ごすことがあるようでした。また、急に席を立ったり、離れたり、教室
から出て行ったりしてしまうこともあり、時には、思いがかなわないと、大きな声で泣き出すこ
ともあったそうです。








カワグチ先生に話せて良かった。
聞いてもらって少しほっとした。私
だけが、感じているだけじゃなかっ
たんだ。保護者と連絡を取り合い、
家庭での様子を聞いてみよう。
ヤマダ先生は、ナツオさんが小学校3年生の時、出会いました。
「先生、おはようございます。」と、大きな声であいさつをしてくれます。ヤマダ先生が「おは
よう、ナツオさん」と、返事をするかしないかのうちに、ナツオさんは廊下を一気に走り教室
へ入っていってしまいます。
体育の授業ですが、ナツオさんが体育館に来ません。しばらくして、遅れてやってきたナツ
オさんに「ナツオさん、また遅れたね。」と、他児が声をかけました。すると、ナツオさんはカ
ッとなり、思わずその子を叩いてしまいました。ヤマダ先生も遅れてきたナツオさんに「どこ
で遊んできたの!」と、声を荒げてしまいました。
POINT!
指導上の悩みを相談できる人材が校内にい
ることは心強いものです。また、「on the
seat meeting」(設定された会議)に対し
て、「on the fly meeting」(立ち話的な
情報交換)からヒントが生まれることも多い
ようです。

体操着をどこにしまっておいたのか分からな
くなっちゃったんだ。急いで着替えたら、次に、
どこに行ったらいいのか分からなくなっちゃっ
たんだ。先生は、確か「〇〇かん」って言って
たような・・・。よく聞こえなかったんだ・・・。
また、叱られちゃった・・・。
ナツオさん、体育館での先生の声は大きかっ
たよね。ごめんね。でも、先生、分からないん
だ。なぜ、教室から出て行ってしまうの?どう
して友達とケンカになってしまうの?
先生の話、分かりにくいのかな?教え方が悪
いのかな?
ヤマダ先生
ナツオさん
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26

1学期末の個人面談で、学校での様子を保護者に伝えました。しかし、保護者は「学校での先
生の関わり方や教育環境などに配慮が足りないために問題があるのではないか。家庭では特に変
わった様子が見られない。」という考えだったために、保護者と共に具体的な対応策を考えるまで
には至りませんでした。また、外部の相談機関も紹介してみましたが、「その必要はない。もう少
し様子を見たい。家でも、片付けや友達との関わり方などを教えていく。」ということでした。








イ 対応の工夫


お母さんへの伝え方が一方的だったかな?学
校での問題となった行動に話が集中してしまっ
た。カワグチ先生とも相談して、対応策を考えて
実行してみよう。まずは、ナツオさんを理解する
ところから始めよう!
・持ち物を整理する方法を具体的に教える。(置き場所を書いたメモを机にかけておき、いつでも確かめる
ことができるようにする。)例:体操着=ロッカー、はさみ=道具箱
・指示の出し方を工夫する。全体への指示の後、個別にも伝える。また、黒板に書くことにより、見て分か
るようにする。
<例>全体への指示=「着替えたら、体育館に行きましょう。」
個別に指示=「ナツオさん、体育館に行きましょう。」
板書=「体育館」
・良い行動が見られたときや良い行動をとろうとしているときに、褒める。言葉の他に、「○(マル)」とい
うジェスチャーを用いて伝える。「あなたに話しているのです。」と、分かるように伝える。
・自分の感情を意識したり、言葉で表現したりする方法を教える。また、担任の気持ちも言葉で表現して伝
える。 ↑図2「心のことばカード」
↑図3「心の温度計」(感情の高まりを数値化する)
1度=ちょっとイライラ
2度=イライラ・イライラ
3度=ばくはつしそう!
・授業中のルールを授業が始まる前に確認する。授業終了時に、頑張っていたことやできたことを評価し、
褒める。
<例>ナツオさんのルール
疲れたときは、自分の席で本を読んだり絵を描いたりしてもよい。
砂時計で、5分計る。
5分たったら、また授業に戻る。
・友達とのつき合い方や学校生活でのルールを分かりやすく話し、また、カードにしておく。
<例>「歩くときは、手に何ももちません。」
「じゅぎょう中、後ろの人と話しません。」
「友だちのものをかりるときは、「かしてください。」と言います。」
・担任との約束を3項目にしぼり、「できたかなカード」(図4)に記入する。放課後、シールを貼りながら
一日の振り返りをする。成功体験を積み重ね、自己効力感を高めるねらいがあるため、「約束」として掲
げる内容は、ナツオさんがほぼ成功するであろう内容にする。
・学級の中で、ナツオさんが得意なところや長所を発揮できる場を用意する。
<例>ナツオさんは、声がよく通るので運動会での応援団になるといいなあ・・・
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27

図2「心のことばカード」



















図3「心の温度計」




























こころ
の温度計
おんどけい


3 ばくはつしそう!
2 イライラ・イライラ
1 ちょっとイライラ

ナツオさんの心のことばカード
・おかあさんにしかられたとき=かなしい
・体そうぎがみつからないとき=こまる
・おなかがすいたとき=きゅう食が楽しみ
・音楽でふえをふくとき=むずかしい
・友だちとあそべなくなったとき=ざんねん

ヤマダ先生の心のことばカード
・チョークがないとき=こまる
・おなかがすいたとき=きゅう食が楽しみ
・なわとびの二重とび=むずかしい
・ナツオさんがいないとき=しんぱい

・みんながあそんでいるとき=うれしい
お母さんの心のことばカード
・ナツオが、かたたたきしてくれたとき
=うれしい
・雨がふってせんたくものがほせないとき
=こまる
・ナツオのかえりがおそいとき=しんぱい
( )さんの心のことばカード
・ナツオさんとあそぶやくそくをしたとき
=( )
・わすれものをしたとき=( )
・おなかがすいたとき=( )
・( )とき=かなしい
コラム 〜 自分を褒めること 〜
もう 10 年以上前になりますが、オリンピックの女子マラソン競技でのこと、「自分を
褒めてあげたい」というコメントが話題になりました。私たちも、日常生活の中でこの
ような思いを意識的・無意識的に抱いています。「誰が何と言おうと、私は私をすごい
と思う。」このように思うことで、セルフ・エフィカシー(自己効力感)を高めている
のです。
しかし、LDやAD/HD、高機能自閉症の子どもは、「自分を褒める」ことが苦手な
場合が多いようです。これは、失敗体験を繰り返すことで自信をなくし、「どうせ、わ
たしなんて・・・」という思いが強くなるからです。たとえ、成功しても、それを「す
ごい。たいしたもんだ。やればできるんだ。」等の言葉で言い換えることができにくく
なっているのでしょう。だから、他者から「褒めるられること」が必要なのです。

こころ
の温度計
おんどけい

はかってみよう。

いま
の温度
おんど

( )度


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--32/96--

28

図4「できたかなカード」




できたかなカード(シールをはろう!)
なまえ
ナ ツ オ

6月 7日 水 よう日
やくそく ぼくは思うよ 先生は思うよ
歩くときは、手に何ももちません。

でき

がんば
った
できな
かった
できて
いた

がんば
ったね
ざんね

じゅぎょう中、後ろの人と話しませ
ん。

でき


がんば
った

できな
かっ

できて
いた

がんば
ったね

ざんね


友だちのものをかりるときは、「かし
てください」と言います。


でき


がんば
った

できな
かった
できて
いた

がんば
ったね

ざんね


<きょうのやくそくを書こう>
先生にれんらくちょうをもっていく。
でき


がんば
った

できな
かった
できて
いた

がんば
ったね

ざんね




できたかなカード(シールをはろう!)
なまえ
ナ ツ オ
月 日 よう日

やくそく ぼくは思うよ おかあさんは思うよ
朝、新聞をとりに行く。

できたがんば
った
できな
かった
できて
いた

がんば
ったね
ざんね

公園まで、ポチのさんぽに行く。

できたがんば
った

できな
かった
できて
いた

がんば
ったね

ざんね


れんらくちょうをおかあさんにわた
す。

できたがんば
った

できな
かった
できて
いた

がんば
ったね

ざんね


<きょうのやくそくを書こう>
アイスは、1つだけ。
できたがんば
った

できな
かった
できて
いた

がんば
ったね

ざんね



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29
ウ 保護者との連携を図る努力
4年生に進級し、5月下旬の家庭訪問で学校での様子を伝えました。保護者は、学校での対
応について理解をし、連絡帳のやり取りが始まりました。













エ ヤマダ先生の振り返り
「ナツオさんは、がんばっていてすごい。」、「ナツオさんは、サッカーが得意
だね。」など、学級の子どもたちがナツオさんのがんばりや行動の変化に関心を
寄せるようになった。そして、それが、学級全体の喜びや向上につながってい
ることが実感できた。また、ナツオさんにとっても、友達に認めてもらったり
励ましてもらったりすることが次の行動への意欲となった。担任として、ナツ
オさんが精神的に安定し、学級の他の子どもたちと関わりを持つことが多くな
ったことが何よりもうれしい。
保護者との連携を考えるに当たっては、まず、自分がナツオさんはどんなこ
とをして、どうだったのかを話すようにした。徐々に、保護者から心配なこと
を相談されるようになった。また、学校でできなかったことは家庭で補ってもらうこともできる
ようになった。保護者の学校への理解と協力が、自分自身にとっての安心感につながった。




















ヤマダ先生が家庭訪問で伝えたこと
・自分がどのように対応し、その結果、どう変化し
たのか。
・家庭でも学校の様子を知ってもらい、お母さんか
らもナツオさんを褒めて欲しいこと。
・学校と家庭が連絡を取り合い、ナツオさんのこと
を学校と家庭で同じ視点から考えたい。そのため
に、連絡帳を使わせてもらいたい。

ヤマダ先生が伝えるときに心掛けたこと
・相手の話に耳を傾ける。ああああああああ
・より良い方法を保護者と共に考えていきた
いというメッセージを伝える。問題を提示
するのではなく、解決するために何ができ
るかを考える。
・学校での様子を伝える時には、「良い」、
「悪
い」という判断を伝えるのではなく、その
状況を説明する。

コラム 〜 ごほうび 〜
登山をする人の多くは、「頂上を極めた時の充実感を得たいがために山に登る。」と言
います。だから、登る苦しさを感じながらも、この後に訪れる「すばらしい光景」とい
う自分に与えられるであろう「ごほうび」を想像することで、「今を乗り越える」こと
ができるのでしょう。
私たちは、行動を起こす時、このように、これから先の状況を予測して、そのために
は、これからどのように行動すべきかを考えています。
望ましい行動を身に付けさせる方法の一つに、ごほうびなどの強化刺激を与えるとい
う方法があります。学校における教授方法でもこの手法を取り入れている場合がありま
すね。「いいね」、「よくやった」、「がんばったね」、「残念!でも、まだ大丈夫」など、
言葉での称賛もその一つです。また、ナツオさんの「できたかなカード」のように、先
生にシールをはってもらえるという強化刺激(ごほうび)もあります。
「先生と同じ空間を共有し、自分を認めてもらえ、ごほうびがもらえる」だから、先
生との約束を守ろうという行動が生じるのです。同時に、ナツオさんにとっては「ぼく
も、やればできるんだ!」という自己効力感が育まれます。そして、最終目標は、ごほ
うびなしでも行動できるようになること。ヤマダ先生の願いでもあります。
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(小4ユウジさんの場合)
(3)教育相談コーディネーターに相談して支援に当たった事例













ア 困難の気付き
引継ぎで得た情報をいかしながら、日々の記録をしていると、ひらがな、漢字、数字など、
ほとんどの文字の形をきちんと捉えることが苦手であることに気付きました。
学年でも話題にしながら、そのことを教育相談コーディネーターに相談したところ、書くこ
とが苦手な子どもの対応について教えてくれました。
ヤスイケ先生は、インターネットのホームページやいろいろな本で熱心に調べて、分かった
ことを参考にしながら日々の支援を行い、記録することを続けました。

イ 情報の共有へ
教育相談コーディネーターの勧めもあって、担任のヤスイケ先生は職員会議の「支援を必要
とする児童の共通理解」の議題の中で、日々の記録を基にユウジさんの様子について報告しま
した。










いつも活発なユウジさんは小学4年生。前担任は、努力しても文字を上手に書けないこ
とが他の不適応行動に影響しているのではないかと感じていました。
引継ぎを受けた新担任のヤスイケ先生は、日々記録を取り、教育相談コーディネーター
(49 頁)を始めとしたいろいろな先生方と相談しながら、どのような支援をしていけばよ
いのか考えることにしました。
ぼくは、何をしてもう
まくできない。がんばっ
てもどうせ、だめなんだ。
ぼくもみんなみたいに
なりたいのにな。
文字をうまく書けな
いことが、他の面に悪い
影響を与えているよう
だ・・・
なんとかして自分に
自信が持てるような支
援ができないだろうか。
ユウジさんは、他の分野に比べて文字を読み書きすることだけがとても苦手です。
ふりがながないと1〜2年生で学習する漢字を読むことができませんし、文字を書く
ときも写真のように捉えているようなこともあります。また、テストは読み上げると
意味を理解して正解することができますが、読み上げないとほとんど空白にしてしま
います。
1番心配していることは、最近雑談の中で「ぼくは、だめなやつ。」、「どうせ、で
きないし。」、「ぼくもみんなみたいになりたいのにな。」などと言うことがあることで
す。
担任としては、こういった本来の問題ではない二次障害的な問題をできる限りなく
し、通常の指導を続け、その上で聞く力を伸ばすことでカバーする方法はないか探り、
本人の自己効力感を育てていきたいと考えています。
そのような事情ですので、ユウジさんに関わることがありましたら、読み書きの部
分は叱るのではなく、ぜひ手伝ってあげてください。
ヤスイケ先生
ユウジさん
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31
ウ 対応の検討
教育相談コーディネーターは、職員会議でユウジさんの様子について他の教員との共通理解
ができたので、校内委員会を開いて具体的な校内支援の方法について考えることにしました。



エ 具体的な取組
ヤスイケ先生は家庭訪問の時、ユウジさんの様子と校内委員会で話し合われた内容を保護者
に伝えました。
















ユウジさんのお母さんも文字のことをとても心配していました。障害があるかどうかについて
は「よく分からない。」としながらも、支援については「ぜひ、お願いしたい。」とのことでした
ので、本格的にそれぞれの支援を開始しました。
大学生のボランティアに支援して
もらえるようにお願いしてみます。

保護者も困っておら
れるでしょうから、家庭
訪問のときに様子を話
題にしたらどうかしら。
マスがあると書きやすいよ
うだから、A4のマス目用紙を
教室に常備していつでも使え
るようにしておきます。
書写の時、個別に支援
しますね。
同学年担任
担 任
教育相談
コーディネーター
7月までは、みなさんででき
ることをやってみて、それから
専門機関に相談した方が良い
かどうか、もう一度話し合いま
しょう。
書写担当
特殊学級担任
養護教諭
校内委員会

校 長
学年集会などの学年の行
事などで、配慮していきま
しょう。

うちのクラスのトオルさ
んと様子が似ているから、
一緒に学習したらお互いに
刺激になりそうですね。

ヤスイケ先生の提案
ユウジさんの様子から、文字が苦手なのは本人の努力不足のせいでもお母さんの育て方が
悪いせいでもないと考えられます。
学校としては、ユウジさんの力を伸ばすため次のような方策を考えました。

@ 授業中は、マス目用紙を使って指導したい。
A 国語以外のテストの時は、読めない文字を近くで読み上げてから解かせたい。
B 国語の時に、週に1〜2時間程度特殊学級に行って、文字の読み書きの学習をしてはど
うか。
C 7月までこのシステムで指導し、今後については7月の個別懇談会の時に保護者と話し
合って決めたい。
D 友達関係に不適切な変化が起きないように指導する。
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オ 評価
7月の個別懇談会では特殊学級の先生にも入ってもらい、ユウジさんの成長を具体的に振り返
りました。

ヤスイケ先生は特殊学級の先生と一緒に個別懇談会の様子を教育相談コーディネーターに報
告しました。
教育相談コーディネーターは、次のように考えました。














カ ヤスイケ先生の振り返り
教育相談コーディネーターが中心になって学校全体で校内支援
体制を整えてくれたので、40 人近いクラスを担任しながらもユウ
ジさんの個別のニーズにできる限り応えることができました。お
母さんもユウジさんを肯定的に見てくれるようになったし、感謝
の言葉ももらいました。9月からもがんばろう!


