平成16年1月
神奈川県立総合教育センター
神奈川県
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は じ め に

通常の学級には、学習につまずきのある子ども、行動の自己コントロールが
弱い子ども、対人関係をうまく結べない子ども等、自らの力だけでは解決が難
しい様々な悩みや課題を持った子どもたちがいます。その中には、LD(学習
障害)、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症等、特別な支援を必要
とする子どもたちが含まれています。
平成15年3月、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議がとりま
とめた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」では、LD、AD
/HD、高機能自閉症により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児
童・生徒について、約6%の割合で通常の学級に在籍している可能性を示し、
当該児童・生徒に対する教育的支援を適切に行うことは緊急かつ重要な課題で
あると述べています。
LD、AD/HD、高機能自閉症等の子どもたちは、知的な発達に遅れがない
のに、学習や行動、対人関係に著しい困難を示すため、その状態が本人の性格
や努力不足、家庭での育て方や愛情不足によるものと誤解されてしまう場合が
少なくありません。しかし、これらの困難な状態は、中枢神経系の機能不全に
よる発達の問題ととらえられる事柄です。
特別な支援を必要とする児童・生徒への対応のポイントとしては、@すべて
の教員が児童・生徒一人ひとりの特別な教育的ニーズに気づく力を持つこと、
A担任一人で抱え込まず、チームで取り組むこと、B学校内外の様々な人的・
物的資源を活用できるようネットワークづくりを進めること、の三つの視点を
挙げることができます。
本冊子は、LD、AD/HD、高機能自閉症等の子どもたちの理解と、その支
援に向けた取組について、これらの三つの視点をもとに、具体的な事例を含め
てまとめたティーチャーズ・ガイドです。特別な支援を必要とする児童・生徒
のニーズを見極める目を持つことは、すべての児童・生徒を正しく理解するこ
とにつながります。また、担任一人で抱え込まず学校全体で取り組む体制をつ
くることは、すべての児童・生徒が過ごしやすい環境を整備することにつなが
ります。そうした意味で、本冊子が、すべての教員に読まれ、特別な支援を必
要とする児童・生徒への理解が深まり、適切な支援が展開されるとともに、す
べての児童・生徒の指導にいかされることを期待します。

平成16年1月30日
神奈川県立総合教育センター
所 長 鈴 木 宏 司
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はじめに
1 特別な支援を必要とする児童・生徒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1−1 特別支援教育とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

2 LD、AD/HD、高機能自閉症の理解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2−1 AD/HDとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2−2 AD/HDの特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2−3 高機能自閉症とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2−4 高機能自閉症の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
2−5 AD/HD、高機能自閉症の気づきの観点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
2−6 AD/HD、高機能自閉症の指導における配慮 ・・・・・・・・・・・・・・・ 12
2−7 LDとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
2−8 LDの校内における実態把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
2−9 LD、AD/HD、高機能自閉症の関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

3 LD、AD/HD、高機能自閉症への対応の事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
3−1 校内で協力して指導にあたった事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
3−2 家庭との協力関係を築き、指導にあたった事例 ・・・・・・・・・・・・・・・ 20
3−3 不登校ぎみになった児童の事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
3−4 「みんなで支援」を目指したクラスづくりをした事例 ・・・・・・・・・・・・ 28
3−5 外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例 ・・・・・・・・・・・ 31






目 次
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4 校内支援体制づくりに向けた取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
4−1 学校全体での取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
4−2 通常の学級における配慮と指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
4−3 教室環境の工夫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
4−4 保護者に対する支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
4−5 校長の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
4−6 校内研修会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
4−7 学年会・事例検討会による情報交換 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
4−8 校内委員会の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
4−9 チームによる援助 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
4−10 養護教諭の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
4−11 交換授業の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47
4−12 少人数指導の活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
4−13 補習教室での指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
4−14 特殊学級との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
4−15 通級指導教室での支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
4−16 保育園、幼稚園、小・中・高等学校との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
4−17 外部専門機関との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
4−18 支援メニューの充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
4−19 個別教育計画について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56

5 資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
気づきのシート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
学習達成基準(国語) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
学習達成基準(算数) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
引用・参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
調査研究協力員名簿
おわりに
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1
1 特別な支援を必要とする児童・生徒

特別な支援を必要とする児童・生徒はどのクラスにもいる

通常の学級には、学習に困難のある子どもたち、行動の自己コントロールが難しい子ど
もたち、対人関係や社会的関係に問題をもちやすい子どもたち等、自らの力だけでは解決
が難しい様々な悩みや課題を持った子どもたちがいます。その中には、学習障害(LD)、
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、高機能自閉症等の子どもたちが含まれています。これ
らの子どもたちは、特別な支援を必要とする児童・生徒です。
学習障害児については、平成11年7月に文部科学省(当時文部省)から出された「学習
障害児に対する指導について(報告)」において、その対応の枠組みが固まりました。また、
平成13年1月の「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」においては、『学習障
害児、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)児、高機能自閉症児等への教育的対応』という項
が設けられ、対応すべき対象が学習障害(LD)に限らず、さらに広げて捉えられました。
「等」としたことには、今後は通常の学級で特別な教育的ニーズのある子ども全体に目を
向けようという姿勢が示されています。つまり、診断の有無にかかわらず、一人ひとりの
特別な教育的ニーズに応えていこうとする考え方が示されています。
さらに、平成15年3月に文部科学省でとりまとめられた「今後の特別支援教育の在り方
について(最終報告)」では、従来の特殊教育の対象となる障害に加え、LD、AD/HD、
高機能自閉症を含めて障害のある児童・生徒の自立や社会参加に向けて、生活や学習上の
困難を改善又は克服するために、その一人ひとりの教育的ニーズを把握して、適切な支援
を行い、その持てる力を高める特別支援教育の方向性が明確に示されました。

特別な教育的ニーズのある子どもたちに対して、教
育的対応を進めていくためには、学習に特異な困難を
持っているのか、行動に気になることがあるのか、そ
の双方を持っているのかということを明確にした上
で、適切な支援を行っていくことが大切です。それは、
医学的な診断を性急に求めるということではなく、一
人ひとりのニーズを的確に把握し、必要な支援を展開
していくことにつながります。
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2
特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、AD/HD、高
機能自閉症を含めて障害のある児童・生徒の自立や社会参加に向けて、その一人ひと
りの教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は
克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである。
1−1 特別支援教育とは

21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)
平成13年1月、文部科学省(当時文部省)に設置された21世紀の特殊教育の在り方に
関する調査研究協力者会議が、「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)〜一人一
人のニーズに応じた特別な支援の在り方について〜」をとりまとめました。
最終報告では、『小・中学校等の通常の学級に在籍する学習障害児や注意欠陥/多動性障害
(AD/HD)児、高機能自閉症児等特別な教育的支援を必要とする児童・生徒等に対して
も積極的に対応していく必要がある。』ことが提言されました。
そして、文部科学省の再編に際し、「特殊教育課」の課名が「特別支援教育課」に変更さ
れ、特別支援教育課は、盲・ろう・養護学校及び特殊学級における教育に加え、学習障害
児や注意欠陥/多動性障害児等通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・
生徒への対応も積極的に行うこととしています。