特殊学級担任 担 任
家でよく特殊学級での授業のことを楽しそうに話してくれます。これまであまり学校のことを
話してくれなかったので、私もうれしいです。9月からもぜひお願いします。
友達関係で特に変わったところはないのですが、やはり友達の見方が変わってしまうことが心
配なので、そちらの指導もよろしくお願いします。
7月
個別懇談会
特殊学級での文字にかかわ
る個別指導を始めてから、
「どうせ、できない。」とか「ぼ
くは、だめなんだ。」などの言
葉を聞くことがとても少なく
なって明るくなった気がしま
す。
このまま、どんどん自信を
つけていってほしいと思いま
す。
ユウジさん、よくがんばりました
よ!実物を見せてこんなふうにでき
るまで繰り返し練習したら、1年生の
漢字はひととおり書けるようになり
ました。夏休み中も忘れないようにお
うちで練習してみてくださいね。
うちのクラスのトオルさんにいろ
いろとアドバイスしてくれたり、時に
は競いあったり、お互いに高めあって
くれてありがたいです。
保護者
教育相談コーディネーターの考え
○ 保護者との関係も順調なので、9月からも今の支援体制を継続して、12 月の個別懇談会
の時にまた相談することにしよう。
○ 改めて校内委員会を開く必要はないだろう。職員会議の「児童についての共通理解」の
議題で「順調なので継続します」と全体に報告しよう。
○ ユウジさんの場合、今の支援体制で成長が認められるので、今すぐ専門機関に直接相談
しなくても良いだろう。むしろ、専門機関を紹介すること自体が保護者との信頼関係に
影響することもあるので、適切なタイミングを待って価値あるものになるようにしたい。
--37/96--

--37/96--

33





















ア 校内委員会での話し合い
前担任とも相談し、登校を渋っているという状況は、「学習のしにくさ」に関係しているので
はないかという仮説を立てました。
今年度から、支援が必要と思われる子どもについての校内委員会が設置されたので、委員会
でイチロウさんについて話し合うことになりました。
校内委員会では「学習面で気になるところがある。さらに、専門機関と連携を図りイチロウ
さんの特性を理解して対応を考えたい。」との結論に至りました。保護者の理解も得て、専門機
関で相談することになりました。
イチロウさんは、小学校5年生。6月から、学校を時々休むようになりました。前担
任からの引継ぎによると、「社会性があり、行動面でもまじめで落ち着いている子であ
る。ただ、学習面で教科による得意・不得意の差が大きい。会話での理解力・表現力は
あるが、書くことが苦手である。算数では、知識としては理解しているが、筆算では、
位取りで間違いが多い。図形の課題も苦手。」ということでした。
イチロウさんの欠席が続いたので、アキヤマ先生は家庭訪問をしました。保護者は「5
年生になって、ますます書かなくなった。宿題はやるが、時間がかかり、全部終わらな
い。イライラしている。友達と遊ぶことが少なくなった。どうしたら良いのでしょうか?」
と悩みを話してくれた。
イチロウさんは学習場面で困
っているようだが・・・。今、
自分ができることは何だろう?
わー
どうしたらいいんだろう。
わからないよー。
やっても やっても おわらない。たすけて。
(4)学習スタイルを把握して支援に当たった事例
(小5イチロウさんの場合)

アキヤマ先生
イチロウさん
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34
イ 特性を把握する
















































専門機関からのコメント
・WISC−Vを実施した。視覚系の形の捉え方に困難さがある。処理
速度が低い。言葉の理解・記憶は得意分野である。
・K−ABCでは、同時処理に比べて継次処理が得意であるという結果
である。
・手先が不器用である。作業課題では、十分な時間を確保することが必
要であろう。
・プリント課題に集中して取り組む。書くことは、苦手だが意欲はある。
内容や量的に時間を要する課題では、集中時間が短くなる。課題の量
を少なくし、できたことを認めることが次の意欲につながる。
・苦手であることを本人が意識している。得意な活動を活用し、自信を
持たせる必要がある

POINT!
WISC−V
やK−ABCは
心理検査です。専
門機関から検査
の報告を受ける
ときは、具体的な
対応も含めて話
を聞きましょう。
コラム 〜 学習スタイルを把握する 〜

私たちは、一人ひとり「理解しやすい方法」を持ちながら生活しています。聞い
て理解するより、見て理解するタイプであったり、書きながら記憶するタイプであ
ったりというように自分の学ぶスタイルを身に付けて臨機応変に使い分けていま
す。児童・生徒にとっても学びのスタイルは、個々に違いがあります。この学習の
スタイルを把握することは、児童・生徒の特性を理解し、対応を考えるうえで有効
です。
WISC−VやK−ABCなどの心理検査は、この学習スタイルを把握するため
に有効なアセスメントです。
日本版WISC−V・・・5歳から 16 歳の子どもを対象とした知能検査。13 の
下位検査があり、言語性尺度(言語での質問に言語で答える課題)と動作性尺度(カ
ードや積み木など具体的なものを操作して答える非言語的な課題)に分けられてい
ます。
日本版K−ABC・・・2歳6ヶ月から 12 歳 11 ヶ月までの子どもを対象とした
知能検査。主な特徴は、知能と習得度を分けて測定することと、知能を「継次処理
と同時処理」の情報処理のプロセスとして測定することです。継次処理とは、情報
を一つずつ順番に処理していく方式であり、同時処理とは、情報を空間的に全体と
してまとめて処理する方式です。

参考文献:石隈利紀・田村節子 平成 15 年3月 『石隈・田村式援助シートによるチーム
援助入門―学校心理学・実践編―』 図書文化社
--39/96--

35
ウ イチロウさんの悩み
アキヤマ先生は、学校行事で登校したイチロウさんと話をする機会を作りました。イチロウ
さんは、始めは口が重かったのですが、次第に、困っていることを話してくれました。「学校を
休んだきっかけは、今から考えれば、宿題が終わらなかったこと。5年生になり、勉強が難し
くなったし、字がうまく書けないし、書くのも遅い。」
アキヤマ先生は、話をしてくれたイチロウさんを褒め、「イチロウさんは、書くことが苦手だ
ったんだね。宿題が多かったね。これから先生と一緒に考えていこう。」と伝えました。
専門機関でのコメントとイチロウさん自身が感じている困り感を受け、校内でどのような支
援ができるのかを校内委員会で話し合いました。イチロウさんには、学習支援が必要であると
いうことになり、担任が学級で取り組むこと、校内体制として取り組むことなどを、具体的に
探ってみました。

エ 担任が学級で取り組むこと


















オ 校内体制として取り組むこと
学級で取り組む以外に、校内体制として取り組むこととしては、
ティーム・ティーチングの活用、校内に設置されている通級指導教
室の担当者や養護教諭との連携が考え出されました。ひとまず、学
級での取組を、全校でバックアップするという「担任を支える校内
体制」を築くことにしました。

カ アキヤマ先生の振り返り
イチロウさんが突然学校を休んだときは、どうしようかと悩みました。
そんなとき、前担任の情報や校内委員会の存在を心強く思いました。不登
校には、さまざまな背景があると考えられていますが、イチロウさんのよ
うに「学習のしにくさ」から苦戦している子もいるということが分かりま
した。
イチロウさんは、これからも自分の特性を意識しながら生活していくと
思いますが、教師が生活しやすくするための方法やヒントを与えてあげら
れたらいいですね。それによって、いわゆる二次的な情緒的問題を防いで
あげることが必要です。

・文字や形の認知が困難なので、言葉による補足説明や個別に指で形を書いて指示をする。
社会の地図学習、算数の図形学習、音楽のリコーダーの指使い等でも同様に行う。
・与える課題の量を考慮する。
・作文等、長い文章で表現するときには、鉛筆で書く以外の方法を選択できるようにする。
<例>考えたことを録音してから書く。ワープロを使用する。
・話すこと、聞くこと等の得意分野を活用する。学級会の司会や発表会等で活躍できるよう
にし、自信を高める。
・定期的に相談の時間を設ける。
・「必要な支援を必要な子へ」のスタンスで他の子どもにも接する。
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(5)「みんなで支援」を目指した学級づくりをした事例
(中1フユコさんの場合)

















ア 家庭訪問
イトウ先生は、家庭訪問で情報交換をしました。
乳幼児期に言葉の発達が遅いことで療育機関に通っていた経緯
があり、そこで自閉的傾向があるという見立てを受けたようでし
た。その後、幼稚園や小学校時代には、担任と保護者が連絡を取
り合うことで混乱した状況を乗り越えて行ったということでした。
また、5年生のころには、身体的ないじめを受けていたことも分
かりました。

イ 教育相談
6月の教育相談週間に、イトウ先生は、フユコさんと話をしました。
フユコさんによると、入学して間もなく、同じクラスの生徒から、言葉でのからかいを受け
たことがあり、そのとき、ふと小学校のときにいじめられたことを思い出してしまったという
ことでした。
そこで、からかいについては、先生から注意をすること、また、心配なことがあればいつで
も話をしてほしいと伝えました。
もう一つ、フユコさんが悩んでいたことは、「自分は他の人と少し違う感じがする。」という
ことでした。イトウ先生は、人は一人ひとり違った個性を持っているのだということを伝えま
した。また、「フユコさんは、絵が得意ね。」「独特の色使いやダイナミックな構図が素敵だと思
うわ。」と、意識的に担任の思いを伝えました。
しかし、フユコさんの自己評価は低いものでした。「絵なんかうまくても何の役にも立たな
い。」「学校では自分は何もできない。」と大きな声で言い、苦手なことや嫌いなことは初めから
避ける傾向がみられました。
フユコさんは、中学校1年生。丸暗記するような内容の学習はできるのですが、グループ学
習の場では他生徒と一緒に活動ができなかったり独特な話し方をしたりします。5月のある
朝、担任に本人から「今日から学校を休みます。」という電話がありました。驚いたイトウ先
生は、早速保護者と連絡を取ったところ、本人が学校に行かないと言い出し、家族もどうして
か分からず困っているということでした。学級の生徒にフユコさんのことで思い当たることが
ないか尋ねてみました。周囲の生徒はフユコさんの印象をちょっと変わった子と捉えているよ
うでした。特に、中学校で初めてフユコさんに出会った生徒の中には、からかう対象にしてい
る者もいるということが分かりました。
POINT!
過去の不快な体験が、
あることをきっかけとし
て、突然、フラッシュバ
ックして混乱することも
あります。
学級のみんなが一人ひ
とりを思いやる、そんな
学級をつくりたいな。
わたしって、な
んかみんなと違う
ような気がする。
みんなが私の遠く
にいる。なぜ?
イトウ先生
フユコさん
--41/96--

37
フユコさんに自信をつけさ
せてあげたいな。
生徒に「学級全体で、フユコ
さんを支える。」という気持ち
を持たせたいな。

ウ 学級を人間関係づくりの基本とする取組
イトウ先生は、研修講座で学んだ「構成的グループエンカウンター」を学級づくりに用いよ
うと考えました。
具体的には、毎日のホームルームでは短い時間で行えるショートエクササイズを継続して行
い、道徳や総合的な学習の時間、学校行事、進路学習等においては、学級の子どもの実態や学
級集団の状態に応じて取り組んでみました。











































POINT!
構成的グループエンカウンターの目的は、自他理解と
人間関係づくりです。
自己開示や自己主張をし、感じたことや気付いたこと
を振り返ることで、みんなで分かち合う力が培われます。
ホームルームでのショートエクササイズ(例)
「あいこじゃんけん」
ねらい: 気持ちを合わせる難しさと心地良さを体験する。また、教師との心理的な距離を
縮める。
内 容: 教師の目を見て気持ちを合わせる。「グー、チョキ、パー」の中から教師と同じ
ものを出す。これを3回繰り返す。隣の人とペアになり、同様に行う。

参考文献:國分康孝(監修) 平成 11 年 11 月 『エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集』図
書文化社
学期末に実施したエクササイズ(例)
「もう一つの通知票」
ねらい: 自分やクラスメートが成長したことや、努力していることに気付き、自分で自
分を褒めたり、他者の良いところを認めたりする大切さを知る。また、クラスの
中で自分は認められている存在であり、一人ひとりが大切な仲間であることを認
識し合う。
内 容: 生徒一人ひとりが、クラスメートが成長したり努力したりしていると感じてい
ることをカードに記入する。教師がひとまずカードを回収し、「もう一つの通知
票」にクラスメートからのメッセージとしてカードを貼っていく。
なお、自分自身のことの記入に当たっては、次のような内容を生徒に伝える。
「あなたの良いところ、あなたの得意なところを見つけていきましょう。百点満
点の人なんかいません。本当の自分をみつめて、あなたがあなた自身の一番良い
友達になってあげてください。マイナス点がついてしまったら、本当の自分と仲
良く解決していきましょうね。そして、あなたの周りの人に優しい気持ちで関わ
っていきましょう。」

参考文献:國分康孝(監修) 平成 13 年6月 『エンカウンターで学校を創る 心を育てる学校ぐるみの実践集』
図書文化社
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38
エ フユコさんへの個別の支援
相手の思いや考え、ルー
ルを具体的に言葉で説明
・ 絵が描けることは素晴らしいことで、大切な特技です。
・一人ひとりはみんな違うので、得意なことや苦手なことも違って良
いのです。
・フユコさんが、周囲の友達をうらやましいと思うのと同じように、
絵が苦手な人はフユコさんをうらやましいと思っています。
・〇〇分になってチャイムが鳴ったら作品を見せてください。
具体的に心をこめて褒め

・ここの線がとっても良い。
・色の使い方がすばらしい。

得意な分野を学級の活動
の中に取り入れて、学級
の中で役割が果たせる場
を設定
・学級の掲示物のイラストを描く。
・学級通信のイラストを描く。
・文化祭の学級展示物のイラストを描く。
・学級の旗作りの下絵を描く。そして、色はフユコさんの指示によっ
て他の生徒たちが塗っていく。


オ イトウ先生の振り返り
中学時代は、思春期でもあり、自己をみつめ他者と自分の違いを
意識し始めます。フユコさんは、自分はどこか違うということで悩
みました。フユコさんには、教育相談の視点で本人の不安や悩みを
しっかり聞くことが必要だと感じました。また、みんなでみんなを
支え合う学級づくりを目指すことで、他の生徒がフユコさんを理解
することにつながったように感じました。



























コラム 〜 フラッシュバック現象とタイムスリップ現象 〜

フラッシュバック現象は、過去にあった衝撃的な出来事が突然はっきりと思い出
されてしまう現象で、(心的)外傷後ストレス障害(PTSD)の一つの症状として
も挙げられています。
このフラッシュバックと同じような現象として、自閉症の「タイムスリップ現象」
があります。タイムスリップ現象では、現在、生じている現象とよく似た過去のあ
る時点の感情的な場面の記憶がよみがえります。そして、過去のその場面が、感情
的には再体験されてしまいます。
自閉症児の記憶は、その多くが、言葉より映像として脳にしまわれていると言わ
れます。過去の記憶が、似たような場面で強く引き出されることがあると考えられ
ています。

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(6)外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例
(中2ゴロウさんの場合)





















ア 保護者面談
保護者に学校で混乱したときの様子を伝えたことで、家庭でもしばしば同じようなことが見
られることが分かりました。幼児期には、言葉の発達が遅いために療育機関に通っていたこと
やそこで自閉症的な症状が見られると言われたことがあったようです。小学校へ入学してから
は、集団活動が苦手でしたが、学習面では心配なことはなかったようです。
サトウ先生は、ゴロウさんの特性を理解し、学校での対応の方法を考えたいと保護者に伝え
ました。保護者は、そのことを了解してくれました。その後、サトウ先生の勧めもあり、就学
前に通っていた療育機関へ保護者が連絡をし、次のようなアドバイスが得られました。

中学校2年生の2学期に転校してきたゴロウさんは、言葉遣いが丁寧で、学級の生徒
にも丁寧語で話します。毎日登校し、係の仕事などの役割はしっかりと果たしています
が、服装を整えること等の身辺の整理が苦手のようでした。また、授業中、小さい声で
すが独り言が多いことや会話を交わすときにゴロウさんからの一方通行のような気がす
ることが、担任のサトウ先生には、気になっていました。
10 月の全校合唱コンクールを目指して生徒たちが自主的に練習を始めたある日、まと
め役の生徒が、職員室のサトウ先生のもとへ走ってやってきました。「サトウ先生!ゴロ
ウさんが・・・。」
教室では、ゴロウさんが大きな声を出して混乱状態でした。サトウ先生は、ゴロウさ
んに何があったのか尋ねましたが、ますます混乱していくばかりです。とりあえず、ゴ
ロウさんと別の教室へ行き、興奮が治まるまで待ちました。ゴロウさんに状況を聞きま
したが、一向に様子が分かりません。そこで、他の生徒に聞いたところ次のような状況
であったことが分かりました。「練習は4時で終了するはずだったが、4時を回ったとこ
ろで、もう1回だけ歌うことになった。すると突然ゴロウさんが大きな声をあげ、みん
なも混乱してしまった。」
このようにゴロウさんが混乱することが多くなったので、個別面談で保護者と相談す
ることにしました。
予定では4時に終わる
ことになっていたんだ。
4時過ぎたのに、また、
伴奏が始まったんだ。
「あと、1回で終わりに
します。」と、言ってくれ
たら分かったのに・・・。
混乱してしまうの
はなぜかしら。混乱し
て興奮している時に
はどう対応したらよ
いのかしら?
サトウ先生 ゴロウさん
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40
対応
・あいまいな表現は避け具体的で簡潔な言葉で表現する。
・口頭での説明の他に、必要に応じて文字や写真等の視覚的な補助教材を使用して説明する。
・活動を開始する前に、文字に書いて、段取りを説明する。
・予定を変更する場合は、早めに予告する。
・褒めるときは、何が良かったのかを具体的に伝える。
・時間がかかる作業に関しては、ワークシートを用いスムーズな行動へと導く。(図5)
・社会生活で必要なスキルを教える。人間関係を築くコツを教える(ソーシャル・スキル・
トレーニング)。
・グループ活動では、時間設定や話し合いのルールを明確にする。
・混乱してしまう「言葉」や「苦手なもの」をリストアップしておき、周囲の人たちに知ら
せておく。
・「ゴロウさんが苦手であるという状況」をリストアップしておき、事前にロールプレイな
どで、その場面での対処法をゴロウさんに教える。
・ いやな気分になったときに自分自身でできる対処法を教える(ストレスを解消する方法な
ど)。