今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)
前項の最終報告では、LD、AD/HD、高機能自閉症等により学習や生活の面で特別な
教育的支援を必要とする児童・生徒が、(医師等の診断を経たものではないので、直ちにこ
れらの障害と判断することはできないものの)6%程度の割合で通常の学級に在籍してい
る可能性があること、当該児童・生徒に対する教育的支援を適切に行うことは緊急かつ重
要な課題であることが示されました。
そして、今後の基本的方向として、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教
育」から、障害のある児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を
行う「特別支援教育」への転換を図ることとしました。つまり、特別支援教育とは次のよ
うな教育です。





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3
特別支援教育の在り方の基本的考え方
@「個別の教育支援計画」(多様なニーズに適切に対応する仕組み)
障害のある子どもを生涯にわたって支援する観点から、一人一人のニーズを
"c^'u'AASOOEWZO E<@SO'I~AOEg 'E'ae'e"KO'E<3^c"IZx%'OEo%E"I 'Es''1/2''E A
<3^ca'IZw"+-'aZx%'"a-e'AE'.'euOEA*E 'I<3^cZx%OEv%ae v'Io'eAZAZ{A*]%?
iu Plan-Do-See」のプロセス)が重要。
A特別支援教育コーディネーター(教育的支援を行う人・機関と連絡調整をするキーパーソン)
校内、または、福祉・医療等の関係機関との間の連絡調整役として、あるい
は、保護者に対する学校の窓口の役割を担う者を学校に配置することにより、
教育的支援を行う人、機関との連携協力の強化が重要。
B広域特別支援連携協議会等(質の高い教育支援を支えるネットワーク)
地域における総合的な教育的支援のために有効な教育、福祉、医療等の関係
機関の連携協力を確保するための仕組みで、都道府県行政レベルで部局横断型
の組織を設け、各地域の連携協力体制を支援すること等が考えられる。

特別支援教育を推進する上での学校の在り方
@盲・聾・養護学校から特別支援学校へ
障害の重複化や多様化を踏まえ、障害種にとらわれない学校設置を制度上可
能にするとともに、地域において小・中学校等に対する教育上の支援(教員、
保護者に対する相談支援など)をこれまで以上に重視し、地域の特別支援教育
のセンター的役割を担う学校として「特別支援学校(仮称)」の制度に改めるこ
とについて、法律改正を含めた具体的な検討が必要。
A小・中学校における特殊学級から学校としての全体的・総合的な対応へ
LD、AD/HD等を含めすべての障害のある子どもについて教育的支援の目
標や基本的な内容等からなる「個別の教育支援計画」を策定すること、すべて
の学校に特別支援教育コーディネーターを置くことの必要性とともに、特殊学
級や通級による指導の制度を、通常の学級に在籍した上での必要な時間のみ「特
別支援教室(仮称)」の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化
するための具体的な検討が必要。

また、特別支援教育の在り方の基本的な考え方、特別支援教育を推進する上での学校の
在り方として、次のような提言がなされました。



































平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」から
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4
2 LD、AD/HD、高機能自閉症の理解

知的な発達に遅れがないのに、行動上の問題を起こしやすい子どもや、対人関係がうま
く結べない子どもがいます。また、部分的な学習能力の落ち込みのために誤解されやすい
子どももいます。さらにこれらの困難さをあわせもっている子どももいます。
このような問題がLD、AD/HD、高機能自閉症によって起こっている場合、その状態
は、努力不足、わがまま、自分勝手な行動として見えやすいため、保護者や教員が理解す
ることが難しく、不適切な対応が続くと、心理面や行動面等で二次的な障害(7頁)を招
く可能性があります。自己コントロールの弱さ、対人関係の苦手さ、あるいは部分的な学
習能力の落ち込みは、その子のもともとの発達の問題です。本人の性格や努力不足、家庭
での育て方に問題があるのではありません。
文部科学省の調査では、知的発達に遅れがないのに、学習面や行動面に著しい困難をも
っている子どもたちが、通常の学級の中に約6%いると報告されています。教員にとって、
そのような子どもたちが、何にどう困っているのかに気づくことはとても大切なことです。
周囲の人たち、学級の子どもたちの理解と配慮で、本来もっている力を発揮しやすい環境
を整える必要があるからです。効果的な配慮によって、問題を軽くしたり、なくしたりす
ることもできます。












一人ひとりのニーズを
的確に把握することが
大切!
例えば、AD/HDといっても、必ず問題行動を起こすわけではなく、状態は一人ひ
とり異なっています。同じ子どもが周囲からの適切な支援によって、急激に変わること
も決して珍しいことではありません。
特別な教育的ニーズのある子どもたちを正しく理解し、一人ひとりに応じた支援を考
えていきましょう。一人ひとりのニーズを的確に把握することが支援の第一歩です。
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5
2−1 AD/HDとは

AD/HDとは、「Attention−Deficit/Hyperactivity−Disorder」の診断名の略です。
注意欠陥/多動性障害と訳されています。DSM−W(アメリカ精神医学会の精神疾患
の診断・統計マニュアル)という診断基準で示されています。
また、世界保健機関(WHO)のICD−10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)
の定義では、「多動性障害」という診断名です。
文部科学省では、次のように定義しています。











AD/HDの子どもたちは、注意力・多動性・衝動性をコントロールすることが難し
いという特徴をもっています。









AD/HDは、こうした集中困難や多動などの状態が幼児期から明らかであり、「性格
の問題」ではなく、「発達の問題」として考えられています。家庭での育て方や環境の
問題で、このような状態になるのではありません。
AD/HDの子どもたちの行動は、問題行動と捉えられやすく、周囲の人から叱られ
ることも多くなってしまいます。また、他の子どもたちが簡単にできることができなく
て、自信を失うなど二次的な情緒の不安定さにつながりがちです。
しかし、周囲の人たちの配慮で、本来もっている力を発揮しやすい環境に整えること
が可能です。また、AD/HDといっても、その状態は一人ひとり異なっています。彼
らを正しく理解しその子どもに応じた援助を考えることが必要となります。
多動性
・じっとしていられない
・最後まで人の話を聞けない等
衝動性
不注意
AD/HDの定義
AD/HDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、
多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたす
ものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因によ
る機能不全があると推定される。
・順番が待てない
・考える前に行動してしまう等
・いつもぼんやりしている
・忘れ物やなくし物が多い等
平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から
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2−2 AD/HDの特徴

次のような特徴が多く見られ、少なくとも、その状態が6ヶ月以上続いている場合
には、教育的、心理学的、医学的な観点からの詳細な調査が必要です。
そしてこのような特徴のある子どもがいたら、かかわり方を工夫しましょう。

<不 注 意>
・ 学校での勉強で、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いを
したりする。
・ 課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい。
・ 面と向かって話しかけられているのに、聞いていないようにみえる。
・ 指示に従えず、また仕事を最後までやり遂げられない。
・ 学習などの課題や活動を順序立てて行うことが難しい。
・ 気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける。
・ 学習などの課題や活動に必要な物をなくしてしまう。
・ 気が散りやすい。
・ 日々の活動で忘れっぽい。

<多 動 性>
・ 手足をそわそわ動かしたり、着席していてもじもじしたりする。
・ 授業中や座っているべき時に席を離れてしまう。
・ きちんとしていなければならない時に、過度に走り回ったりよじ登ったりする。
・ 遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい。
・ じっとしていない。または何かに駆り立てられるように活動する。
・ 過度にしゃべる。

<衝 動 性>
・ 質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう。
・ 順番を待つのが難しい。
・ 他の人がしていることをさえぎったり、じゃましたりする。




AD/HDの診断は、医療機関で行うものです。子どもたちの不適応行動を見て、す
ぐに「この子は、AD/HD児だ。」というような判断をしてしまいがちですが、行動だ
けを見て、決めてしまうことのないよう、十分留意しましょう。
平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から
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2−3 高機能自閉症とは

自閉症は、医学でいう広汎性発達障害に含まれる障害のことをいいます。
文部科学省では、高機能自閉症を次のように定義しています。








高機能自閉症の子どもは、相手の気持ちや周囲の状況、雰囲気を読みとることが苦手な
ため、対人関係をうまく結ぶことができず、集団への不適応を示すことが多くなります。
また、言葉によるコミュニケーションに関しても、ある面では流暢に話しますが、ユーモ
アやからかい、皮肉など、言葉の裏側にある意味の理解が難しいので、いじめの対象にさ
れることがあり、配慮が必要になります。不適切な対応が繰り返されると、二次的な障害
を招き、問題行動が出てきやすい子どもたちです。
また、文部科学省では、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発
達の遅れを伴わないものをアスペルガー症候群としています。しかし、高機能自閉症とア
スペルガー症候群の違いを厳密に区別するのは難しいのが実情です。アスペルガー症候群
は、言語機能に大きな困難性はありませんが、その他の行動特性は自閉症と同じであり、
教育的な対応は高機能自閉症と同様と考えることができます。


ADHDの定義 高機能自閉症の定義
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、@他人との社会的関係の形成の困難さ、
A言葉の発達の遅れ、B興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とす
る行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から

コラム〜二次的な障害〜
LD、AD/HD、高機能自閉症の子どもたちは、知的発達に遅れがないため、
'>>'I"A'\'Zu^I'(C)'c-%'3'e' A*s"KO'E'I%z' ''e %A"\<<'''e'U'. B-%
*s'<<'E'ae'eA"U'e"I'E*]%?'aZO"TM'I*s"KO'E'I%z'I'Yd'E'e'AEA"U'e"I'EZ(C)
OEE fCf[fW''a'A'1/2'eAZ(C)'S''a%'u'1/2'e'u'U'.B'>>'I'+-'AE'E'ae'A'A Ai 'I
*s^A'eA"1/2R"I'Es"(R)A[ 'E*s"K%z'Io'O"TM'u''+-'AE'''e'U'. B'>>'I'ae'
'E"nZY"I'EaSQ'-hZ~'.'e'+-'AE'd-v'A'.B
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8
2−4 高機能自閉症の特徴

次のような特徴が多く見られる場合には、教育的、心理学的、医学的な観点からの詳
細な調査が必要です。

<人への反応やかかわりの乏しさ、社会的関係形成の困難さ>
・ 目と目で見つめ合う、身振りなどの多彩な非言語的な行動が困難である。
・ 同年齢の仲間関係をつくることが困難である。
・ 楽しい気持ちを他人と共有することや気持ちでの交流が困難である。
【高機能自閉症における具体例】
・ 友達と仲良くしたいという気持ちはあるけれど、友達関係をうまく築けない。
・ 友達のそばにはいるが、一人で遊んでいる。
・ 球技やゲームをする時、仲間と協力してプレーすることが難しい。
・ いろいろな事を話すが、その時の状況や相手の感情、立場を理解しない。
・ 共感を得ることが難しい。
・ 周りの人が困惑するようなことも、配慮しないで言ってしまう。

<言葉の発達の遅れ>
・ 話し言葉の遅れがあり、身振りなどにより補おうとしない。
・ 他人と会話を開始し継続する能力に明らかな困難性がある。
・ 常同的で反復的な言葉の使用または独特な言語がある。
・ その年齢に相応した、変化に富んだ自発的な“ごっこ遊び”や社会性のある
“物まね遊び”ができない。
【高機能自閉症における具体例】
・ 含みのある言葉の本当の意味が分からず、言葉通りの表面的な受けとめ方を
してしまうことがある。
・ 会話の仕方が形式的であり、抑揚なく話したり、間合いが取れなかったりす
ることがある。


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<興味や関心が狭く特定のものにこだわること>
・ 強いこだわりがあり、限定された興味のあるものだけに熱中する。
・ 特定の習慣や手順にかたくなにこだわる。
・ 反復的な変わった行動(例えば、手や指をぱたぱたさせるなど)をする。
・ 物の一部に持続して熱中する。
【高機能自閉症における具体例】
・ みんなから、「??博士」「??教授」と思われている。(例:カレンダー博士)
・ 他の子どもは興味がないようなことに興味があり「自分だけの知識世界」を
持っている。
・ 空想の世界(ファンタジー)に遊ぶことがあり、現実との切り替えが難しい
場合がある。
・ 特定の分野の知識を蓄えているが、丸暗記であり、意味をきちんとは理解
していない。
・ とても得意なことがある一方で、極端に苦手なものがある。
・ ある行動や考えに強くこだわることによって、簡単な日常の活動ができなく
なることがある。
・ 自分なりの独特な日課や手順があり、変更や変化を嫌がる。

<その他の高機能自閉症における特徴>
・ 常識的な判断が難しいことがある。
・ 動作やジェスチャーがぎこちない。




高機能自閉症の診断は、医療機関で行うものです。このような特徴に気づいた時には、
専門機関等と連携し、適切な支援を行うことが必要です。
平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から
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2−5 AD/HD、高機能自閉症の気づきの観点

AD/HDや高機能自閉症等、障害の医学的な診断は医師が行うものです。しかし、
教員や保護者は、学校生活や家庭生活の中での状態を把握する必要があります。
学校における実態把握については、行動上の問題の把握だけでなく、教科学習や対人関
係の形成の状況、学校生活への適応状況など様々な観点から行うことが必要です。その際、
障害種別を判断するというのではなく、行動面や対人面において特別な支援が必要であ
るかどうかを判断していくことが大切になります。
実態把握をするためには、次のような気づきの観点が参考になります。

<知的発達の状況>
・ 知的発達の遅れは認められず、全体的には極端に学力が低いことはない。

<教科指導における気づき>
・ 本人の興味のある教科には熱心に参加するが、そうでない教科では退屈そうに
みえる。
・ 本人の興味ある特定分野の知識は大人顔負けのものがある。
・ 自分の考えや気持ちを、発表や作文で表現することが苦手である。
・ こだわると本人が納得するまで時間をかけて作業等をすることがある。
・ 教師の話や指示を聞いていないようにみえる。
・ 学習のルールやその場面だけの約束ごとを理解できない。
・ 一つのことに興味があると、他の事が目に入らないようにみえる。
・ 場面や状況に関係ない発言をする。
・ 質問の意図とずれている発表(発言)がある。
・ 不注意な間違いをする。
・ 必要な物をよくなくす。

<行動上の気づき>
・ 学級の児童・生徒全体への一斉の指示だけでは行動に移せないことがある。
・ 離席がある、椅子をガタガタさせる等落ち着きがないようにみえる。
・ 順番を待つのが難しい。
・ 授業中に友だちの邪魔をすることがある。
・ 他の児童・生徒の発言や教師の話を遮るような発言がある。
・ 体育や図画工作・美術等に関する技能が苦手である。
・ ルールのある競技やゲームは苦手のようにみえる。
・ 集団活動やグループでの学習を逸脱することがある。