特性
・ 知的能力は年齢相応だが、自閉症の特性が見られる。
・ 視覚的な認知力が良い。
・ 多弁だが、話の内容はゴロウさん中心であり、言葉のキャッチボールが苦手である。
・ 比喩や冗談など、言葉の裏にかくされた真意を読み取ることが苦手である。
・予定の変更は混乱しやすい。

コラム 〜 ソーシャル・スキル・トレーニング(SST) 〜


ソーシャル・スキル・トレーニングとは、社会生活を遂行するために必要なスキルを
形成したり修正したりするための訓練のことを言います。その中には対人関係に関わ
るスキルも含まれ、その内容として、挨拶、会話の運び方、依頼の仕方、お礼の仕方、
人のしぐさの読みとり方、人の話の聞き方、話し方などが挙げられます。
学校生活を送る上でも、さまざまなスキルが必要となります。例えば、「授業を受け
るとき」を考えてみると、話し手に注目する、話を聞く、意見を言うときは挙手する
などのメッセージを出す、発言する、質問する、適度にうなずく等があります。
トレーニングの一例として次のような内容があります。「@学習するスキルを特定
し、Aスキルを学ぶ目的を理解させ、Bモデルを示し、Cロールプレイで練習し、D
観察者がフィードバックし、E実際に使ってみる。」
ところで、実際の学校生活では、さまざまな状況に出会うことになります。そのよ
うな中で、対人関係を良好に築くためには、状況の変化に柔軟に対応し、臨機応変に
その場に応じたソーシャル・スキルを

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41


身だしなみという抽象的な言葉を具体化して書き出し、場面ごとに必要な項目をチェッ
クできるようにしました。これを、ファイル式のバインダーに綴じ込み、毎日、担任とチ
ェックするようにし、朝、登校前に家庭でもチェックするように保護者にも協力を求めま
した。

図5「身だしなみ スムーズ作戦」


























イ サトウ先生の振り返り

なんとなく気になっていた生徒だったが、
特性が理解できたとき、霧が晴れたようだ
った。また、専門機関のアドバイスを基に
対応を考えられたことで、更に具体的な支
援につながったと思う。


POINT!
日常生活に必要な身辺動作や人と関わるときに必要な能力(ソーシャル・スキル)などが、小学校高学年や
中学生になっても身に付いていないことがあります。「自然に身に付く」と考えるのではなく、「具体的に教え
ていく」というスタンスが必要です。
10月 16日(水)

予定の変更 国語・数学なし キャンプの事前学習


場面 チェック項目 終わったら〇
顔を洗う。 〇
歯を磨く。 〇
制服を着る。
(ボタンをとめたか・ネクタイはまっす
ぐか・襟がはみ出していないか)

家を出るまでにするこ

髪の毛をとかす。 〇
ティッシュを机に置く。 ○
食べ終わったら口とテーブルを拭く。 ○
お弁当の時間
弁当箱をカバンにしまう。 ○
脱いだ制服はロッカーにしまう。 体育なし
鏡でシャツがズボンから出ていないかを
見る。

体育が始まる前
体育館履きを持つ。
脱いだ体操着は袋に入れて、ロッカーに
しまう。
体育なし
鏡を見て襟、ボタン、ネクタイを点検す
る。

体育が終わったら
体育館履きをロッカーに入れる。
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(7)校内でマニュアルを作成して支援を行った事例
(高1アキオさんの場合)



















ア 医療機関との連携
コジマ先生は、アキオさんやアキオさんの保護者から困っていることや悩んでいることにつ
いてよく話を聞いた上で、まずは医療機関での相談を勧めました。しばらくして、保護者から
アキオさんがアスペルガー症候群と診断されたとの連絡を受けました。コジマ先生と保護者・
医師が何度も相談した結果、本人にアスペルガー症候群であることを知らせ、自己についての
理解を深められるようにすることにしました。また、コジマ先生や保護者・医師はアキオさん
に対して、その後の十分な心のケアを心掛け、さまざまなスキルを学習していくことで、苦手
なところをカバーしていくことができると励ましました。

イ 「アキオさんへの支援マニュアル」の作成
アキオさんの問題について校長と話し合った結果、校内の教員で「校内支援会議」を開催す
ることにしました。また、この会議では専門家にも参加を要請し、数回開催しました。
コジマ先生は、校内支援会議で話し合われた内容から「アキオさんへの支援マニュアル」を
作成しました。
アキオさんは、高等学校入学当初から周囲の生徒との関係がうまく作れず、級友と言い
争いをして授業を中断させたり、授業中に教室を飛び出したりすることがありました。登
下校中も他の生徒とのトラブルが毎日のようにありました。また、アキオさんは服装を整
えることや持ち物の整理整頓が苦手であり、特定の数字や日付へのこだわりも見られまし
た。
担任のコジマ先生は、アキオさんと何度も面談しましたが、アキオさんは過去にいじめ
や暴力を受けた経験を言うばかりで一向に改善の兆しがみられませんでした。
周囲の生徒は大変に傷つき、「アキオさんがいなければクラスは楽しいのに。」と言って
泣きだす生徒や怒って暴力を振るう生徒が出てきてしまいました。コジマ先生は、一日に
何度も助けを求めに来るアキオさんと、頻繁に苦情を言いに来る他の生徒の相手で疲れき
ってしまいました。
みんなから好
かれたいから近
づくのに。
ぼくは、どこ
かみんなと違う
ような気がす
る。

一番つらいの
はアキオさん。
なんとかして
自制心と自信を
付けてあげた
い。
でも、今のま
までは・・・。
コジマ先生
アキオさん
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--47/96--

43

















































アキオさんへの支援マニュアル

1 上手な声かけ
○今、何をするべきかを、安定した声で断定的に言う
○怒鳴らない、批判しない、説教しない、嫌味を言わない、からかわない(プライドを傷つ
けられた不快な体験が蓄積される)
○「何回言ったら分かるんだ!」、「何でまた?」と言わない・思わない(経験から学ぶこと
は大変難しい)

2 話をする時
○話を聞きすぎない(どんどん不幸な思い出話に陥ってしまう)
○言葉どおりに受け取らない(過去の嫌な思い出にとらわれて、思わず口に出してしまう言
葉がある)
○視覚に訴える(言葉は本人の心の中までなかなか入っていかない)
○図解、フローチャート、契約書、べからず集などを書かせ、携帯してもらう(相手の気持
ちは理解できないが、新たに学習することはできる)
○望ましくないことを止めた時にすぐ褒める
○良くないことをした時は、はっきり良くないと伝える

3 興奮している時
○場を変え、クールダウンの時間をまず 10 分取る
○自己コントロールする力を養うため、かっとなったら、その場を去りどこへ行くか、誰に
相談するか、前もって順位を決めてリハーサルをしておく
○作業などをしてもらい、気をそらす

4 周囲の生徒に上手な対応を教える
○嫌だということを上手に伝える術を学んでもらう
○周囲の生徒にもアキオさんへの支援の協力を依頼する

5 本人の興味をいかす
○教科準備室での学習や情報教室でのインターネット等、昼休みに行く場所やすることを見
つけてあげる

6 保護者の協力
○緊急時の付き添いや送り迎えをお願いする
○問題行動があった時は保護者から迷惑を受けた生徒や保護者へ謝罪してもらう
○何に困っているかを保護者に伝え、医療機関で投薬を受ける際の参考にしてもらう

7 養護学校や教育相談センターとの連携
○本人や保護者との面談やメール相談のお願いをする
○定期的な校内支援会議への参加をお願いする

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ウ 周囲の生徒の理解を得る
コジマ先生は、保護者と相談し、アキオさんの苦手な部分について、保護者から学級の生徒
たちに説明をしてもらうことにしました。保護者からは、アキオさんの障害についての説明だ
けでなく、親としての子どもへの思いや願いについての話や、クラスの生徒への感謝の言葉が
ありました。後で、クラスの生徒やコジマ先生からは、保護者への気持ちを手紙で送りました。
また、教員は周囲の生徒たちの不満や不快感を受容し、迷惑を受けた生徒の要望を丁寧に聞
き取りました。「どの生徒も同じように大切」という態度で接しました。

エ アキオさんへの支援
アキオさんを支援する主な担当者を、コジマ先生と教科担当の二人にしました。役割を分担
することにより、コジマ先生の負担が軽減されました。

○他の生徒とトラブルを起こすことが多い休み時間をアキオさんが落ち着いて過ごすことがで
きるように、図書室、情報教室・職員室等に居場所を確保しました。また、アキオさんが不
安定な時は、他の生徒と時間差をつけて下校させるようにし、下校時間になるまでは、職員
室で対応しました。

○決してあわてたり怒鳴ったりせず、絶えず明るく穏やかな話し方を心掛けました。アキオさ
んのペースに乗らず、楽しいことに着目するようにし、不安や悲観に陥らないように絶えず
前向きな感情を示し続けました。
例:「良かったね。」、「おいしいね。」、「楽しいね。」、「毎日充実しているね。」
また、アキオさんが自分自身のいい所に着目できるよう、肯定的な声かけをしました。











○アキオさんが、専門職を強く希望したため、大学進学を目指して個別に学習指導をしました。
指導の際はできるだけ褒めるようにし、学習の成果が自覚できるようにしました。

オ コジマ先生の振り返り
校内支援会議を開催したことや支援マニュアルを作成したこと
によって、教員のアキオさんへの理解が進み、適切な対応がとれ
るようになったことが、良い結果につながったと思います。周囲
の生徒たちもアキオさんを励ましてくれるようになりました。
高等学校には単位の修得による進級・卒業という高いハードル
がありますが、アキオさんは、その後、一つの単位も落とすこと
なく無事卒業し、一般受験で大学に進学することができました。

英語がよく
できるね。
世界史で平均
点以上取れた
ね。
マラソンが
速いね。
いろんなニュ
ースを知って
るね。
パソコンが得
意だね。
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(8) 教育相談機関と連携して支援を行った事例
(高2ナナコさんの場合)


















ア 教育相談機関への連絡
イノウエ先生は、ナナコさんの学業不振は単に努力や意欲の不足ではなく、何か他に原因が
あるのではないかと感じていました。そこで、養護教諭とも話し合い、地域の教育相談機関に
連絡を取ることにしました。まず、事前に保護者と面談して承諾を得るようにしましたが、普
段から学校での様子を伝えられていた保護者は、すぐに納得してくれました。

イ 教育相談機関の相談員の訪問
しばらくして、学校に相談員が来てくれました。相談員は教室でナナコさんを観察した後、
ナナコさんと直接会って話をしました。
相談員は面談の様子から、ナナコさんが発達障害の一つであるアスペルガー症候群の可能性
を考え、ナナコさんのアセスメントと保護者には子ども理解のためのサポートをすることにし
ました。また、今後も学校と連絡を取り合いながらナナコさんの支援について、一緒に考えて
いくことになりました。

ウ ケース会議の開催
学校では、教頭、教務主任、担任、各学年代表1名、養護教諭をメンバーとしてケース会議
を開催しました。また、専門的なアドバイスを得るため相談員を会議に招きました。相談員は、
保護者の了解を得た上で、アスペルガー症候群について次のような説明をしました。
ナナコさんは、高等学校入学後、欠席することはありませんでしたが、友達ができず、
話し相手がいませんでした。また、教科によって学習に集中できていない様子が見られま
した。学習上の問題はありましたが、2年次への進級はなんとか認められました。
2年生になって、数学は、ほとんど学習に参加しなくなり、教科書とノートはカバンの
中に入れているのですが、机の上には何も出しません。体育も参加をしぶるようになりま
した。相変わらず友達はできず、話しかけられた言葉をささやき声で繰り返すことがある
ので他の生徒にからかわれることもあります。特定のマンガには強い興味があり、その話
題になると相手が聞いていようが、いまいが、関係なく話し続けます。
担任のイノウエ先生は、ナナコさんに対して特に気をつかって、励ましたり、注意した
りしましたが
、ナナコさんから反発を受けることが多くなりました。
数学や英語は、先生
の言っていることが
さっぱり分からない。
勉強しようとして
も、マンガのことで頭
の中がいっぱいにな
ってしまうの。
教科によって取組にム
ラがありすぎるな。
注意してもなかなか指
示に従ってくれない。
このままだと留年にな
ってしまう。
なんとかしなけれ
ば・・・。
イノウエ先生
ナナコさん
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アスペルガー症候群の特徴
・変化に対応しにくいためストレスがたまりやすく、精神的にもろい。
・人づきあいが下手である。
・人間関係の理解が難しい。
・人とつきあう上での約束事が分かりにくい。
・柔軟性が乏しい。
・不器用である。
・理解しがたい強迫的な興味を持っている。
・自分が興味を持つことにはのめり込む。その分野で後々大きな業績を上げることもある。
・単純記憶は優れている。
・ナイーブで常識に著しく欠けている。

教員のできるサポートとして



































・予測可能で安全な環境を設定する
・予定に変更がある場合は、事前に知らせておく
・新しい事態は、あらかじめシミュレーションをしておく
・やりとりの手本を示し、ロールプレイをしてみる
・対人場面でのルール、言葉づかい、距離、視線を教える
・人を困らせたり、侮辱したりした場面では、人の気持ちを言語
で伝え、どういう言動なら良かったのかを教える
・その場に関係ない話は認めず、別の時間を設定して、興味のあ
る内容の話に付き合う
・卓越している分野に関しての発表、承認の場面を設定する
・自由にできることと特定のルールに従わなければならないこと
を分けて示す
・注意や集中の対象がそれないように静かな言葉かけ、非言語的
な促しを用いる
・集中を促しやすい座席配置にする
・一度に提示する課題の量を減らす
・運動技能を必要とするゲーム等に無理に参加させず、観戦させ
たり、得点集計をさせたりするなどの間接的な参加から始める
・手先の不器用さがある場合、興味のある手や指を使う課題を導
入する
・自分の思い通りに事が展開しないと感情爆発してしまうので、
日頃から自分の気持ちを言語化する練習をする
・かんしゃくを起こさない対処法を書いて、常時持たせておく

変化を嫌う
ことに対して

限局的な興味
に対して

集中力の不足
に対して

心が傷つきや
すいことに対
して

協調運動が苦
手なことに対
して

対人相互交流
の問題に対し

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このケース会議ではナナコさんへの具体的な支援策についても話し合われました。また、2
回目以降のケース会議でも相談員は、授業等のナナコさんの学校生活の様子の観察を行いなが
ら会議に参加し、支援についてアドバイスを行いました。

エ ナナコさんへの支援
担任
ナナコさんにとって、教室ではどこが集中しやすい席なのか考えました。以前、一番前の席
になった時は比較的よく学習に取り組んでいたことを思い出し、以前と同じ席にしてみました。
また、ナナコさんは「クラスの男子がうるさい。」と何度も言っていたので、周囲に座る生徒に
も配慮しました。
ささいなことでも褒めるように心掛け、大きくうなずくなどして、共感的で寛容な態度がは
っきりと分かるように示しました。
各教科担当
新しい単元に入るときには全体的な見通しを説明しました。また、課題を一度に提示するこ
とはできるだけ避けるようにし、課題の量も減らす工夫をしました。集中が途切れそうになっ
た時には、言葉による注意だけでなく、本人が理解できる合図を送るなど、視覚的な指示を出
すようにしました。
体育担当
まず第一に、体育の授業に参加できるようにすることを考えました。そこで、ケース会議で
の話し合いの結果、特別に指導の場を設けて体育の授業を行うことにしました。事前にナナコ
さんと保護者に了解を得て、ナナコさんのペースに合わせて指導を行いました。
養護教諭
ナナコさんは、以前から保健室には頻繁に足を運び、養護教諭に自分の好きなマンガの話を
することがありました。そこで、養護教諭が対人場面での行動の仕方を図や文字を使って指導
するようにしました。ナナコさんが嫌がることのないように、面談の時間を区切って、ここか
らここまではマンガの話、ここからはソーシャル・スキルの学習というように面談にメリハリ
をつけました。

オ イノウエ先生の振り返り
ナナコさんの学習態度には、大きな変化はまだ見
られませんが、指示に対して反発するような場面は
少なくなってきたように思います。心配していた進
級に関しても体育担当の先生の支援で単位が修得で
きそうです。
ケース会議に相談員が参加し、専門的なアドバイ
スを受けたことで、自信を持って支援をすることが
できました。
アスペルガー症候群の子どもは、環境から受けるストレスに傷つきやすく、
対人関係を形成する能力に重い障害があります。教員は、アスペルガー症候群
の子どもが世の中と折り合うことを学習できるよう援助するという、大変重要
な役割を担っています。
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--52/96--

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4 校内支援体制づくりに向けた取組

校内支援体制(関連)図










養護教諭
児童・生徒指導担当
特殊学級担任
校 長

クール
カウンセラー
少人数指導・TT 担当
子ども 保護者
教育相談
コーディネーター
相談支援チーム
養 護 学 校
教育相談機関
児童相談所
医療機関
福 祉
機 関
校内支援体制
(16) 児童・生徒指導体制との連携
(14) 特殊学級との連携
(12) 交換授業・少人数指導等の実施
(7) 養護教諭の役割
(18) 保護者に対する支援
(2) 通常の学級における配慮と指導
(3) インクルーシブな学級づくり
(4) 教室環境の工夫

(15) 通級指導
教室での支援

通級指導担当
(6) 教育相談コーディネーターの役割
学 校
(19) 保育園、幼稚園、
小・中・高等学校との連携

(20) 外部専門機関との連携
(5) 校長の役割
同学年担任
担 任





校内委員会の設置
校内研修会の開催
リソースルームでの支援
個別の支援計画について
(8)
(10)
(13)
(21)
(1)
(9)
(11)
(17)
学校全体での取組
ケース会議の実施
チームによる支援
支援メニューの充実
※( )内の数字は、4章での表記の順番です
地域や学校の人的・物的資源を生かし柔軟な体制を作っていきましょう!
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(1)学校全体での取組


通常の学級に在籍する支援を必要とする子どもに対しては、担任が配慮して指導するこ
とに加え、学校全体で子どもの共通理解を図り、校内での支援体制を工夫していくことが
大切です。そのためには、日頃から全校で取り組めるような校内支援体制づくりを進めて
おく必要があります。

子どもの共通理解
全教職員で子どもの共通理解を図るために、校内で研修会を実施したり、学年会や事例
検討会で、複数の教員の観察を基に情報交換したりすることが大切です。

通常の学級における配慮
まず、その子どもを観察し、本人の困り感や特性をよく理解し、その特性にあった指導
上の配慮や授業の工夫、教室環境の整備等が必要です。

校内委員会の設置
校長、教頭、教務主任、教育相談コーディネーター、養護教諭、特殊学級担任、児童・
生徒指導担当、各学年代表、心の相談員、スクールカウンセラー等で校内委員会を設置し、
各学年で収集した情報を基に、多面的に実態を把握し、対応を検討することが有効です。
既存の組織に校内委員会の機能を持たせて活用する方法もあります。

学校全体での取組
実際の支援に当たっては、教員間での協力・連携により、学校内の人材、時間、場所等
の資源を活用する工夫が大切です。例えば、ティーム・ティーチングでの指導、学級担任
同士による交換授業、少人数指導等が挙げられます。特殊学級があれば、その担当者が通
常の学級の担任と協力して指導を行ったり、個別指導を行ったり、専門性をいかして助言
したりすることも有効です。

専門機関の活用
子どもについての理解が困難だったり、なかなか取組の効果が得られなかったりする場
合には、専門機関(総合教育センター、教育研究所、医療機関、養護学校等)に相談しま
しょう。客観的な実態把握や指導方法等についての専門的な助言が得られます。本県の盲・
ろう・養護学校では、それぞれの学校の専門性をいかした地域センターとしての取組を展
開しています。







教育相談コーディネーター

神奈川県では、障害のある子どもを含め、すべての子どもたち一人ひとりが持つ
独自の課題を教育的ニーズとして捉え、それぞれの子どもに応じた働きかけをする
「支援教育」を推進しています(6、7頁)。そこで、特別支援教育と不登校等へ
の対応を兼ね、小・中・高等学校の校内の支援教育を推進するためのキーパーソン
となる「教育相談コーディネーター」の養成を行っています。
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50
(2)通常の学級における配慮と指導


学級の指導の中で
学級は、安心して生活や学習をする場であり、お互いが認め合い豊かな人間関係を育む
集団の場です。学級づくりに当たっては、子どもの個性を尊重し、一人ひとりの存在を認
め、共に支え合い、協力し合うことの喜びと大切さを実感できるようにすることが大切で
す。
















授業の中で
指導内容の精選を図り、基礎・基本がしっかり身に付くように指導しましょう。そのた
めに、子どもの興味や関心をよく知っておき、学習の内容に応じた指導方法を工夫し、子
どもが主体的に学習に取り組めるような分かりやすい授業を工夫することが大切です。








子どもの気持ちや個性を受け止める
・話をよく聞く
・一人ひとりの行動をじっくり見つめる
子どもの自信や存在感を育む
・得意なことを伸ばす
・良いことを積極的に褒める
・学級での役割を持てるようにする
成就感や自己実現を得る機会を作る
・係を任せる
・さまざまな場で内容を工夫する
・自分で決めて、経験できる機会を設ける
人間関係を育てる
・担任も、共に活動し仲間関係を育てる
・相手の立場に立って考えられるようにさせる
・協力して物事に取り組む経験をさせる
単元や活動のねらいの明確化と工夫
・興味や関心が持てるように教材を工夫する
・活動が選択できるように、選択肢を設ける
などの工夫をする
子どもの実態に応じた目標の設定
・目標は分かりやすく、少なめにする
・得意な面をさらに伸ばすような目標を設定する
指示の仕方の工夫
・具体的に短く指示する
・視覚的な補助手段を活用する(メモ帳、ワ

クシート、時間配分表等)
・こまめにチェックし励ます
書くときの配慮
・板書はたくさん書かないようにしたり、書き
写すところを線で囲ったりする
・ノート類は大きいマス目を使用する
・書きやすいワークシートを作成する
(量や内容、枠の大きさ等に配慮する)
生活のリズムを作る
・バランスのとれた食事がとれるよう保護者の
協力を得る
・できるだけ外で遊ぶ機会を設ける
行動の見通しをもたせる
・その日の予定を確実に伝える
・予定メモを書かせる(書いたものを持
たせる)
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(3)インクルーシブな学級づくり



支援を必要とする子どもの中には、障害の診断がされている場合もありますが、学級に
おいては障害のあるなしにかかわらず一人ひとりの子どもをしっかりと見つめることが必
要です。つまずきの原因は障害だけにあるのではなく「個人と環境との折り合い」による
ものなので、子どもが置かれている状態像として見ていくことが大切です。
何らかの要因で学校生活の中でつまずいた状態に置かれた子どもは、やる気や自信を失
っていることも多いので、その子の長所を見つけて伸ばしてあげることをまず考えましょ
う。また、その子を取り巻く環境の中にある、活用できる資源を多く見つけ出し、保護者
や地域と協働して支援に当たることが重要です。


LDやAD/HD、高機能自閉症等の子どもは、その障害が見えにくいために正しく理解
されず、いじめの対象となったり、不適応を起こしたりする場合があり、それが不登校に
つながることもあります。そこで担任自身の理解に加え、学級の子どもや保護者にも支援
の必要性を説明していくことが大切です。同時に、周囲の子どもの頑張りもまた、積極的
に認めていく配慮が重要です。
・一人ひとりの違いを認め、関わりを心掛ける。
・人には誰でも苦手なこと、得意なことがあることを伝える。
・苦手なことの擬似体験、説話、紙芝居などを通して、友達の「痛み」を共感させる。
・「注意しすぎない、世話をしすぎない」関わり方を考えさせる。
・友達の良さを積極的に認め合っていく。
・担任の支援は、特別扱いではなく、個に応じた配慮であることを理解させる。
・目標を共有し、学級での取組としていく。
・友達の苦手なところを理解し、関わり方を考えさせる。

担任としての理解
学級での理解
学級の子どもたちは、授業中におしゃべりをしたり、体を動かしたりするヨシオ
さんに「ヨシオさん、静かに!」と声をかけていました。しばらくするとヨシオさ
んは友達の声かけに「イヤ!言わないで!」などと怒ってしまうようになり、以前
よりも落ち着きがなくなり、注意をする子どもとの関係が悪くなっていきました。
担任の先生が話を聞いてみると、ヨシオさんは「静かに!」という言葉が抽象的
なために具体的にどうしたら良いか分からず、何か嫌なことを言われていると感じ、
落ち着かなくなっていることが分かったのです。
そこで担任の先生は「静かに!」という言葉を使わないことや、注意は先生がす
るということを学級の子どもたちに説明し、先生自身も「席に着こうね。」「お口は
チャックだよ。」というように具体的にジェスチャーを交えたり、優しくゆっくりと
話したりするなど、ヨシオさんとの関わり方のモデルとなるよう心掛けました。
すると、ヨシオさん自身も徐々に落ち着きを見せ、友達との関係も良くなってい
きました。
「静かに!」が嫌いになったヨシオさんの事例
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(4)教室環境の工夫



さまざまな工夫

授業に集中できるように教室環境を整えることが大切です。







































持ち物の整理整頓
・ 棚や箱を用意して整理しや
すいようにする
刺激の調整
・ 掲示物の配置や備品等の位

を工夫する

たし算

+ 7=9

掲示物

掲示物

子どもの座席の位置の配慮
・ 教師のそばが望ましい ・窓側を避ける
・お手本となる子どもの近くにする
今日の予定ボード
・ 一日の見通しをつける
・ 次の時間の確認をする





カバー等

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(5)校長の役割


校内で支援教育を推進していく上で、校長の役割はとても重要です。教職員全体に支援
教育についての基本的な考え方や方針を示し、全教職員で支援に当たることができる校内
支援体制を構築していくことが求められます。
校内委員会の設置
支援を必要とする子どもへのより良い支援を進めるために、校内委員会を設置します。
校内の情報交換や支援方法を検討し、全教職員が共通理解の基で同一歩調の指導ができる
ようにします。
教育相談コーディネーターの指名
学校内や関係機関、保護者等との連絡調整役としての役割を担う人材を教育相談コーデ
ィネーターとして校務分掌に明確に位置付けます。
教職員の理解の推進と専門性の向上
専門家を招いた校内研修会を実施するなど、さまざまな工夫を通じて全教職員で支援に
当たる意識と特別な教育的ニーズがある子どもへの専門的知識や理解の向上を図ります。
保護者との連携の推進
保護者と協力して支援する体制を作るために、保護者の願いや考えを知り、「協力し合い
ながら育てていきましょう。」という学校の姿勢を伝えることが大切です。
専門機関との連携の推進
支援を必要とする子どもに対して適切な支援を行うためには、障害の状態や特性等に関
する専門的な知識や技能を有する専門機関等との連携が重要です。




○教師一人による支援から学校全体での支援への意識の向上(意識改革)
○学級担任や障害のある児童生徒本人を組織として支えるために必要な校内支援
組織の構築(組織改革)
○個々の児童生徒の特性を理解し対応する教員の指導力の向上(資質向上)
○各教科・領域の指導計画作成に当たっての配慮事項の検討と具体化(指導改善)
○すべての児童生徒にとって「分かる」「できる」を実感できる教育環境の整備(教
育環境の整備)
○特別支援教育についての児童生徒や保護者への理解推進(理解推進)
○児童生徒の安全確保と対応方針の確立(安全確保)
○外部の専門機関等との連携の推進(地域連携)

平成 16 年1月 文部科学省 「小・中学校におけるLD(学習障害)、
ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援
体制の整備のためのガイドライン(試案)」より
学校経営上の留意点
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(6)教育相談コーディネーターの役割


教育相談コーディネーターは、学級担任と協力して、学校内の他の教員、学校外の関係
機関、保護者との連絡調整を担当します。


○学級担任・教科担任への支援
子どもの出すサインに気付いた学級担任や教科担任の相談に応じ、気付きを記録す
ることなどの具体的な助言をします。
○子どもの理解と実態把握
子どものつまずきや困難の状況について、その原因の理解に努め、多面的な実態把
握をします。
○校内委員会での役割
校内の状況の把握と情報収集、保護者の学校への要望やニーズを把握します。適切
で、円滑な運営がなされるよう推進役を担います。


○保護者への支援
保護者の気持ちを受け止め、保護者と共に、それぞれの立場でできることを考え、
一貫性のある対応策を導き出せるようにします。


○巡回相談や専門家チームとの連携
校内委員会において、巡回相談(養護学校の地域支援など)や相談支援チームに依
頼する必要性について検討をします。専門家からの助言を、個別の教育支援計画など
の校内の支援につなげていきます。
○医療機関・相談機関との連携
子どもの能力や可能性を伸ばしていくために、必要に応じて医療機関・相談機関と
連携します。

校内での役割
保護者に対する相談窓口
校外の関係機関との連携

一人ひとりの教育的ニーズに応えるには、「教育相談」のプロセスをいかした校内
支援体制による支援が有効です。そのキーパーソンになる教育相談コーディネーター
及び校内支援体制づくりについては、本ガイドブックの他、総合教育センター発行の
「教育相談コーディネーターハンドブック『チームアプローチ&ネットワーキングハ
ンドブック(教育相談コーディネーターのためのQ&A集)改訂版』」(平成 18 年3
月)を参考にしてください。
校内支援体制づくりに関わるすべての人に必要な情報について、Q&Aとコラムで
まとめています。
教育相談コーディネーターハンドブック
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(7)養護教諭の役割

保健室は、子どもの体と心のよりどころです。体の不調の原因は、病気やけがだけでは
なく、その背景として家庭での問題や学校生活への不適応、発達上の問題等であるとも考
えられる場合があります。保健室にはこのような多様な問題を抱えた子どもが訪れます。
養護教諭は、発達の視点を持って子どもを観察し、子どもの身体的訴えを聞く必要があ
ります。そして、それが疾病によるものなのか、発達の問題によるものなのか、不適応、
怠学傾向、神経症的なのかなどを見極めていく必要があります。
養護教諭は、子どもの身体的訴えから、その子どもにとって本当に必要な配慮や支援を
読み取って、校内の教育相談につなげていく重要な役割を担っています。
特に保健室利用が多い子ども等、気になる子どもについては養護教諭と学級担任の密接
な情報交換が必要です。
また、養護教諭は保護者と接触することも多く、担任とは違った専門性を持った重要な
立場にあります。
AD/HDの診断を受け、定期的に薬を飲む必要がある子どもについて、養護教諭が管理
職の了解を得て、保護者、担任と連携して、援助をしている学校もあります。

連携してできること
@ 子どもが不安定になったときの受け入れ場所としての保健室
保健室は、その子自身の居場所が不安定になったとき、一時的に受け入れて心の安
定を図る場として活用します。この場合、保健室はあくまでも「一時的な受け入れ場
所」として位置付け、気持ちが落ち着いたところで付き添って子どもを教室に戻すよ
うにします。このような場合は、学級内の人間関係等をつかむことが必要です。
A 保健室へ来室したときの配慮
しっかり受容し、ささいなことでも褒めて、その子のことを気に掛けていることを
子どもに伝えます。また、子どもとの関係が作られてきたら、ただ受容するだけでな
く、校内委員会で話し合ったり、担任等と相談したりしながら、これからの支援に何
が必要かを検討し、それに沿って働きかけていきます。
B 職員室や学年会の場で養護教諭として捉えた子どもの状況を伝える
この場合、養護教諭の判断でいきなり伝えるのではなく、担任等と相談し、教職員
全体に知っておいてもらうべきことは今どのようなことなのか、また、養護教諭とし
てどうその子を捉えて対応しているのかを適切な時機を選んで伝えます。
C 保護者との連携のバックアップ
保護者が混乱している場合もあります。校内委員会で事前に相談し、必要があれば
担任等と一緒に保護者に会って養護教諭としてできることを伝えます。最初の出会い
方が信頼関係を築く上で大切です。
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ある小学校では
(8)校内委員会の設置

校内委員会は、支援を必要とする子どもへのより良い支援や指導について検討するため
の校内組織です。校内委員会の設置には、校内の新たな組織として設置する場合や既存の
組織に校内委員会の機能を持たせる場合があります。
校内委員会では、各学年で収集・整理した情報を基に、さらに多面的な実態把握に基づ
いた検討を行い、より良い支援や指導について、保護者と連携を図りながら検討します。
必要があれば、相談支援チームや相談機関等に参加を要請し、客観的で専門的な立場から
の助言などさまざまな支援を得ます。

