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11

・ 本人のこだわりのために、他の児童・生徒の言動を許せないことがある。
・ 係活動や当番活動は教師や友だちに促されてから行うことが多い。
・ 自分の持ち物等の整理整頓が難しく、机の周辺が散らかっている。
・ 準備や後片付けに時間を要し、手際が悪い。
・ 時間内での行動など、時間配分が適切にできない。
・ 掃除の仕方、衣服の選択や着脱などの基本的な日常生活の技能を習得してい
ない。

<コミュニケーションや言葉遣いにおける気付き>
・ 会話が一方通行であったり、応答にならなかったりすることが多い。
(自分から質問をしても、相手の回答を待たずに次の話題にいくことがある)
・ 丁寧すぎる言葉遣い(場に合わない、友だちどうしでも丁寧すぎる話し方)
をする。
・ 周囲に理解できないような言葉の使い方をする。
・ 話し方に抑揚がなく、感情が伝わらないような話し方をする。
・ 場面や相手の感情、状況を理解しないで話すことがある。
・ 共感する動作(「うなずく」「身振り」「微笑む」等のジェスチャー)が少ない。
・ 人に含みのある言葉や嫌味を言われても、気づかないことがある。
・ 場や状況に関係なく、周囲の人が困惑するようなことを言うことがある。
・ 誰かに何かを伝える目的がなくても、場面に関係なく声を出すことや独り言が
多い。

<対人関係における気付き>
・ 友だちより教師(大人)と関係をとることを好む。
・ 友だちとの関係の作り方が下手である。
・ 一人で遊ぶことや自分の興味で行動することがあるため、休み時間一緒に遊ぶ
友だちがいないようにみえる。
・ 口ゲンカ等、友だちとのトラブルが多い。
・ 邪魔をする、相手をけなす等、友だちから嫌われてしまうようなことをする。
・ 自分の知識をひけらかすような言動がある。
・ 自分が非難されると過剰に反応する。
・ いじめを受けやすい。

平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から
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2−6 AD/HD、高機能自閉症の指導における配慮

AD/HD・高機能自閉症等の子どもたちの指導を進めるにあたっては、それぞれの特性
を十分に理解した上で、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な対応をしていくことが
大切ですが、配慮すべき点について類似するものも少なくありません。
具体的な配慮事項として、次のようなものがあげられます。

<AD/HD・高機能自閉症等の指導の共通性>
・ 共感的理解の態度をもち、児童・生徒の長所や良さを見つけ、それを大切にした
対応を図る。
・ 社会生活を営む上で必要な様々な技能を高める(ソーシャルスキルトレーニング
ゲーム、競技、ロールプレイング等による方法が有効である)。
・ 短い言葉で個別的な指示をする(受け入れやすい情報提示、具体的で理解しやす
い情報提示)。
・ いじめ、不登校などに対応する。
・ 本人自らが障害の行動特性を理解し、その中で課題とその可能な解決法、目標を
持つなど対処方法を編み出せるよう支援する。
・ 校内の支援体制を整える。
・ 周囲の子どもへの理解と配慮を推進する。
・ 通級指導教室での自信と意欲の回復を図る(スモールステップでの指導等による)。
・ 通級指導教室担当者は、在籍学級担任への児童・生徒の実態や学習・行動の状況
等に関する情報提供や助言をする。
・ 医療機関と連携する。
<AD/HDの指導>
・ 叱責よりは、できたことを褒める対応をする。
・ 問題行動への対応では、行動観察から出現の傾向・共通性・メッセージを読み取る。
・ 不適応をおこしている行動については、その児童・生徒と一緒に解決の方法を探
り、自力でできることと支援が必要な部分を明確にしておく。
・ グループ活動でのメンバー構成に配慮する。
・ 刺激の少ない落ち着いて学習に取り組める環境(机の位置等)を設定する。
<高機能自閉症の指導>
・ 図形や文字による視覚的情報の理解能力が優れていることを活用する。
・ 学習環境を本人に分かりやすく整理し提示する等の構造化をする。
・ 問題行動への対応では、問題行動は表現方法のひとつとして理解し、それを別の
方法で表現することを教える。
・ 環境の構造化のアイディアを取り入れること(見通しがもてる工夫や、ケースに
よっては個別的な指導ができるコーナーや部屋の活用等)が効果的である。
・ 情報の受け入れ方や心情の理解などにおいて、障害の特性を踏まえた対応をする。

平成15年3月 特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議
「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」定義と判断基準(試案)等から
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2−7 LDとは

LDとは、「Learning Disabilities」の略で、我が国では学習障害と訳されています。
文部科学省では、次のように定義しています。











学習障害の子どもたちは、全般的な知的発達に遅れはなく、多くのことを他の子どもと
同じようにできますが、ある特定のことができず、「聞く」などの一つの領域だけに困難
を示す場合もあれば、「聞く」「話す」「計算する」などの複数の領域に著しい困難を示
す場合もあります。
学習障害の直接の原因は、中枢神経系の何らかの機能障害によるものと推定されます。
つまり、様々な感覚器官を通して入ってくる情報を受け止め、整理し、関係づけ、表出す
る過程のいずれかに十分機能しないところがあると考えられるのです。
学習障害は、他の障害や児童・生徒の生育の過程や現在の環境における様々な困難とい
った外的・内的な要因による学習上の困難とは異なり、また、ある教科に対する学習意欲
の欠如や好き嫌いによるものでもありません。
学習特性に合わせた指導を受けられたことで、学力を身につけ、学習への自信を回復で
きた子どもたちはたくさんいます。できない子、やろうとしない子ではなく、一般的な指
導方法ではうまくいかない辛さがある子として考えましょう。
学習障害児には、行動の自己調整や対人関係などに問題が見られる場合がかなりありま
す。例えば学校生活において、注意集中の難しさや多動、対人関係などの社会的適応性の
問題が現れることもあります。このような問題は、一次的に学習障害と重複している場合
と、学習障害による学習上の困難の結果、そのような問題が二次的に生じている場合があ
ります。このような場合には、学習障害児に対する指導の中で、それらの問題の改善につ
いて配慮する必要があります。
LDの定義
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読
む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困
難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経
系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、
情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
平成11年7月 学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に
関する調査研究協力者会議 「学習障害児に対する指導について(最終報告)」から
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2−8 LDの校内における実態把握

児童・生徒の特異な学習上の困難には担任がまず気づいて、校内委員会(45頁)等にお
いて実態把握を行い、その特性に応じた指導方法をとるなど学習支援を行います。必要に
応じて外部の専門機関と連携をとります。
校内における実態把握のために、次のような基準が参考になります。


特異な学習困難があること
@ 国語又は算数(数学)(以下「国語等」という)の基礎的能力に著しい遅れがある。
・現在及び過去の学習の記録等から、国語等の評価の観点の中に、著しい遅れ
を示すものが1つ以上あることを確認する。この場合、著しい遅れとは、児
童・生徒の学年に応じ1〜2学年以上の遅れがあることを言う。
小2、3年 1学年以上の遅れ
小4年以上又は中学 2学年以上の遅れ
・なお、国語等について標準的な学力検査の結果があれば、それにより確認する。
・聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のいずれかに著しい遅れ
があることを、学業成績、日頃の授業態度、提出作品、ノートの記述、保護者
から聞いた生活の状況等、その根拠となった資料等により確認する。
A 全般的な知的発達に遅れがない。
・知能検査等で全般的な遅れがないこと、あるいは現在及び過去の学習の記録
から、国語、算数(数学)、理科、社会、生活(小1及び小2)、外国語(中
学)の評価の観点で、学年相当の普通程度の能力を示すものが1つ以上ある
ことを確認する。