校内就学委員会を母体として、校長、教頭、教務主任、養護教諭、特殊学級担
当、児童指導部主任、各学年代表で校内委員会を構成しました。
子どもの多面的な実態把握に基づいて話し合うことを通して、子どもが抱える
問題を理解し、保護者の願いを聞いた上で、具体的な支援の方法を検討しました。
必要な時には、市の教育委員会の指導主事や巡回相談員の参加を要請し助言を得
ました。
校内委員会での検討を通して、支援を必要とする子どもの理解を深め、関わり
方を検討でき、学校としてそれらの内容を共有することができました。
担任の理解と支援だけでなく、学校全体での取組や細かな配慮が展開されたこ
とにより、その子どもの状態が大きく変化しました。また、その子と類似した問
題を抱える子どもへも支援的な対応を行う視点が芽生えました。
○ 子どもの多面的な実態把握
○ 指導方法等の助言
○ 具体的な指導体制の検討
○ 個別教育計画の作成支援


校長、教頭、教務主任、養護教諭、特殊学級担当、
児童・生徒指導担当、各学年担当 等
担任
校内委員会
教育相談コーディネーター
学年会
学年会
学年会
担任
担任














相談支援チーム
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学校が荒れた時期を契機に、生徒一人ひとりを大切にし、教員全員で支援する
雰囲気が学校に根付いています。職員室での情報交換も頻繁に行われて、とても
風通しがよく、教員間で生徒の共通理解が良くできています。
気になる生徒の指導や生活上の問題などについては、各学年でケース会議を行
っています。ケース会議では、教員全員が必ず1事例ずつ提示することになって
います。
担任以外の教員も事例を提示し、担任も自分の学級以外の生徒についての提示
ができるので、担任が気付かなかった生徒の問題について、提示される場合があ
ります。また、同じ生徒について、複数の教員から違った視点で提示され、検討
されることもあります。
ケース会議には、必要に応じて相談員やスクールカウンセラーにも参加しても
らっています。
(9)ケース会議の実施

子どもの状況について、複数の教員の観察
を基に情報交換し、共通理解を図ることが大
切です。そのために、ケース会議を活用しま
す。
この会議において、子どもの生育歴を始め、
家族環境、保護者の考え方、心理・行動・学
習面からの情報を収集し、整理します。そし
て、これらの情報を基に、子どもの問題解決
に向けて、それぞれの立場でどのような手立
てが取れるかをみんなで考え、実践し、次の
会議でその効果を確認します。
こうしたケース会議は、校内委員会や学年会の中で実施すると有効です。また、校内研
修会として実施しても良いでしょう。ケース会議を経験していくことにより、組織や参加
者が育っていきます。
















ある中学校では
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ケース会議の進め方

−石隈・田村式援助資源チェックシート、援助チームシートの活用−

@ 開会する
・話し合いの目的を確認する。
A 事例を提示する
・報告者は、事例を報告する。
・参加者は、分からないこと、確かめたいこと、気になること等をメモする。
B 事例の共有化を図る
・事例のイメージを明らかにするために、報告者に具体的な質問をする(報告者の
推測、感想、意見を求めない)。
・質問について、報告者は、事実を伝える。推測で答えなければならない場合は、
推測の根拠となった事実や理由を簡単に説明する。
C 論点を明確にする
・司会者は、「誰が」「何に困っているのか」「この会議で話し合ってほしい事柄」に
ついて確認する。
D 援助資源を確認する
・援助資源チェックシートを使い、援助資源を確認する。
E 情報をまとめる
・援助チームシートを使い、「いいところ」「気になるところ」「してみたこと」を整
理する。
・司会者は、自助資源(その子のいいところ)について確認する。
F 援助方針を検討する
・参加者全員で、この子にとって必要なこと、大事にしてほしいこと、配慮してほ
しいこと、この時点で援助可能な目標などについて自由に自分の意見を述べる。
・各自、援助方針を三つまで考え、一つずつカードに簡潔な文章で記入する。
・順次、発表し、同じ意見をまとめる。
G 援助案を検討する
・具体的で、すぐ実践にうつせるアイデアを出す。
・「誰が」「いつまで」支援するかを確認する。
H 全体を振り返り、ケース会議を終了する

ケース会議に、専門知識をもった他校の教員やスクールカウンセラー、臨床心理士、指
導主事等、校外のメンバーが参加すると、違った立場から客観的な意見が得られるため大
変有意義です。また、固定的なメンバーでなく、課題に応じて必要なメンバーを加えなど
すると、効率的・効果的に会議を進めることができます。
ケース会議のために作成した資料の取扱いには、細心の注意を払います。特に、個人情
報が記載されている場合は、会議終了後、資料を回収します。
現在の子どもの学習や生活の様子、長所、特性、困っている
こと(どんなことが・いつ頃から・どんな時に・どの程度の
頻度で)、保護者との連携状況、支援の経過、以前の様子等。
情報交換をしたり、支援
をお願いしたりする相手
が見つかります。
チームによる支援が原則です。ま
た、保護者に協力してもらうこと、
学級の他の子どもたちに対する対
応、外部機関との連携の必要性に
ついても検討します。
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(10)校内研修会の開催


通常の学級に在籍する支援を必要とする子どもは、「わがままだから」とか、「親の育て
方が悪いから」と考えられがちです。だからこそ、子どもの支援を始めるに当たって、そ
のような理由に起因するものではないということを全教職員が理解することが大切です。
そこで、正しい理解の基に適切な支援を進めるため、校内での研修会を行い共通理解を図
ることが有効です。この共通理解が個別支援に向けての下地となるのです。

講演会と講師
支援を必要とする子どもは、一人ひとり全く違うと言えます。学習の特異な困難や特徴
的な行動特性等について学ぶ他、それぞれの子どもに視点を当てた具体的な対応の仕方や
指導法について学んでいくと良いでしょう。養護教諭や特殊学級担任が講師を務めても良
いですし、総合教育センターや地域支援機能を持つ盲・ろう・養護学校へ校長を通して依
頼をすることで研修内容に応じた適切な講師が派遣されます。
講演会以外の校内研修の機会

校外の研修会に参加した教員による報告会や参考になる本、新聞記事の紹介等を常に行
うなどして、さまざまな機会を通して教員の理解を広げていきましょう。















○ 毎年、児童指導研修会として不登校、LD、AD/HD等のテーマで全教職員
で研修を行っています。その積み重ねが日頃の指導にとても役立っています。
○ 職員会議において、AD/HDの原因や特性、障害の診断項目、二次的障害、
相談につなげる目安等について、特殊学級の担任が講師となって研修会をしま
した。担任が自分の指導の問題として抱え込んでしまっては、協力体制はスタ
ートできません。
○ 総合教育センターの要請訪問相談を依頼し、該当児童の教育相談担当者に来校
してもらい、全教職員で子どもの様子や今後の支援方針等について共通理解を
図りました。
○ その後、定期的に子どもの様子と障害の特性、教員の対応、校内体制づくりな
どについて具体的な内容での研修会を行いました。
○ 気になる子どもということで、専科担当も含めて1事例ずつ持ち寄り話し合い
ました。学年ブロックごとに市の心理学の専門家を招き、特性理解や対応につ
いて研修しました。
ある小学校では
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ジロウさん(小学校3年生)は、周囲の子どもたちとの関係がうまくいかなかっ
たので、担任外のタナカ先生が入り、チームで支援することになりました。
「1ヶ月間、給食準備時間に、タナカ先生に持ち物の整理整頓の方法を個人指導
してもらい、その努力を認めることで本人の自己イメージを高めたい。」と個人的指
導のねらいを保護者に理解してもらい、家庭でも協力して支援したり、褒めたりす
るようお願いしました。また、本人にも理解できるよう話しました。ジロウさんは、
両親から言われていたのか、「ぼくはいい子になりたいんだ。」と了解しました。学
級の子どもたちにも、「タナカ先生がお助けマンに来てくれるので、みんなにも協力
してほしい。」と話しました。
「15 分片付けができたら、がんばりカードにシールをはる。」と簡単なルールを作
り、最初の三日間は鉛筆、次は鉛筆と教科書・ノートというように、初めのうちは
目標を低く設定しました。他の物は支援者が片付け、その片付け方を見せて整理の
方法を教えました。
こうして数週間後、ジロウさんは、「一人でできるんだけど、友達が手伝ってくれ
るんだよ。」と照れながら言うようになりました。ジロウさんに友達ができたのは、
初めてでした。こうしてチーム支援は実を結びました。
給食準備時間は、担任も子どもたちも動きが複雑になり、ジロウさんは周囲の子
どもとの関係がうまくいかないことが多い時間でした。ここに支援に入ったことに
より、しっかりやれていることを支援者からも担任からも褒められ、家庭でも認め
られ、ジロウさんの自己効力感が高まっていきました。そのことにより、全体的な
行動の変化をもたらしたと考えられます。
(11)チームによる支援

行動面に困難さがある子どもには、チーム支援が効果的です。支援者がその子の目標行
動に集中して関わることで、その子一人ではなかなかできなかった行動を身に付けること
ができます。また、何をしても上手にできず叱られることが多かった行動の悪循環を、先
生から褒められた、うれしくて自信が出てくるという好循環に切り替えていくことができ
ます。こうなると他の場面での行動改善も期待できます。
誰かの支援があればできそうだけれど、毎日(毎回)担任が集中して支援するのは難し
い部分を、担任と担任以外の教員が連携し、チームとして支援します。学年やその子の特
性を考慮しつつ、できるようになってほしい行動を提案し、本人の同意を得てから取り組
みます。
スモールステップで丁寧に、その子がやり方が分かって一人でもできるという自信が持
てるように支援します。集中して毎日(毎回)取り組み、数週間で満足できる結果が出る
よう、目標や支援方法を工夫します。
チーム支援で行動改善につなげやすい取組として、持ち物の整理整頓、給食当番、着替
え、掃除当番、持久走・縄跳びの練習参加、集会への参加等が考えられます。



チームによる支援の事例
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(12)交換授業・少人数指導の実施

通常学級の担任と特殊学級の担任が授業を交換したり、通常学級の担任同士が授業を交
換したりして指導することを交換授業と言います。担任以外が指導に関わることによって、
一人ひとりの子どもの実態を多面的に捉えることができ、また、学級内の配慮を要する子
どもに対しての共通理解を図ることができます。
また、少人数指導では、学習者に応じた教材や速度での学習が可能で、指導者が身近に
ついて支援しながら学習課題に取り組ませることができます。その結果、学習者は、「分か
った。」という満足感や達成感、やればできるという自信が持てるようになり、学習面で困
難を抱える子どもの指導にとっても有効な指導方法です。









通常学級の担任と特殊学級の担任が授業を交換し、子どもの相互理解に努め
ています。通常学級の担任が特殊学級の子どもを一対一で指導する経験を積む
ことにより、通常学級の中の支援を必要とする子どもの指導に役立てています。
また、特殊学級の担任は通常学級での指導を行い、支援が必要な子どもの実
態を把握した上で、通常学級の担任の相談に乗ったり、アドバイスを行ったり
しています。
一部の学年では、通常学級の担任同士が授業を交換しています。該当学級の
担任だけでなく、他学級の担任や専科担当が指導に関わることにより、支援を
必要とする子どもの実態を多角的に捉え、共通理解を図ることができるように
しています。

ある小学校では
少人数指導やティーム・ティーチングをい
かした支援では、担任、少人数担当やティー
ム・ティーチングの担当教員が支援を必要と
する子どもの対応について事前に十分な打合
せをしておくことが大切です。
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(13)リソースルームでの支援

米国では、特別な教育的ニーズのある子どもが定期的に訪れて個別指導を受ける以外に
も、自由に訪れ、勉強したり先生に相談したりすることができるリソースルームが設置さ
れています。ここでは、特別な教育的ニーズのある子どもに少人数で個別の授業をしたり、
ソーシャル・スキル・トレーニング等を行ったりしています。通常の授業よりも丁寧に教
えたり、はさみやカードを使ったり、途中で座席を交代させたりして、授業の中に気分転
換を取り入れるなど、指導にさまざまな工夫や配慮がされています。
リソースルームは、現在の日本の教育制度には位置付けられていませんが、同じような
実践を試みている小・中学校が県内にも見られるようになりました。


学校では、校内就学指導委員会で協議される、通常の学級に在籍していて「気にな
る子」への支援の在り方について悩みました。「気になる子」は、特殊学級や「ことば
の教室」への入級の対象にはならなかったからです。そこで、リソースルームとして
空き教室に設置し、「気になる子」に対する支援を始めました。

【対象児の決定】
・各学級担任が、学習面で個別支援を必要とする子どもの事例を提示する。
・担任からの提案、本人の希望、保護者の了解を3原則として決定する。
【支援方法の工夫】
・専科教員、教務担当、児童指導担当が支援に当たる。
・一人の子どもに対し週1〜2時間実施。一人または数名のグループを対象に個別支援
をする。
・教材・教具、指導方法を工夫する。場所・環境を整備する。
【校内体制づくり】
・担任と担当者との連携を十分に図る。
・児童指導と学習指導の両面からケース会議を開き、事例研究を行うとともに具体的
支援の方針や手立てを決定する。
・外部の相談機関や専門家のアドバイスを受けるとともに校内で研修を深める。
・1年単位ではなく、6年間で学校全体で成長を見守っていくシステムを確立する。
・中学校との連携を進め、9年間を視野に入れた指導計画を考えていく。
【教育相談の充実】
・保護者の心の悩みを受け止め、「一緒に子育てを考えていく」というスタンスで臨む。
・保護者対象の教育相談を実施する。対応は、専門家を含め、校長(教頭)、児童指導
主任、担任、学年主任、教育相談係等が行う。
・未就学児の保護者を対象とした教育相談を実施する。
【保護者との連携】
・「教育相談だより」を発行し、取組やリソースルームについて紹介する。
・リソースルームでの様子を保護者に知らせるとともに、担任、保護者、担当者との話
し合いの場を設定する。
ある小学校では
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(14)特殊学級との連携


特殊学級が設置されている学校では、通常学級の担任と特殊学級の担任との連携が大切
です。特殊学級の担任が通常の学級に入ってティーム・ティーチングを行ったり、必要が
あれば、時間等を工夫して、個別支援を行ったりすることも効果があります。特殊学級の
担任は、その専門性をいかして、学習面
等への個別支援を行ったり、通常学級の
担任への助言をしたり、教材を提供する
など、その子どもに応じたきめ細かい支
援をすることができます。
特殊学級の時間割を工夫し、校内の通
常学級の子どもに対する個別支援の時間
を生み出している学校もあります。



知的・情緒・弱視の特殊学級が設置されていますが、情緒・弱視ともに在籍する
子どもは1名で、交流による学習が多く実施されてい
ます。
「交流学級」での学習には、特殊学級の担任が一緒
にいるため、ティーム・ティーチングとして、特殊学
級に在籍する子どもだけでなく、通常学級(交流学級)
に在籍している支援を必要とする子どもについても支
援しています。
また、特殊学級で学習障害児等の通級による指導も
行っています。
ある小学校では
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(15)通級指導教室での支援

言葉やコミュニケーション、行動面や情緒面で支援が必要な子どもに対しては、専門性
の高い通級指導教室での支援が効果的です。
通級指導教室では、医学的な面(生育歴、神経系の行動等)、教育的な面(学力、行動観
察、学習記録・作品、担任との教育相談等)、心理的な面(知能検査等)から子どもの実態
を把握し、個別教育計画を立て、個別支援やグループ指導を行います。
また、通級指導教室での個別支援やグループ指導の成果を、在籍学級での活動や家庭生
活にいかすことができるよう、担任、保護者と連携を図っていきます。

通級指導教室でできることの例
○ 専門的な視点からの子どもの実態把握
○ 遊びやソーシャル・スキルの指導
○ 視覚的、聴覚的な認知発達、運動機能、適応的行動、情緒の安定等の個別支援
○ 学校生活を円滑にするための保護者へのアドバイスや教育相談
○ 担任との連携・協力
○ 落ちついた静かな環境の提供
○ 障害理解のための在籍学級への出張指導や本人への教育相談