他の障害や環境的な要因が直接の原因でないこと
・児童・生徒の記録を検討し、学習困難が特殊教育の対象となる障害によるも
のではないこと、あるいは明らかに環境的な要因によるものではないことを
確認する。
・ただし、他の障害や環境的な要因による場合であっても、学習障害の判断基
準に重複して該当する場合もあることに留意する。
・重複していると思われる場合は、その障害や環境等の状況などの資料により
確認する。




学習障害の判断は、学校では行わず、専門家に委ねる必要があります。専門家に判断
を求める前には、保護者に十分な説明を行い、了解を確認しなければなりません。
児童・生徒の特異な学習のつまずきに気づくため、平成12・13年度文部科学省委嘱
「神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業」で作成した「気づきのシ
ート」、「チェックリスト」「学習達成基準」(57頁)等を参考にするのも一つの方法で
す。
平成11年7月 学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に
関する調査研究協力者会議 「学習障害児に対する指導について(最終報告)」から
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2−9 LD、AD/HD、高機能自閉症の関係

LD、AD/HD、高機能自閉症は、その原因として中枢神経系に何らかの機能不全が推
定されるという点が共通しています。すなわち、いずれも軽度の発達障害ということがで
きます。
LDは学習面で、AD/HDは行動面で、高機能自閉症は社会面で主たる困難さが現れま
すが、LD、AD/HD、高機能自閉症の状態像は重なり合うことが多く、LDとAD/HD
をあわせもっている子どももいます。したがって、その判断や診断は慎重に進められなけ
ればなりません。また、学習や行動等の困難の原因として、軽度の知的障害や環境的な要
因が含まれていることも考えられます。
しかし、特別な教育的ニーズのある子どもたちへの支援は、判断や診断があって、はじ
めて開始されるものではありません。診断や判断を参考にして適切な支援を行っていくこ
とはもちろん大切なことですが、診断名によって教育や指導のあり方が決まるのではない
ということです。
医学的な診断を性急に求めるのではなく、一人ひとりの教育的ニーズを的確に把握し、
必要な支援を考えていくことが大切です。

LD、AD/HD、高機能自閉症の状態像
AD/HD
L D
高機能
自閉症
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3−1 校内で協力して指導にあたった事例
(小1ハルミさんの場合)
3−2 家庭との協力関係を築き、指導にあたった事例
(小3ナツオさんの場合)
3−3 不登校ぎみになった児童の事例
(小5イチロウさんの場合)
3−4 「みんなで支援」を目指したクラスづくりをした事例
(中1フユコさんの場合)
3−5 外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例
(中2ゴロウさんの場合)
3 LD、AD/HD、高機能自閉症への対応の事例

様々な支援を必要とする児童・生徒への対応は、担任の気づきや悩みを起点として
始まります。
ここでは、LD、AD/HD、高機能自閉症等と思われる特別な支援を必要とする児
童・生徒への指導事例を取り上げました。
なお、事例として示された内容は、多くの指導事例をもとに再構成したものです。






























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17
3−1 校内で協力して指導にあたった事例















(1)校内事例検討会の開催
児童指導部が主催する事例検討会を通じて対応の手立てを探ることにしました。
事例検討会では、チームシート(図1)を用いながら具体的な方針とその内容を得ることがで
きました。








ハルミさんは小学校1年生。幼稚園のときにAD/HD、LDという診断を受けました。
小学校入学後、環境の急な変化もあり、学校生活のなかで混乱した状況が次々と現れました。
担任のスズキ先生は、幼稚園の先生とも連絡を取り合い、特性の理解と、より適切な対応を図
るために努力しました。
スズキ先生は、保護者の願いにもこたえようと熱心に対応しましたが、1年生の学級経営の
大変さもあり、保護者の求めや期待に十分に応じることができませんでした。保護者は不満を
増していき、担任と保護者との関係も円滑さを欠いてきました。
支援方針
@ ハルミさんを支える関係機関(医療機関等)と連携し、特性を客観的に把握する。(教頭が
窓口)
A 特性に応じた具体的な対応を探る。(担任と特殊学級担当)
LD児の認知特性、AD/HD児の行動特性
B 保護者との関係の修復を図る。まずは、教頭が教育相談を行う。(担任と教頭とが連絡を密
に取り合う。)
C AD/HDやLDについて、校内研修会を開き、全職員で学びあう。(市教委と連携)
D 定期的な授業公開(学級公開)と事例検討会を実施する。
授業を見合うことで、全職員が児童の特性を理解する。
チームで教育的支援を考えるという視点をもつ。(児童指導部)

POINT!
事例検討会では、今後の方針とともに「誰が、何をする
のか」という役割分担など具体的な見通しを持つとよいで
しょう。
がっこうって、たのしいな。でも、よ
うちえんとちがって、たくさんのおとも
だちがいるし・・・おへやもたくさんあ
るし・・・こまっちゃうな。
「AD/HDやLDについて、もっと勉強しなくては・・」
とあせってしまう。本を読んだり、研修会に参加した
りして知識としては理解できるようになったけれど、
ハルミさんには、どのように対応したらよいのだろう
か・・・
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図1:事例検討会で用いたチームシート

【石隈・田村式援助チームシート自由版】
実施日:平成15年7月10日(第1回) 次回予定:平成15年9月3日(第2回)
出席者名:校長、教頭、担任、1年担任、児童指導部、特殊学級担当、養護教諭
苦戦していること:学習が困難(特に読み・書き)、すぐにかっとなって友だちとトラブルになる。
児童・生徒氏名
ハルミさん
担任氏名 スズキ
学習面
(学習状況、学習スタイル、学
力など)
心理・社会面
(情緒面、ストレス対処スタイ
ル、人間関係など)
進路面
(得意なことや趣味、将来の夢
や計画、進路希望など)
健康面
(健康状況、身体面の様子など)
(A)
いいところ

子どもの自助資源
・大きな声で発表する。
E%^"(R)i"S-_j"3/4^O 'A'
'eB
・算数のプリントに熱心
に取り組む。
・手伝いをすすんでする。
E%1Sy''(R)''+-'AE' D'< E'c'e'c'e'E l'AE'ae'~b
'.B
・歌と水泳が得意。
・魚に詳しい。
・係の仕事をはりきって
行う。
・体力がある。
・健康である。
・外遊びが好き。
・スイミングクラブに通
'A'A'c'e B
(B)
気になるところ

援助が必要なところ
・国語の授業で集中しな
い。
・平仮名の読み書きが定
着していない。
・失敗すると、その後の
混乱が激しい。
・そわそわする。
・泣くことが多い。
・けがが多い。
・上履きの左右を間違え
'A"]'O'+-'AE''1/2'cB
・机の中が雑然としてい
'eB












(C)
してみたこと

今まで行った、あるい
は今行っている援助
と、その結果
・授業中、声かけを多くし
たところ、表情が和らぐ
'AE'<<'''A'1/2i'S"CjB
E ''1/2'AE'+-'eA'>>'IOEa fn
f 'ae''E'E'A'1/2iZ'. jB
E- 'u'1/2'AE'<<'E''(C)
''1/2'AE'+-'e '1/2i'S"CjB
・集中していないときにプ
fSf"fg'"z'ei 'n'3/4'AE'+-'eA'>>'IOEaA'N
W''A'<<'1/2i'S"CjB
・朝礼のときに、校歌が
上手に歌えているとほ
めた(教頭)。
・魚の図鑑を一緒に見た。
U'u' A'<< '<<'AE<>
'E'A'c'AOEe'A'A'c'1/2
i-{OEi<3-@jB
・机を整理するように声
''(C)''1/2' %u'P'3'e'E
'ci'S"CjB
・靴の左右を注意して履
''ae''E ''u'1/2B 'A''A -s''e'AE'<<' '
'|'1/2i'S"CjB





(D)
この時点での
目標と援助方

・学習面の苦手意識を少なくする。
・関係機関(医療機関、相談機関等)と連携し、特性を客観的に把握し適切な対応を図る。
・保護者との関係を修復する。
・全職員がAD/HDやLDの特性や対応について学ぶ。
・定期的に授業公開(学級公開)と事例検討会を実施し、みんなでハルミさんや担任を支える。
(E)
これからの援
助で何を行う

@学習へ取り組もうとす
'e 'EA'>>'I'+-'AE''U''e B
A"3/4^O'E'+-'AE'Zu^I'IZO'
"F''e'+-'AE'A -{l 'EftfB
[fhfofbfN '.'ei"S-_"TMjB
B-{ZTM'I"A<<'E''A'1/2"C
'YE''<<'IZw"+-*u-@'E
'A'c'AOEY"c'.'e B
C算数のプリントへの取
'e'g'Y' -{ZTM'E'i'(C)'e
'ae''E*]%?'.'eB
D他児の前で発表する機
%i'-^'|'eB
E関係機関から本児の特性
と対応のアドバイスを得る。
F> 'A'<<'e
'ae''ESO'i'e B
G手伝いを意識的に頼
み、引き受けてくれた
らほめる。
H混乱したときは、落ち
着いてから本人の気持
ちを聴く。
I魚の図鑑を一緒に見
る。
Jプール指導のときに、
本児が活躍する場面を
つくる。
K上履きの左右の違いが
はっきりするように工
夫する。
L机を整理する日を設け
る(クラス全員が行う
日として設定する。:例
「毎週金曜日の帰りの
会で行う」)
MAD/HDやLDの校
内研修会を開く。
N授業公開日
(F)
誰が行うか
@ 担任
A 全職員
B 担任、特殊学級担当
C 担任
D 担任、学年
E 教頭、担任
F担任、学年
G担任、校長、教頭
H担任、学年
I担任、養護教諭
J担任、学年
K担任が保護者へ依頼す
る。
L担任
M児童指導部
N教頭







(G)
いつからいつ
まで行うか
@AC次回の事例検討会
まで。
BE7月中
D学年集会等
FGH次回の事例検討会
まで。
I次回の事例検討会ま
で。
Jプール指導のとき。
K7月中に依頼する。
L毎週金曜日
MN2学期

参照:石隈利紀・田村節子共著『石隈・田村式援助シートによるチーム援助入門―学校心理学・実践編―』図書文化社
石隈利紀著:『学校心理学―教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス』誠信書房
(C)Ishikuma&Tamura 1997-2003

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(2)特性に応じた支援(特殊学級担当との協力)
医療機関や相談機関と連携することにより、特性に応じた指導の手がかりを得ることができま
した。そこで、特殊学級担当と協力して、具体的な支援内容を考えました。


(3)保護者との連携
定期的な面談を行うとともに、保護者から相談があったときには、直接会って話をするよう
に心がけました。そして、保護者の努力や不安に共感しながら、学校での様子を肯定的に、問
題解決の観点で伝えるようにしました。その際、電話や連絡帳を活用しました。

(4)校内支援体制
担任一人に負担がかかり過ぎぬように、学校全体の支援体制を考えることになりました。


(5)スズキ先生の振り返り
ハルミさんの理解や関係をつくることに時間がかかった。さらに保護者との信頼
関係を築けなかった辛い時期もあった。しかし、ハルミさんの学習成果が現れ、学
校生活で生じる様々な課題が減っていくなかで、保護者との信頼関係と連携が深ま
ったことを実感した。
ハルミさんと出会ったときは、まずは、無我夢中で手当たり次第に専門書を読ん
だり、専門家の講演を伺ったりした。そのことから、一般的な知識を積み重ねることができた。
また、直接ハルミさんにかかわっている専門家の話は具体的で指導に大変役立った。医療機関や
専門機関との連携は担任の指導に自信や勇気を得ることができ、連携の重要さを感じた。
1年生の担任は、1学期、学級の児童一人ひとりに気を配らなければならない。学校全体の支
援体制や担任をフォローするシステムがありがたかった。
スズキ先生が試みたこと
・担任が、個別の配慮を行いやすいように座席を最前列にする。
・注意を促してから、声をかけたり、ワークシートを用意したりするなど、教材や指導方法を
工夫する。
・ハルミさんの心に寄り添い、可能な限り衝突する場面を避ける対応を心がけ、よい関係つく
りを工夫する。
・学級の児童に理解と協力を促し、友だちとの自然なかかわりのなかで、学校生活での行動を
スムーズに導く。
・行動をうまく切り替えるようになったり、課題に集中して取り組んだり、友だちとかかわっ
たり、よい発言ができたりしたときは具体的にほめる。
・連絡帳を工夫し、ハルミさんが“あしたのこと”をメモする習慣を形成する。
具体的に動く!
・ハルミさんへの理解と適切な対応については、校内研修会や授業公開(学級公開)、チー
ムによる事例検討会を通して、全職員の共通の課題であるという認識を促す。
・授業公開では、参観者は、『ハルミさんのよくできていることや担任との関係性で、よい
点や課題と考えられる点を探る』という視点で参観する。
・事例検討会では、『子どもが持っているリソース(よくできていることや長所)をどのよ
うに生かすか』という視点で、具体的な対応を検討する。
・教室以外で一人でいるのを見かけたときは、全職員で声をかけ合う。
・混乱した状況が生じた際に<誰がどのように動くのか>等、役割分担を明示したマニュア
ルをつくる。

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3−2 家庭との協力関係を築き、指導にあたった事例




















(1)悩みを同僚に相談
そこで、ヤマダ先生は隣のクラスの担任、カワグチ先生にナツオさんのことを相談しました。
カワグチ先生は、以前ナツオさんと似たタイプの児童を担当していました。
学年合同の授業や行事などをとおして、カワグチ先生もナツオさんのことで、気になっていた
ことを話してくれました。ナツオさんは、カワグチ先生の授業の時にも、学習に取り組まず、自
分の好きなことをして過ごすことがあるようでした。また、急に席を立ったり、離れたり、教室
から出て行ってしまうこともあり、時には、思いがかなわないと、大きな声で泣き出すこともあ
ったそうです。