サブロウさん(2年生)は教科の学習は良くでき、話も上手ですが、離席や自分勝
手な行動が多く、在籍学級の子ども同士で遊んだり会話したりすることは、苦手でした。
通級指導教室では、@指導者を含めた小グループで遊ぶ経験を通して、遊ぶための
ルールを身に付け、楽しく遊べるように促す、Aロールプレイで、学校生活でのソー
シャル・スキルを学習させる、という二つの目標を立てました。
始めは遊びに誘っても、「嫌だよ」と言って、入ってきませんでした。無理強いをせ
ず、「そこで見ていて、やりたくなったらおいで」と声をかけ、しばらくたってからも
う一度誘うと様子を見て安心したようで、入ってくることができました。
遊びは、一見簡単なようですが、複雑なルールがあります。例えばハンカチ落とし
で遊ぶためには、ハンカチが置かれるまで動いてはいけない、置かれたらすぐにハン
カチを持って一方向に走る、鬼に追いつかれないように走る、鬼に追いつかれたら泣
いたり怒ったりしない、鬼を追い抜かない、誰かの後ろにハンカチをそっと置く、置
いたら一回りして空いた場所に座る、などを理解する必要があります。また、瞬時に
行動を変えていく必要があります。サブロウさんは何度も失敗しながら、遊びを覚え
ていきました。
ソーシャル・スキル・トレーニング(40 頁)も必要です。人とうまく付き合うため
のスキルを繰り返し取り上げていきました。
サブロウさんは、楽しい雰囲気の中で、グループの子どもたちと仲良く遊ぶことが
できるようになり、互いに名前を覚えて呼び合い、仲間意識が芽生え、通級を楽しみ
にするようになりました。最近、在籍学級に仲のいい友達ができたそうです。
通級指導教室での事例
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(16)児童・生徒指導体制との連携

LD、AD/HD、高機能自閉症等の子どもが、いじめの対象になったり、不登校になっ
たりすることがあります。平成 15 年4月に文部科学省が出した「今後の不登校への対応の
在り方について(報告)」においても、LD、AD/HD等の子どもについては、周囲との人
間関係がうまく構築できない、学習のつまずきが克服できないといった状況が進み、不登
校に至る事例が少なくないと指摘しています。
また、平成 16 年1月に文部科学省が出した「小・中学校におけるLD(学習障害)、A
DHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のため
のガイドライン(試案)」では、特別支援教育コーディネーターと不登校対応のコーディネ
ーターについて、それぞれの役割が重なり合うことから、相互に連携を図ることの必要性
を述べています。
支援を必要とする子どもに対して、一人ひとりのニーズに応じて適切な支援を行ってい
く考え方が、学校全体に浸透していくことは、学校教育が抱えているさまざまな課題の解
決につながります。そういった意味で、これまで構築されてきた児童・生徒指導体制とも
密接な連携を図っていくことが大切です。



生徒指導(学年)、特別支援(学年)両担当者が、生徒・保護者に対してそれぞ
れの場面で連携をとりながら、指導をしています。
例えば、悩みを聞くとき(いわゆるカウンセリング的な指導)は、特別支援担当
者が中心になって行い、指導を促す場合は、生徒指導担当者が中心になって行って
います。また、状況によっては、両者が一緒に指導に当たる場面もあります。
学級や学年において、同じような指導が必要な生徒が複数いる場合、マンツーマ
ンで指導を行うのではなく、その生徒たちと担当者たち、また学級の生徒たちを巻
き込んでチームを作ります。このようにして学校生活を送ることで、学習のつまず
きを克服するきっかけや孤立しがちの生徒の人間関係づくりのきっかけを作ること
ができます。
多くの担当者が指導に当たると、まとまりを欠いたり、連携が取りにくくなったり
するといった問題も出てきますが、学校の生徒指導担当者が中心となって生徒指導や
特別支援の連絡会議等を定期的に行うことにより、円滑な指導が可能になります。
ある中学校では
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66

ある小学校では、すべての子どもが、そのニーズに応じた教育を受けられるよう
な学校づくりを進めています。豊富な支援メニューが用意され、一人ひとりに応じ
た適切な支援が行われています。

@ 学級担任が工夫して関わる。
A ティーム・ティーチングや少人数指導の時間に支援する。
B 特殊学級の担任が、担任する子どもの交流学習の時間に支援する。
C 課外授業を開講する。
D 他機関を紹介する。
E 校内で特別な場での支援を行う。
F 学級に支援者が入り、個別に支援する。
G 特殊学級担任が学校生活全般を支援する。
H 学生ボランティアによる支援を行う。
(17)支援メニューの充実

通常学級に在籍する支援を必要とする子どもに対
しては、学校内外のさまざまな人的・物的資源を活
用し、支援内容や支援方法等を工夫・改善していく
必要があります。
子ども一人ひとりの状況に応じて、さまざまな資
源の組合せを考え、豊富な支援メニューを用意して
いくことで、校内支援体制の充実を図ることができ
ます。

















一人ひとりの状況に応じた支援を考えていくには、担任や学校単位では限界があります。
学校全体での取組とともに、関係機関等とのネットワークづくりを推進していくことが大
切です。


ある小学校では
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67
(18)保護者に対する支援

学校と家庭との連携はとても重要です。特に、支援を必要としている子どもの保護者と
スムーズな協力関係を作るためにはきめ細かな配慮が必要です。
また、周囲の子どもの保護者にも適切な働き掛けをして、理解と協力を得られるように
努めなければなりません。

ア 支援を必要とする子どもの保護者に対して
支援を必要とする子どもの保護者に対しては、保護者の気持ちや置かれている状況を思
いやることが大切です。それは、保護者が想像以上に厳しい状態に置かれていることがあ
るからです。
例えば、保護者自身も支援を必要としている、子育てに悩み自信を失っている、学校、
医療機関、相談機関でネガティブな経験がある、子どものトラブルによって周囲の保護者
や地域社会から孤立している、などです。
その結果、学校の働き掛けに「家庭の対応を批判されるのではないか」と身構えてしま
うこともあると考えられます。
そこで、日頃から保護者との人間関係づくりに努め、次のような事柄について話し合っ
ておきましょう。そして「学校は共に歩むパートナー」という姿勢で保護者と接すること
が大切です。

<保護者へ伝えること>
@保護者へのいたわりの気持ち
A子どもの良いところ、できていること、頑張っていること
B担任の願いや目標

<保護者から聴くこと>
@家庭での子どもの様子
A育ちの中でのエピソードやその時々の対応
B現在の家庭での対応(うまくいったことなど)
C保護者の不安、不満などのネガティブな思い
D保護者の学校への期待、願い、要望

保護者が子どもの状態をどのように理解しているのか、さらにどうしてそのような理解
に至ったのかを把握することも大切です。
たとえば、無関心や放任から子どものつまずきに気付かない保護者もいます。また、子
どもを心配している保護者でも、発達の問題と捉えている場合と、子どもの性格や努力不
足、子育ての失敗などと考えている場合があります。さらに、つまずきに気付いていても、
そのことに正面から向き合えない保護者もいます。

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68
イ 周囲の保護者に対して
インクルーシブな学級を作るためには、周囲の保護者の理解と協力は不可欠です。周囲
の保護者が協力してくれれば学級をサポートする強力な力になり、担任や学校だけではな
し得ない支援を期待することができます。
反面、周囲の保護者は「クラスが落ち着かない」、「授業に集中できない」など、支援
を必要としている子どものために我が子が迷惑を被っているのではないかという不安を抱
くことも考えられます。そして、学校を批判したり、保護者の対応を責めたりして大きな
問題に発展してしまうこともあります。
そこで、周囲の保護者に対してもきめ細かく心を配り、早め早めの対応をしていくこと
が必要です。
万一、保護者が特定の子どもについて不満を訴えてきた場合は、まず、「話してくださ
ってありがとうございます」という感謝の気持ちを表すことが大切です。保護者が学校に
苦情を訴えるまでには、戸惑いや躊躇など複雑な思いがある場合が多く、その思いを真摯
に受け止める必要があるからです。そして、学校の対応を具体的に説明することによって、
保護者と協力して問題解決に取り組もうとする学校の姿勢を伝えることが大切です。





Q1




A1 保護者が学校からの電話、手紙、家庭訪問、面談の誘い等のアプローチに反応せず、
なかなか協力関係が作れないことがあります。
このような場合、保護者は子どものつまずきに無関心だったり、「学校にお任せ」
という気持ちが強かったりして、子どもの状態を正面から見つめられない状態である
ことが推測されます。
また、「困った子どもと思われたくない」という気持ちから、学校の働き掛けに拒
否的である場合もあります。このようなケースは、今までに周囲からの指摘や助言に
振り回され、子育てに自信を失い、保護者が深く傷ついていることが多いと思われま
す。
さらに、子どものつまずきが学校場面だけで現れているため、「問題がない」と思
っているケースもあります。
このような保護者に対応する場合は、学校の考えだけを押し付けるのではなく、保
護者のペースに添って対応することが必要です。そして、根気良く支援を継続しなが
ら保護者の変容を見守りたいものです。

支援を必要とする子どもの保護者に働き掛けるのですが、思うように協力が得
られません。このような場合、どのように対応したら良いのでしょうか?
保護者の状況に応じた支援 Q&A
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69
Q2




A2 保護者が子どものつまずきの原因を本人の個性や未成熟、または努力不足と感じて
いる場合があります。このような場合、保護者は必要以上に本人を叱ったり、過重な
課題を与えて改善を図ろうとしたりする傾向があります。そして、努力しても思うよ
うな結果が見られないため、あきらめたり、子どもを追いつめてしまったりすること
もあります。
一方、子ども自身も「やってもできない」、「親の期待に添えない」と自信を失い、
二次的な障害を起こす場合があります。
このような保護者の場合には、まず、保護者の努力や苦労を認めながら、保護者が
子どものつまずきを広い視野から見ることができるように支援することが求められま
す。例えば、「落ち着かない」という状態を改善する場合は、「じっとしているよう
に叱る」のではなく、「刺激を感じやすい傾向がある」という視点を示唆してみまし
ょう。すると「刺激を少なくする配慮をすれば落ち着くのではないか」という新たな
対応を試みることができます。この際に、今までの家庭の対応でうまくいったことに
焦点を当て、なぜうまくいったのかを分析することも有効です。

Q3


A3 保護者が学校だけでなく、子どもに適した教育の場や医療的サポートを望み、学校
に専門機関について紹介を依頼する場合があります。また、同じ特別な支援を必要と
する子どもの保護者の組織や活動についての情報を望むこともあります。
このような場合、保護者の専門機関への願いや期待を十分聞く、専門機関について
の情報を得る、パンフレット等を用意し、アクセス、活動内容など具体的に情報を提
供する、専門機関で支援を受けるメリットについて説明する、などの配慮が必要です。
そして、学校があらかじめ専門機関の見学やスタッフとの相談をしておくと、以後の
連携がスムーズに展開します。

Q4




A4 まず、保護者から情報を教えてもらうという姿勢で接することが大切です。情報と
は、今までの相談や受診歴、現在受けている専門的なサポートの内容、学校で配慮す
る事項、家庭での本人への関わり方、等が挙げられます。
保護者が子どものつまずきを正しく理解しておらず、必要以上に子どもを叱っ
たり、過度な励ましや期待を与えたりしています。このような場合はどのように
対応したら良いのでしょうか?
保護者に専門機関を紹介する際、どのような配慮が必要でしょうか?
保護者から高機能自閉症の診断を受けているので、学級で特別な支援をしてほ
しいという申し出がありました。保護者とどのように協力していけば良いでしょ
うか?
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70
保護者によっては、医師の指導、研修会への参加、親の会などの活動、書籍などに
より、教員よりも豊富な知識や専門的支援方法を知っている場合もあり、ともすると
学校の対応について厳しく注文をつけたり、通常学級では難しい支援方法の実践を要
求したりする場合も考えられます。このような場合は、学校としてすぐに対応できる
ことと、そうでないこととを明確に分け、後者についてはどのような解決策が考えら
れるのかを保護者と一緒に探っていくことが必要です。
深い理解と豊富な知識や経験を持った保護者が学校の支援に協力してくれれば、こ
れ以上のサポーターはありません。そのような保護者の場合には、学校のケース会議
への参加など、子どもの支援チームの一員になってもらうこともできます。また、同
じ問題を持つ保護者の相談に乗ってもらったり、周囲の保護者への啓発活動をお願い
したりすることもできると考えられます。
しかし一方で医療機関から診断を受けている場合は、診断名にとらわれすぎないこ
とも大変重要です。子どもの実態や成長の過程を十分に観察し、ありのままの子ども
の姿を理解し、子どもに合った支援を柔軟に考えていくことが望まれます。

Q5



A5 保護者の間の「橋渡しの役割」を果たし、両者の関係がスムーズになるように支援
することが必要です。
例えば、学級の保護者会で支援を必要とする子どもの保護者が我が子の抱えるつま
ずきについて話す機会を設定することができます。年度の早い時期にこのような機会
が持てると、周囲の保護者の不安を軽減することに役立つと思われます。
その際は、話をする保護者とよく打合せをし、内容や表現方法など誤解が生じない
ようにする必要があります。
また、その保護者が安心して話ができるような雰囲気を作る努力も必要です。そし
て、周囲の保護者の中で理解を示している保護者と事前に相談をし、雰囲気づくりに
協力を求めることも有効だと思われます。

さらに、保護者や本人の努力や苦労を紹介するなど、当事者が言いづらいことを
補足することも必要です。

万一、子ども同士のトラブルなどで、保護者同士が加害者と被害者という立場に
立ってしまった場合は、加害者の保護者に被害者の家庭に出向いて謝罪をしてもら
うように理解を求めることが大切です。問題行動の背景やその他諸々の事情説明は、
時間をかけて丁寧にしていく必要があります。まずは、加害者の家庭が本人のして
しまったことについて謝罪をすると周囲の保護者との関係の悪化を防ぐことがで
きます。

これまでにトラブルが多発し、保護者がとても神経質になってしまっている場合
は、謝罪がスムーズにできるように保護者を支え、具体的なアドバイスをすること
が必要になると思われます。

支援を必要とする子どもの保護者と周囲の保護者との関係をより良くするため
に、担任としてどんなことをしていけば良いのでしょうか?
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(19)保育園、幼稚園、小・中・高等学校との連携

支援を必要とする子どもには、ライフステージすべてにわたって、その時々に必要な支
援が過不足なく与えられることが望ましいと言えます。
入学後、保育園や幼稚園の園長を小学校に招き、子どもの様
子を見てアドバイスを受けたり、就学前に小学校の職員が保育
園や幼稚園を訪問して、園での生活を参観したりできると引継
ぎがスムーズにできるでしょう。
同様に、校種間で情報交換の場を設定し、子ども一人ひとり
のニーズを多面的に把握する中で、支援の在り方を絶えず見直
していくことが大切です。
学校教育を通して、学年間の連携はもとより、学校間の連携
が望まれます。
保護者の了解を得て、保護者と一緒の情報交換や引継ぎの場
を設定するという方法もあります。


















連携の目的

○ 教員の理解を促すため
担任をはじめ全教職員で支援に当たるというスタンスが大切です。

○ 必要な支援を継続するため
新しい学校生活での支援計画の参考になります。

○ 保護者の重複説明を避けるため
保護者は、進級あるいは進学するたびに、学校関係者に理解を求める
ため何度も子どもの話をしているという現状があります。保護者の了解
を得た上で必要な資料を引き継ぐことも大切です。
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(20)外部専門機関との連携

教育的ニーズのある子どもに対する支援は、担任一人で抱え込まないという姿勢で取り
組むことが大切です。教育相談コーディネーターを中心とした校内支援体制を構築するこ
とはもちろんのこと、学校以外の専門機関との連携を図ることも重要です。

総合教育センターや相談機関との連携
子どもに適切な支援をするためには、専門機関に早めに相談して特性理解や適切な対応
の仕方を学ぶことがとても大切です。総合教育センターでは、電話での相談や来所相談を
行っています。保護者に子どもの様子を伝えて、了解が得られれば親子で相談機関に出向
いてもらい来所相談をスタートします。保護者から了解が得られない場合は、教員の教育
相談として支援方法等について相談することもできます。総合教育センターには、学校か
らの要請により、総合教育センター所員が学校等へ訪問する要請訪問相談という事業も実
施しています。所員が実際に子どもの様子を見ながら、指導方法や支援の仕方等について
の相談を受けることができます。

相談支援チームとの連携
各市町村教育委員会では「相談支援チーム」の設置が進んでいます。この相談支援チー
ムは、医師、心理学の専門家、教育委員会の職員、盲・ろう・養護学校の教員、小・中学
校の教員等から構成され、学校を多角的に支援することができます。

市町村教育委員会との連携
市町村教育委員会との連携も大切です。校内委員会やケース会議に市町村教育委員会の
指導主事の参加を要請し、助言や支援を得ることができます。

養護学校等との連携
盲・ろう・養護学校は、それぞれの学校の専門性をいかし、地域センターとして地域の
小・中・高等学校の教員や障害のある子どもの保護者に対して、相談活動やさまざまな情
報提供を行っています。学校のケース会議に専門性のある養護学校の教員に来校してもら
うことも有効な方法です。

大学等との連携
近隣の大学・専門学校等に、特別支援教育コース、臨床心理学コース、児童精神医学課
程等がある場合は、相談してみると良いでしょう。アドバイスや支援を得ることができま
す。
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73
医療機関との連携
特に、LD、AD/HD、高機能自閉症等の場合は、どの相談機関も、まだ多くの症例を
持っているとは言えません。そこで、子ども専門の医療機関や療育機関での受診を勧めま
す。診断や投薬によって、不必要な混乱や二次的な障害を防ぎ、早期に適切な対応をとる
ことができます。保護者に受診を勧める場合、細心の注意を払わなければなりませんが、
医療機関で診断してもらうことで、保護者が自分の育て方が原因ではなかったと安心する
場合もあります。医療機関に関する情報は、総合教育センターからも得られます。

児童相談所との連携
子どもに家庭や地域での生活支援が必要な場合は、児童相談所との連携が必要になるこ
ともあります。児童相談所では、18 才未満の子どもを対象に、行動、しつけ、性格、発達
等に関してさまざまな相談に応じてくれます。ケースワーカーの他に臨床心理士を始めと
した専門家が、一人ひとりの子どもに合った支援を一緒に考えてくれます。児童相談所は
管轄が決まっています。相談を希望する場合には、まず管轄の児童相談所に連絡をしてみ
ましょう。








総合教育センターでは、支援を必要とする児童・生徒の地域生活を支援する社会的資
源(リソース)を一覧できる「支援ネットワークマップ」を改訂しました。マップは、
各学校に配付する他、総合教育センターのホームページからもダウンロードできます。

「支援を必要とする児童・生徒のための
かながわ支援ネットワークマップ」
支援を必要とする児童・生徒のための か な が わ 支援ネットワークマップ
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(21)個別の支援計画について

「個別の支援計画」は、幼少時期から卒業後までのライフステージに沿って、必要に応
じた的確な支援が受けられるようにすることを目的としたものであり、ある程度長期的な
計画です。国の報告等においても、LD、AD/HD等を含め、すべての障害のある子ども
について作成することとしています。
神奈川県では、「個別の支援計画」の書式として「支援シート」を導入しました。「支援
シート」は、保護者面談等の折に、必要なメンバーが集まって話をしながら計画するなど、
連携のツールとして活用することができます。また、この「支援シート」は次の機関への
移行期を含め、少なくとも子どもの成長の節目にあたる3年に一度は必ず評価、再計画を
行うようにします。

所属機関の連携による支援=支援シートT これまでの支援 これからの支援
支援を必要としている子どもたちには、幼稚園、保育園、通園施設、療育センター等の
学齢前の機関から、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校、大学、専門学校等
を経て、就労先(授産施設、厚生施設、作業所、企業等)に至る、所属機関の移行があり
ます。こられの機関がバラバラに対応するのではなく、療育や指導を引き継ぎながら一貫
した支援をするために、「支援シートT」(84 頁)を使って機関の連携を図っていきます。

関係機関の連携による支援=支援シートU 支援の内容と役割分担
一方、子どもの生活全体を支援するためには、教育、保健、医療、福祉、労働等の諸機
関との連携を図る必要があります。「支援シートU」(85 頁)を使って、生活全体を考慮し
た必要な支援と、それぞれの役割分担を明確にします。それを基に、各機関における具体
的な計画が展開されていくこととなります。

















個別教育計画
神奈川県において取り組んできた計画で、ライ
フステージと地域生活を考慮し、学校における教
育活動全般にわたりチームで作成する計画。個別
の指導計画も含んだもの。
「個別の支援計画」「個別教育計画」「個別の指導計画」
個別の教育支援計画
幼稚園・療育
センター等に
おける計画
作業所・施設
・企業等に
おける計画
個別の指導計画
自立活動と重複障害者の指導に
あたり、指導の目標と内容を明確
にしたもの。
(平成11年学習指導要領)
個別の支援計画
学齢前から卒業後までの子どもの生活全般に関する支援の計画
個別教育計画
神奈川県において取り組んできた計画で、ライ
フステージと地域生活を考慮し、学校における教
育活動全般にわたりチームで作成する計画。個別
の指導計画も含んだもの。
「個別の支援計画」「個別教育計画」「個別の指導計画」
個別の教育支援計画
幼稚園・療育
センター等に
おける計画
作業所・施設
・企業等に
おける計画
個別の指導計画
自立活動と重複障害者の指導に
あたり、指導の目標と内容を明確
にしたもの。
(平成11年学習指導要領)
個別の支援計画
学齢前から卒業後までの子どもの生活全般に関する支援の計画
(「支援が必要な子どものための『個別の支援計画』〜『支援シート』を活用した『関係者の連携』の推進〜」より)
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75


ここで、「個別の支援計画」、「個別の教育支援計画」、「個別の指導計画」、「個別教育計画」
の関係をまとめると、次のようになります。



<個別の支援計画>

「個別の支援計画」はライフステージに沿った継続的な計画として、各機関が
作成する具体的な計画の指針となるべきものとして位置付けられます。

<個別の教育支援計画>
「個別の教育支援計画」は、「個別の支援計画」の中の学齢期の部分を指す呼び
方です。また、入学前の生活においては福祉が、そして卒業後の生活においては
福祉や労働が支援計画の主な担い手となりますが、学校生活の部分においては、学
校が主な担い手となります。担い手が学校であることからも「個別の教育支援計
画」と呼ばれます。

<個別の指導計画>
「個別の指導計画」は、平成 11 年の学習指導要領の改訂に際し、盲・ろう・養
護学校における自立活動と重複障害者の指導に当たって作成が義務付けられた指
導計画で、個々の児童・生徒の障害の状態や発達段階等の的確な把握に基づき、
指導の目標及び指導内容を明確にしたものです。個別指導かグループ指導かとい
う指導の形態にかかわらず、一人ひとりの指導の目標と内容について記載します。

<個別教育計画>
「個別教育計画」は、神奈川県が現在まで盲・ろう・養護学校で取り組んできた
計画であり、「個別の指導計画」の作成が義務付けられる以前より作成されてきま
した。「個別教育計画」は、自立活動だけではなく、教科指導も含めた、学校にお
ける教育活動全般にわたって作成するものです。
まず、「個別の支援計画」という生活全体に関する計画があり、その全体計画に
沿って、学校における教育の計画を立てることになります。これが「個別教育計
画」です。



「個別の支援計画」の活用については、神奈川県教育委員会発行の「支援が必要な子ど
ものための『個別の支援計画』〜『支援シート』を活用した『関係者の連携』の推進〜」
を参考にしてください。
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5 資 料


支援シートT
支援シートU
引用・参考文献
気づきシートT
気づきシートU
学習達成基準(国語)
学習達成基準(算数)
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平成 ・ 年度 神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業より 12 13
気づきシート (教員・担任用)T
*この用紙は、児童の学校での様子をより良く理解するためのものです。
あてはまる項目の□にレ印をつけて下さい。
平成年月日記入 記入者氏名( )
フリガナ 男 生年月日(年齢)
・平成年月日
名前 女 ( 歳)
在籍校 市立 小学校 学年 第 学年
項内容
聞 1□ 集中力がなくて、聞き取りがうまくできない。
く 2□ 人の話している内容が理解できない。
・ 3□ 質問に適切に答えることができない。
話 4□ 単純な文章だけで話し、使う言葉がかなり限定されている。
す 5□ 自分の考えを相手にうまく伝えることができない(筋道や事実関係等 。)
国 6□ 相手の話の内容に関係なく、一方的な話をすることが多い。
読 1□ 文字の読み間違いが多い。
語 む 2□ 音読が苦手である。
3□ 文章の内容がつかめない。
1□ 平仮名、片仮名で書けない字がある。
書 2□ 文字の形が整いにくい。
く 3□ 書くのに時間がかかる。
4□ 文章を書くことが難しい。
1□ 数字の読み間違いが多い。
算 2□ 10までの数の合成、分解ができない。
3□ 繰り上がり、繰り下がりの計算が困難である。
数 4□ 時間の感覚が弱い(遅れやすい、時計がよめても行動が伴わない等 。)
5□ 位置感覚が弱い(並べない、下駄箱の位置が分からない等 。)
1□ 動作がとても不器用である(歩く、走る、バランスを取る等 。)
運 2□ 手先がとても不器用である(はさみ、ボタン、はし等 。)
動 3□ 落ち着きがなく、じっとしていられない(注意力 。)
、() 。 ・ 4□ 自分勝手な行動が多く グループによる遊びや活動ができない 協調性
社 5□ 新しい状況になると過度に反応し混乱する。
会 6□ 約束した内容を忘れてしまうことが多い(宿題、ルール等 。)
性 7□ 相手の気持ちや表情を理解することが難しい。
8□ 一つの話題にこだわったり、同じ質問を繰り返しやすい。
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平成 ・ 年度 神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業より 12 13
気づきシート (教員・担任用)U
*この用紙は、児童の学校での様子をより良く理解するためのものです。
あてはまる項目の□にレ印をつけてください。
平成 年 月 日記入 記入者氏名( )
フリガナ 男 生年月日(年齢)
・平成年月日
名前 女 ( 歳)
在籍校 市立 小学校 学年 第 学年
項内容
1□ 集団の中で、言葉の指示や注意が理解できない。
聞 2□ 聞いたことをすぐ忘れてしまう。
3□ 話を聞くとき、集中していられる持続時間が短い。
く 4□ 簡単な単語の意味を取り違える。
5□ 話の内容についていけず、集団での話し合いに参加できない。
1□ 幼稚な言葉を使ったり、特定の音節の発音ができなかったりする。
話 2□ 単語などが出にくい。
3□ 順序を整理して話すことが難しい。
す 4□ 話題がとびやすい。
5□ 一つの話題に固執する。
1□ 似た字を間違えて読みやすい。
国 2□ 漢字の読み間違いが多い(音読みと訓読みの混乱、順序の逆転等 。)
3□ 助詞や文末を読み間違える(勝手読み 。)
語 読 4□ 一字一字は読めるがたどたどしい読みである。
5□ 文節を区切って読むことができない。
む 6□ 文字や行をとばして読むことが多い。
7□ 読むときに過度に緊張する。
8□ 話のあらすじや文章のおおよそを読みとることができない。
1□ 「く」と「へ 「し」と「つ」等の似た文字を間違えて書く。 」、
書 2□ 鏡文字が多い。
3□ 枠やマスの中に文字が書けずにはみ出す。
く 4□ 黒板や教科書の文字を視写するのに時間がかかる。
5□ 拗音や促音を正しく書けない。
6□ 話したいことや伝えたいことを文章に表すのが苦手である。
1□ 89を98と読んだり、ジュウゴを105と書いたりする。
2□ 数唱において、二度言ったり、抜かしたりして時間がかかる。
3□ 数字の「3」と量の「3個」などを対応させて理解することができない。
4□ +−×÷の記号の意味が理解できない。
数 5□ 繰り上がりのある足し算ができない。
6□ 繰り下がりのある引き算ができない。
7□ 筆算表記で、位を揃えることが難しい(2年生以上 。)
算 8□ 九九の暗唱や、九九を使った計算ができない(2年生以上 。)
図 1□ 形(○ △ □ など)の仲間分けができない。
数 2□ おおよその形を視写することができない。
形 3□ 図形などを書くことが苦手である。
4□ 定規やコンパスを使うことが難しい(2年生以上 。)
数 1□ 簡単な文章題を読んで立式することができない。
学 2□ 表(時間割表など)の意味が分からない。
的 3□ 時間の流れや暦の意味が理解できない。