カワグチ先生に話せてよかった。
聞いてもらって少しほっとした。私
だけが、感じているだけじゃなかっ
たんだ。保護者と連絡を取り合い、
家庭での様子を聞いてみよう。
ヤマダ先生は、ナツオさんが小学校3年生の時、出会いました。
「先生、おはようございます。」と、大きな声であいさつをしてくれます。ヤマダ先生が「おは
よう、ナツオさん」と、返事をするかしないかのうちに、ナツオさんは廊下を一気に走り教室
へ入っていってしまいます。
体育の授業ですが、ナツオさんが体育館に来ません。しばらくして、遅れてやってきたナツ
オさんに「ナツオさん、また遅れたね。」と、他児が声をかけました。すると、ナツオさんはカ
ッとなり、思わずその子を叩いてしまいました。ヤマダ先生も遅れてきたナツオさんに「どこ
で遊んできたの!」と、声を荒げてしまいました。

ナツオさん、体育館での先生の声は大きかっ
たよね。ごめんね。でも、先生、わからないん
だ。なぜ、教室から出て行ってしまうの?どう
して友だちとケンカになってしまうの?
先生の話、わかりにくいのかな?教え方が悪
いのかな?
POINT!
指導上の悩みを相談できる人材が校内にい
ることは心強いものです。また、「on the
seat meeting」(設定された会議)に対し
て、「on the fly meeting」(立ち話的な
情報交換)からヒントが生まれることも多い
ようです。
体操着をどこにしまっておいたのか分からな
くなっちゃったんだ。急いで着替えたら、次に、
どこに行ったらいいのか分からなくなっちゃっ
たんだ。先生は、確か「〇〇かん」って言って
たような・・・。よく聞こえなかったんだ・・・。
また、叱られちゃった・・
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21
一学期末の個人面談で、学校での様子を保護者に伝えました。しかし、保護者は「学校での先
生のかかわり方や教育環境などに配慮が足りないために問題があるのではないか。家庭では特に
変わった様子が見られない。」という考えだったために、保護者とともに具体的な対応策を考える
までには至りませんでした。また、外部の相談機関も紹介してみましたが、「その必要はない。も
う少し様子を見たい。家でも、片付けや友達とのかかわり方などを教えていく。」ということでし
た。








(2)対応の工夫


お母さんへの伝え方が一方通行だったかな?
学校での問題となった行動に話が集中してしま
った。カワグチ先生とも相談して、対応策を考え
て実行してみよう。まずは、ナツオさんを理解す
るところからはじめよう!
・ 持ち物を整理する方法を具体的に教える。(置き場所を書いたメモを机にかけておき、いつでも確かめ
ることができるようにする。)例:体操着=ロッカー、はさみ=道具箱
・ 指示の出し方を工夫する。全体への指示の後、個別にも伝える。また、黒板に書くことにより、見てわ
かるようにする。
<例>全体への指示=「着替えたら、体育館に行きましょう。」
個別に指示=「ナツオさん、体育館に行きましょう。」
板書=「体育館」
・ よい行動がみられたときやよい行動をとろうとしているときに、ほめる。言葉の他に、「○(マル)」と
いうジェスチャーを用いて伝える。「あなたに話しているのです。」と、分かるように伝える。
・ 自分の感情を意識したり、ことばで表現したりする方法を教える。また、担任の気持ちもことばで表現
して伝える。 →図2「心のことばカード」
→図3「心の温度計」(感情の高まりを数値化する)
1度=ちょっとイライラ
2度=イライラ・イライラ
3度=爆発しそう
・ 授業中のルールを授業が始まる前に確認する。授業終了時に、頑張っていたことやできたことを評価し、
ほめる。
<例>ナツオさんのルール
疲れたときは、自分の席で本を読んだり絵を描いたりしてもよい。
砂時計で、5分計る。
5分たったら、また授業に戻る。
・ 友だちとの付き合い方や学校生活でのルールを分かりやすく話し、また、カードにしておく。
<例>「歩くときは、手を空っぽにします。」
「授業中、後ろの人と話しません。」
「友達のものを借りるときは、「かしてちょうだい。」と言います。」
・ 担任との約束を3項目にしぼり、『できたかなカード』(図4)に記入する。放課後、シールを貼りなが
ら一日の振り返りをする。成功体験を積み重ね、自己成就感を高めるねらいがあるため、「約束」とし
て掲げる内容は、ナツオさんがほぼ成功するであろう内容にする。
・ 学級の中で、ナツオさんが得意なところや長所を発揮できる場を用意していく。
<例>ナツオさんは、声がよく通るので運動会での応援団になるといいなあ・・・
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22
図2「心のことばカード」



















図3「心の温度計」





























こころ
の温度計
おんどけい

3 ばくはつしそう!
2 イライラ・イライラ
1 ちょっとイライラ

ナツオさんの心のことばカード
・ お母さんにしかられたとき=かなしい
・ たいそうぎがみつからないとき=こまる
・ おなかがすいたとき=給食が楽しみだ
・ 音楽でふえをふくとき=むずかしいな
・ 友だちと遊べなくなったとき=ざんねん
ヤマダ先生の心のことばカード
・ チョークがないとき=こまる
・ おなかがすいたとき=給食がたのしみだ
・ なわとびの二重とび=むずかしいな
・ ナツオさんがいないとき=しんぱい
・ みんなが遊んでいるとき=うれしい
お母さんの心のことばカード
・ ナツオが、かたたたきしてくれたとき
=うれしい
・ 雨がふってせんたく物がほせないとき
=こまる
・ ナツオのかえりがおそいとき=しんぱい
( )さんの心のことばカード
・ ナツオさんと遊ぶやくそくをしたとき
=( )
E 'i'.'e'a'I''u'1/2'AE'<< i j
E ''E'(C)''.'c'1/2'AE'< E i j'AE'<< '(C)'E'u'c

こころ
の温度計
おんどけい

はかってみよう。

いま
の温度
おんど

( )度


コラム〜自分をほめること〜
何年か前のオリンピックでの女子マラソン競技でのこと、「自分をほめてあげたい」というコメントが話題に
なりました。私たちも、日常生活の中でこのような思いを意識的・無意識的に抱いています。「誰が何と言おう
と、私は私をすごいと思う。」このように思うことで、セルフ・エフィカシー(自己効力感)を高めているので
す。
しかし、LDやAD/HD、高機能自閉症等の子どもたちは、「自分をほめる」ことが苦手な場合が多い。これ
は、失敗体験を繰り返すことで自信をなくし、「どうせ、わたしなんて・・・」という思いが強くなるからです。
たとえ、成功しても、それを「すごい。たいしたもんだ。やればできるんだ。」等のことばで言い換えることが
できにくくなっているのでしょう。だから、他者から「ほめるられること」が必要なのです。
--26/75--

23
図4「できたかなカード」





できたかなカード(シールをはろう!)
なまえ ナ ツ オ
6月 7日 水 よう日
やくそく ぼくは思うよ 先生は思うよ
歩くときは、手をからっぽにします。

でき

がんば
った
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n
授業中、うしろの人と話しません。

でき

がんば
った
できな
かっ
できて
いた
がんば
ったね
''n'E
'n
友達のものをかりるときは、「かして
ちょうだい」と言います。

でき

がんば
った
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n
<きょうのやくそくを書こう>
先生にれんらくちょうをもっていく。
でき

がんば
った
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n



できたかなカード(シールをはろう!)
なまえ ナ ツ オ
月 日 よう日

やくそく ぼくは思うよ おかあさんは思うよ
朝、しんぶんをとりに行く。

できた ''n'I
'A'1/2
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n
公園まで、ポチのさんぽに行く。