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79
項内容
1□ バランスを取るのが難しい。
粗 2□ スキップができない。
大 3□ リズムに合わせて体を動かすことが苦手である。
運 4□ 相手の動きに合わせて、同じ動きができない。
運 動 5□ 前転ができない。
動 6□ ボールの扱いがぎこちない。
微 1□ 紙の端をそろえて折ることができない。
細 2□ 紙をはさみで線に沿って切ることができない。
運 3□ 鉛筆や消しゴムをうまく使うことができない。
動 4□ 閉じた丸を描くことができない。
1□ 席にじっと座っていることが難しい。
2□ 注意がそれやすく、持続することが難しい。
3□ 気に入らないことがあると乱暴な行動をとる。
行 4□ 我慢できずにかんしゃくを起こす。
動 5□ 掃除・給食当番をやらない。
特 6□ 作業が極端に遅い。
徴 7□ 好きなことにしか集中できない。
8□ ゲーム等で負けることにがまんができない。
9□ できそうもないとすぐ諦めたり怒ったりする。
10□ 特定の物音や雰囲気への恐怖心が強い(運動会のピストルの音等 。)
1□ いじめられやすい。
社 2□ 人の嫌がることをしたり、言ったりする。
会 対 3□ よく人にちょっかいを出し、注意をひこうとする。
性 人 4□ 自分勝手で友達と遊びを続けることができない。
関 5□ ルールが分からなくて、遊ぶことができない。
係 6□ 挨拶や、お願い等がきちんとできない。
7□ 冗談が通じない。
8□ 相手の気持ちを読みとることができない。
1□ 宿題や提出物、学校で使う物等の忘れ物が多い。
生 2□ ノートや教材等をいつも違った場所に置くなどして、きちんと整理でき
活 ない。
習 3□ ボタンかけ、ファスナー締め、靴ひも結び等がうまくできない。
慣 4□ 偏食や過食、少食が見られる。
5□ 食器を使って食事をすることがうまくできず、食べこぼしが多い。
*その他、気づいたことがあれば記入してください。
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80
平成 ・ 年度 神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業より 12 13
学習達成基準(国語)
*該当学年の当てはまる項目の□にレ印をつけて下さい。1項目でもレ印がついた場合は、前学年
の項目も同様に行って下さい。
小学校1学年入学時〜1学期(「幼稚園の修了レベル」の達成度を調べる) T
話す・聞く
1□ したこと、見たこと、聞いたことなどを自分なりのことばで話すことができない。
2□ したいこと、してほしいことを言ったり、分からないことを尋ねたりすることができない。
3□ 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話すことができない。
4□ 挨拶することができない。
書く
1□ 文字に興味を持つことができない。
読む
1□ 絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞いたり想像したりすることができない。
小学校2学年進級時〜1学期(「小1修了程度レベル」の達成度を調べる) U
話す・聞く
1□ 順序を考えて話すことができない。
2□ 大事なことを落とさないように聞き取ることができない。
3□ はっきりした発音で話すことができない。
書く
1□ 平仮名を書くことができない。
2□ 片仮名を書くことができない。
3□ 漢字を書くことができない。
4□ 簡単な文を書くことができない。
読む
1□ 平仮名を読むことができない。
2□ 片仮名を読むことができない。
3□ 漢字を読むことができない。
4□ 順序を考えながら読むことができない。
5□ 声に出して読むことができない。
小学校3学年進級時〜1学期(「小2修了程度レベル」の達成度を調べる) V
話す・聞く
1□ 順序を考えながら相手に分かるように話すことができない。
2□ 大事なことを落とさないようにしながら興味を持って聞くことができない。
3□ 話題に沿って話し合うことができない。
4□ 姿勢、口形などに注意してはっきりした発音で話すことができない。
書く
1□ 長音、拗音、促音、撥音などを書くことができない。
2□ 「は・へ・を」を正しく使うことができない。
3□ 句読点や、かぎカッコを使うことができない。
4□ 文の中で漢字を使うことができない。
5□ 主語や述語に気をつけて文を書くことができない。
読む
1□ 長音、拗音、促音、撥音などを読むことができない。
2□ 「は、へ、を」などを正しく読むことができない。
3□ 場面の様子などについて想像を広げながら読むことができない。
4□ 語や文のまとまりを考えながら読むことができない。
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81
小学校4学年進級時〜1学期(「小3修了程度レベル」の達成度を調べる) W
話す・聞く
1□ 筋道を立てて話すことができない。
2□ 話の中心に気をつけて聞くことができない。
3□ 互いの考えの相違点や共通点を考えながら話し合うことができない。
書く
1□ 学年相当の漢字を書くことができない。
2□ 送り仮名に注意して書くことができない。
3□ 文と文のつながりを考えながら書くことができない。
読む
1□ 学年相当の漢字を読むことができない。
2□ 場面の移り変わりや情景を想像しながら読むことができない。
3□ 内容の中心や場面の様子が分かるように声に出して読むことができない。
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82
平成 ・ 年度 神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業より 12 13
学習達成基準(算数)
*該当学年の当てはまる項目の□にレ印をつけて下さい。1項目でもレ印がついた場合は、前学年
の項目も同様に行って下さい。
小学校1学年入学時〜1学期(「幼稚園の年長・年中レベル」の達成度を調べる) T
・・・小学校1学年3学期(「小1の1学期程度」の達成度を調べる) *
。 数と計算 ※ / は同じ種類の問題でもレベルに差があることを示す
1□ 自分の年を言うことができない(6才または7才であること)。
2□ 具体物の数を数えることができない(1対1対応ができる 5個まで 10個まで 10個以上)。
//
、「 」。 3□ 半具体物等を利用して数の分解ができない(10以下の数で 例 5は2と3/10は6と4 )
4□*数字を読むことができない[2桁までの数を読むことができない 例「18、56、87」]。
5□*足し算(繰り上がり無し)ができない[1桁+1桁 例「3+1/5+3」]。
6□*足し算で繰り上がりができない[1桁+1桁↑2桁 例「5+5/7+4/6+8」]。
7□*引き算ができない(繰り下がり無し)[1桁−1桁 例「5−3/7−4/8−6」]。
量と測定
1□ 大小の比較ができない(長さ、大きさ、広さ 例「直接比較、手に取れる具体物」)。
2□ 大小の比較ができない(長さ、大きさ、広さ 例「間接比較、手に取れない物」)。
図形
1□ 単体の基本的な図形の名前・形の特徴を言うことができない(「三角、四角、丸」)。
2□ 身の回りのものの形の名前・形の特徴を言うことができない(「三角、四角、丸」)。
3□*基本的な形(「三角、四角等」)を作ることができない・分解できない・箱が分からない。
4□*体を動かすことができないし、方向・位置が分からない(上下、左右、前後)。
推論
1□ 架空の状況が頭の中に設定できない。
2□ 原因と結果が区別できない[熊さんが頭に包帯、熊さんが転んだ、どっちが先でしょうか]。
、。 3□ 推論できない[タイプ (絵がある):お皿1枚で饅頭3個 ではお皿2枚では何個でしょうか] 1
、。 4□*推論できない[タイプ (絵がある):熊さんが森を歩いていますが 次に誰に会うでしょうか] 2
小学校2学年進級時〜1学期(「幼稚園の年長・小1修了レベル」の達成度を調べる) U
小学校2学年3学期(「小2の1学期程度」の達成度を調べる) *・・・
数と計算
1□ 具体物の数を数えることができない[100個まで/100〜(500)個)]。
2□*数の分解・合成ができない(10以上の数で、例「15は10と5/20は16と4」)。
3□*数字を読むことができない[3桁 例100/106/145/204/234/678]。
4□*足し算(繰り上がり無し)ができない[2桁+1桁、2桁+2桁。例23+4/56+13]。
5□*引き算(繰り下がり無し)ができない[1桁−1桁、2桁−1桁・2桁 例7−4/36−25]。
6□*文章題(一桁の足し算引き算で繰り上がり・繰り下がり無し)から、立式できない。
量と測定
1□ 大小の間接比較ができない(長さ、大きさ、広さの間接比較 例「定規の利用」)。
2□*単位の意味が分からない(長さの単位、 / /m)。mm cm
3□*時刻を読むことができない(午前と午後が分からない/長針と短針の理解ができない:時間
が読めない/分が読めない)。
図形
1□ 形を作ることができない・分解することができない。
2□ 方向・位置が分からない(上下左右前後、右斜め上、左斜め上、その他)。
3□ 基本的な図形の概念が分からない(三角形、四角形の弁別、特徴)。
推論
1□ 架空の状況が頭の中に設定できない。
2□ 仮定から推論ができない[山に雨が降りそうです。 川の水は増えそうですか、減りそうで
すか]。
3□ 問題文を読むことができない・問題の意味が分からない[条件は何か、分からないものは何
か]。
4□ 推論できない[タイプ (絵を提示せず :お皿1枚で○が6個、ではお皿2枚では何個でしょ 1)
うか]。
5□*時間割の意味が分からない[次の時間、明日や他の曜日に行う授業の教科名が分からない。
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小学校3学年進級時〜1学期(「小2程度レベル」の達成度を調べる) V
小学校3学年3学期(「小3の1学期レベル」の達成度を調べる) *・・・
数と計算
1□ 数を数えることができない[4桁 1000まで]。
2□ 数字を読むことができない[4桁 例1000/1001/1023/1104/1806/2456/7896]。
3□ 足し算で繰り上がりができない[1桁+1桁↑2桁、1桁+2桁↑3桁 例6+4/90+20]。
4□ 足し算で繰り上がりができない[2桁+2桁↑2・3桁 例「18+5/28+57/35+96/67+45]。
5□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁 例「14−5/40−8/50−30」]。
6□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁 例「45−9/83−56/100−65」]。
7□ かけ算ができない(九九の範囲1〜5の段程度)。
8□*かけ算ができない[2桁×1桁、2桁×2桁]。
量と測定
1□ 時刻を読むことができない(午前と午後が分からない/長針と短針の理解ができない:時間
が読めない/分が読めない)。
2□*単位の意味は分かるが、使うことができない(長さの単位 、 、m、 )。 mm cm km
3□*単位の意味は分かるが、使うことができない(重さの単位 、 、 )。mggkg
図形
1□ 基本的な平面図形の性質が分からない(直線、辺、頂点)。
2□*基本的な図形概念が分からない(三角形、四角形、正方形、長方形の弁別、特徴)。
推論
1□ 架空の状況を頭の中に設定できない。
、。 2□ 原因と結果の関係が分からない[熊さんが頭に包帯 熊さんが転んだ どっちが先で理由は]
3□ 問題文を読むことができない・問題の意味が分からない[条件は何か、分からないものは何
か]。
4□ 推論できない[タイプ :1枚の時3個、2枚の時6個では3枚の時はいくつと考えられます 3
か]。
小学校4学年以上(小4以上のLDについては、 〜 を利用することも考えられる) WTV
小学校4学年3学期以降〜 *・・・
数と計算
1□ 数を数えることができない(1000以上)。
2□ 足し算で繰り上がりができない[2桁+2桁↑3桁、それ以上]。
3□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁、3桁−1桁・2桁・3桁、それ以上]。
4□ かけ算ができない(九九の範囲6〜9の段)。
5□*かけ算ができない[2桁×1桁・2桁、3桁×1桁・2桁・3桁、それ以上]。
6□*わり算ができない。
7□*小数の四則演算ができない。
8□*分数の四則演算ができない。
量と測定
1□ 大小の比較ができない(長さ、かさ、広さ)。
、、、。 2□ 時刻と時間の違いが分からない 時間の計算ができない(時間+時間 時間−時間 その他)
3□*単位の意味が分かるが計算できない(長さの単位 、 、m、 。任意単位、普遍単位 mm cm km)
4□*単位の意味が分かるが計算できない(重さの単位 、 、 、面積、体積)。 mggkg
図形
1□ 形を作る・分解することができない、箱が分からない。
2□ 基本的な図形が分からない(三角形、四角形、正方形、長方形、直角三角形の弁別、特徴)。
3□*基本的な図形が分からない(直線、線分、二等辺三角形、正三角形、立方体、直方体)。
4□*図形の性質が分からない(垂直、平行、直角、対角線、平行四辺形、台形)。
数量関係
1□ 資料の分類ができない(犬と猫[2種]、鳥と虫と魚[3種]、その他またはそれ以上)。
2□ 二つの数量に関係があることを見つけることができない・分からない。
3□*棒グラフを読むことができない(棒グラフ3〜4種類位、棒グラフ5種類以上)。
4□*資料から棒グラフを作ることができない(資料3〜4種類位、5種類以上)。
推論
1□ 架空の状況を頭の中に設定することができない。
2□ 事実から推論できない[台風が九州にきました。どのような被害があったと思いますか]。
3□ 抽象的な仮定から推論できない[どんな多角形も三角形に分けられる]。
4□*問題文は読めるが、問題の意味が分からない[条件は何か、分からないものは何か]。
5□*推論できない[タイプ :ひし形は平行四辺形、平行四辺形は四角形ならばひし形は(四角形で 3
すか)]。
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84
支援シートT これまでの支援これからの支援

ふ り が な
氏 名
所 属 機 関 記入日 相談メンバー




*記入者には○印をつける

項 目 内 容
所 属 機 関

家 庭 生 活

余暇・地域生活
これまでの取組

健康・安全・相談

これまでの取組の評価



これからの方針
所 属 機 関





家庭生活
余暇・地域生活
卒業後の生活



これからの計画

健康・安全・相談



(「支援が必要な子どものための『個別の支援計画』〜『支援シート』を活用した『関係者の連携』の推進〜」より)
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85
支援シートU 支援の内容と役割分担

ふりがな
氏 名 所属機関 ( 学年)
記入日 相談メンバー
見直し日
相談メンバー
*記入者には○印をつける
課 題
または
ニーズ


項目
機 関 担当者 支援の内容
見直し
予定日
見直し
評 価

所属機関












家庭生活












余暇・地域生活











健康・安全・相談











(「支援が必要な子どものための『個別の支援計画』〜『支援シート』を活用した『関係者の連携』の推進〜」より)
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86
引用文献

神奈川県教育委員会(編集)2004「支援が必要な子どものための『個別の支援計画』〜『支援シート』を活
用した『関係者の連携』の推進〜」神奈川県教育委員会

学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議 1999
「学習障害に対する指導について(報告)」文部省

これからの支援教育の在り方検討協議会 2002「これからの支援教育の在り方(報告)」神奈川県教育委員会

特別支援教育特別委員会 2005「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」文部科学省

特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議 2004「今後の特別支援教育の在り方について(最終報
告)」文部科学省

文部科学省(編集)2004「小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機
能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」東洋館出版社

参考文献

神奈川県教育委員会(編集)2002「学習につまずきのある子どもたちへの校内支援に向けて」神奈川県教育
委員会

全国養護教諭サークル協議会 2003『ぼくのこともっとわかって!アスペルガー症候群 小・中学校の事例と
医師からの解説 健康双書 全養サシリーズ 86』農山漁村文化協会

21 世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議 2001「21 世紀の特殊教育の在り方について(最終
報告)〜一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について〜」文部省

福岡県教育センター(編集)2002「はじめよう学習障害(LD)児への支援」福岡県教育センター

福岡県教育センター(編集)2003「はじめようADHDの子どもへの支援」福岡県教育センター

American Psychiatric Association・高橋三郎2003『 DSM-W-TR 精神疾患の分類と診断の手引』医学書院

石隈利紀・田村節子 2003『石隈・田村式 援助シートによるチーム援助入門 学校心理学・実践編』図書文
化社

石隈利紀 1999『学校心理学 教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス』
誠信書房

ウイリアム・J. クレイドラー(翻訳:プロジェクトアドベンチャージャパン)2001『プロジェクトアドベン
チャーの実践 対立がちからに―グループづくりに生かせる体験学習のすすめ』C.S.L.学習評価研究所

内山登紀夫他(編集) 2002『高機能自閉症・アスペルガー症候群入門 正しい理解と対応のために』中央法
規出版

尾崎洋一郎他 2003『学習障害(LD)及びその周辺の子どもたち 特性に対する対応を考える』同成社

尾崎洋一郎他 2002『ADHD及びその周辺の子どもたち 特性に対する対応を考える』同成社

カレン・ウィリアムズ(翻訳:門眞一郎他)1995『アスペルガー症候群の子どもの理解:教師のための指針』
ミシガン大学医学センター

キャスリーン・ナドー、エレン・ディクソン(翻訳:水野薫他)2001『きみもきっとうまくいく子どものた
めのADHDワークブック』東京書籍


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87
菅野純 2001『教師のためのカウンセリングワークブック』金子書房

熊谷恵子・青山真二(監修:藤田和弘)2000『長所活用型指導で子どもが変わる Part2』図書文化社

グニラ・ガーランド(翻訳:中川弥生)2003『あなた自身のいのちを生きて アスペルガー症候群、高機能
自閉症、広汎性発達障害への理解』クリエイツかもがわ

ケネス・ホール(翻訳:野坂悦子)2001『ぼくのアスペルガー症候群 もっと知ってよぼくらのことを』東
京書籍

ゲーリー・メジホフ(翻訳:服巻繁)2003『アスペルガー症候群と高機能自閉症 その基礎的理解のために』
エンパワメント研究所

小枝達也・加我牧子他 2002『ADHD、LD、HFPDD、軽度 MR 児保健指導マニュアル―ちょっと気になる子どもた
ちへの贈りもの』診断と治療社

國分康孝(監修)1999『エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集』図書文化社

國分康孝(監修)2001『エンカウンターで学校を創る 心を育てる学校ぐるみの実践集』図書文化社

シンシア・ウィッタム(翻訳:上林靖子他)2002『読んで学べるADHDのペアレントトレーニング―むず
かしい子にやさしい子育て』明石書店

杉山登志郎 2002『アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート―よりよいソーシャルスキルを身に
つけるために』ヒューマンケアブックス学習研究社

曽根富美子(取材協力 森口奈緒美)1997『この星のぬくもり 自閉症児のみつめる世界』ベネッセ

柘植雅義 2002『学習障害(LD)理解とサポートのために』中公新書

田中康雄 2001『ADHDの明日にむかって 認め合い・支え合い・赦しあうネットワークをめざして』星和
書店

月森久江他 2003『教室で行う特別支援教育 育てるカウンセリングによる教室課題対応全書』図書文化社

トニー・アトウッド(翻訳:内山登紀夫他)1999『ガイドブック アスペルガー症候群 親と専門家のために』
東京書籍

戸部けいこ 2003『光とともに…』(1)〜(9)秋田書店

平山諭 2001『ADHD児を救う愛の環境コントロール 大切なのは心を追いつめないこと』ブレーン出版

松原達哉 2002『図解雑学 臨床心理学 図解雑学シリーズ』ナツメ社

森孝一 2001『LD・ADHD特別支援マニュアル 通常クラスでの配慮と指導』明治図書

吉田昌義・拓殖雅義・河村久・吉川光子 2003『通常の学級における LD・ADHD・高機能自閉症児の指導 つま
ずきのある子の学習支援と学級経営』東洋館出版社

ローナ・ウィング(翻訳:清水康夫他)1998『自閉症スペクトル 親と専門家のためのガイドブック』東京
書籍
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「LD、AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のためのティーチャーズ・ガイド」
(初版)の作成関係者
<助言者>
所 属 職名 氏名 備考
関戸 英紀 平成15年度 横浜国立大学 助教授
諏訪 利明 平成14、15年度 海老名市立わかば学園 学園長
<調査研究協力員>
所属 職名 氏名 備考
鎌倉市立西鎌倉小学校 教 諭 養田和香代 平成14、15年度
藤沢市立鵠沼小学校 養護教諭 南辻 恵子 平成14、15年度
相模原市立橋本小学校 教 諭 戸田 淑子 平成14、15年度
愛川町立高峰小学校 校 長 滝本かな子 平成14、15年度
城山町立川尻小学校 松元喜久枝 平成14年度 教諭
相模湖町立千木良小学校 中田 早苗 平成15年度 教諭
平塚市立江陽中学校 教 諭 田邊 裕美 平成14、15年度
真鶴町立真鶴中学校 校 長 犬丸 克彦 平成14、15年度
湘南養護学校 梅原 美香 平成14、15年度 神奈川県立 教 諭
藤沢市教育委員会 天利 智子 平成14年度 指導主事
葉山町教育委員会 小林 恭子 平成15年度 指導主事
愛甲教育事務所 小川 朋子 平成14年度 指導主事
田所 健司 平成15年度 愛甲教育事務所 指導主事
義務教育課 中林由美子 平成14年度 指導主事
山近佐知子 平成15年度 義務教育課 指導主事
障害児教育課 安藤 正紀 平成14年度 指導主事
吉野 雅裕 平成15年度 障害児教育課 指導主事
<神奈川県立総合教育センター>
所 属 職名 氏名 備考
柏木 雅彦 総合企画課 主 査
鈴木 孝雄 人材育成課 教育指導員
研究開発課 研修指導主事 林 正直
教育相談課 研修指導主事 山口 秀子
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「LD、AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のためのティーチャーズ・ガイド」
(改訂版)の作成関係者
<助言者>
所 属 職名 氏名 備考
横浜国立大学 助教授 平成17年度 関戸 英紀
平成17年度 神奈川県学習障害教育研究会 相談・指導室長 伊藤 逞子
<調査研究協力員>
所 属 職名 氏名 備考
座間市立ひばりが丘小学校 平松 純子 平成17年度 教諭
南足柄市立岡本小学校 宮川 徹 平成17年度 教諭
教 諭 松本 寛 平成17年度 城山町立川尻小学校
平成17年度 平塚市立江陽中学校 教 諭 田邊 裕美
神奈川県立大秦野高等学校 宍戸 章子 平成17年度 教諭
<神奈川県立総合教育センター>
所属 職名 氏名 備考
猪熊 直樹 研究開発課 研修指導主事
柏木 雅彦 総合企画課 副主幹
教育相談課 研修指導主事 山口 滋美
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LD、AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のための
ティーチャーズ・ガイド(改訂版)


発 行 平成 18 年3月

発行者 清水 進一

発行所 神奈川県立総合教育センター

〒251-0871 藤沢市善行7−1−1

電話 (0466)81-1659 (研究開発課 直通)

ホームページ http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/
--95/96--


カリキュラムセンター(善行庁舎)
〒251-0871 藤沢市善行7-1-1
TEL (0466)81-0188
FAX (0466)84-2040
教育相談センター(亀井野庁舎)
〒252-0813 藤沢市亀井野2547-4
TEL (0466)81-8521
FAX (0466)83-4500
神奈川県立総合教育センター
ホームページ http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/
--96/96--