できた ''n'I
'A'1/2
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n
れんらくちょうをお母さんにわた
す。

できた ''n'I
'A'1/2
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n
<きょうのやくそくを書こう>
アイスは、1つだけ。
できた ''n'I
'A'1/2
できな
かった
'A'<<'A
'c'1/2
がんば
ったね
''n'E
'n


--27/75--

--27/75--

--27/75--

24
(3)保護者との連携を図る努力
4年生に進級し、5月下旬の家庭訪問で学校での様子を伝えました。保護者は、学校での対応
について理解をしてくださり、連絡ファイルのやり取りが始まりました。













(4)ヤマダ先生の振り返り
「ナツオさんは、がんばっていてすごい。」「ナツオさんは、サッカーが得
意だね。」など、学級の児童がナツオさんのがんばりや行動の変化に関心を寄
せるようになった。そして、それが、学級全体の喜びや向上につながってい
ることが実感できた。また、ナツオさんにとっても、友だちに認めてもらっ
たり励ましてもらったりすることが次の行動への意欲となった。担任として、
ナツオさんが精神的に安定し、学級の他の子どもたちとかかわりを持つこと
が多くなったことが何よりもうれしい。
保護者との連携を考えるにあたっては、まず、自分がナツオさんどんなことをして、どうだっ
たのかを話すようにした。徐々に、保護者から心配なことを相談されるようになった。また、学
校でできなかったことは家庭で補ってもらうこともできるようになった。保護者の学校への理解
と協力が、自分自身にとっての安心感につながった。




















ヤマダ先生が家庭訪問で伝えたこと
・ 自分がどのように対応し、その結果、どう変化
したのか。
・ 家庭でも学校の様子を知ってもらい、お母さん
からもナツオさんをほめて欲しいこと。
・ 学校と家庭が連絡を取り合い、ナツオさんのこ
とを学校と家庭で同じ視点で考えたい。そのた
めに、連絡ファイルを使わせてもらいたい。
ヤマダ先生が伝えるときに心がけたこと
・ 相手の話に耳を傾けて聴く。
・ よりよい方法を保護者と共に考えてい
きたいというメッセージを伝える。問題
を提示するのではなく、解決するために
何ができるかを考えたい。
・ 学校での様子を伝えるときには、「よ
い」「悪い」という判断を伝えるのでは
なく、その状況を説明する。
コラム〜ごほうび〜
登山をする人の多くは、「頂上を極めたときの充実感を得たいがために山に登る。」と言います。だから、
登る苦しさを感じながらも、この後に訪れる『すばらしい光景』という自分に与えられるであろう『ごほう
び』を想像することで、「今を乗り越える」ことができるのでしょう。
私たちは、行動を起こす時、このように、これから先の状況を予測して、そのためには、これからどのよ
うに行動すべきかを考えています。
望ましい行動の生起を高める手続きの一つに、強化刺激を与えるという方法があります。学校における教
授方法でもこの手法を取り入れている場合がありますね。「いいね。」「よくやった。」「がんばったね。」「残
念!でも、まだ大丈夫。」など、ことばでの称賛もその一つです。また、ナツオさんの「できたかなカード」
のように、先生にシールをはってもらえるという強化刺激(ごほうび)もあります。
「先生と同じ空間を共有し、自分を認めてもらえ、ごほうびがもらえる」だから、先生との約束を守ろう
という行動が生じるのです。同時に、ナツオさんにとっては「ぼくも、やればできるんだ!」という自己有
能感が育まれます。そして、最終目標は、ごほうびなしでも行動できるようになること。ヤマダ先生の願い
でもあります。


--28/75--

25
3−3 不登校ぎみになった児童の事例














(1)校内委員会での話し合い
前担任とも相談し、登校を渋っているという状況は、「学習のしにくさ」に関係しているのでは
ないかという仮説を立てました。
今年度から、支援が必要と思われる児童についての校内委員会が設置されたので、委員会でイ
チロウさんについて話し合うことになりました。
校内委員会では「学習面で気になるところがある。さらに、専門機関と連携を図りイチロウさ
んの特性を理解して対応を考えたい。」との結論に至りました。保護者の理解も得て、専門機関で
相談することになりました。









イチロウさんは、小学校5年生。6月から、学校を時々休むようになりました。前担任
からの引継ぎによると、「社会性があり、行動面でもまじめで落ち着いている子である。た
だ、学習面で教科による得意・不得意の差が大きい。会話での理解力・表現力はあるが、
書くことが苦手である。算数では、知識としては理解しているが、筆算では、位取りで間
違いが多い。図形の課題も苦手。」ということでした。
欠席が続いたアキヤマ先生は、家庭訪問をしました。保護者は「5年生になって、ます
ます書かなくなった。宿題はやるが、時間がかかり、全部終わらない。イライラしている。
友だちと遊ぶことが少なくなった。どうしたらよいのでしょうか?」と悩みを話してくれ
た。
イチロウさんは学習場面で困って
いるようだが・・。今、自分ができる
ことは何だろう?

わーっ
どうしたらいいんだろう。
わからないよー。
やっても やっても おわらない。たすけてー!
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26

(2)特性を把握する















































専門機関からのコメント
・ WISC−Vを実施した。視覚系の形の捉え方に困難さがある。処理速度が低い。こ
とばの理解・記憶は得意分野である。
・ K−ABCでは、同時処理に比べて継次処理が得意であるという結果である。
・ 手先が不器用である。作業課題では、十分な時間を確保することが必要であろう。
・ プリント課題に集中して取り組む。書くことは、苦手だが意欲はある。時間を要する
課題内容や量では、集中時間が短くなる。課題の量を少なくし、できたことを認める
ことが次の意欲につながる。
・苦手であることを本人が意識している。得意な活動を活用し、自信を持たせる必要が
ある。
POINT!
WISC−V
やK−ABC
は心理検査で
す。専門機関か
ら検査の報告
を受けるとき
は、具体的な対
応も含めて話
を聞きましょ
う。
コラム〜学習スタイルを把握する〜

私たちは、一人ひとり「理解しやすい方法」を持ちながら生活しています。聞いて理解するより、見て
理解するタイプであったり、書きながら記憶するタイプであったりというように自分の学ぶスタイルを身
につけて臨機応変に使い分けています。児童・生徒にとっても学びのスタイルは、個々に違いがあります。
この学習のスタイルを把握することは、児童・生徒の特性を理解し、対応を考えるうえで有効です。
WISC−VやK―ABCなどの心理検査は、この学習スタイルを把握するために有効なアセスメント
です。
日本版WISC−V・・・5歳から16歳の子どもを対象とした知能検査。13の下位検査があり、言語性
尺度(言語での質問に言語で答える課題)と動作性尺度(カードや積み木など具体的なものを操作して答
える非言語的な課題)に分けられています。
日本版K―ABC・・・2歳6ヶ月から12歳11ヶ月までの子どもを対象とした知能検査。主な特徴は、
知能と習得度を分けて測定することと、知能を「継次処理と同時処理」の情報処理のプロセスとして測定
することです。継次処理とは、情報を一つずつ順番に処理していく方式であり、同時処理とは、情報を空
間的に全体としてまとめて処理する方式です。
参考文献:石隈・田村式援助シートによるチーム援助入門―学校心理学・実践編―
2003 石隈利紀・田村節子 図書文化社
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27
(3)イチロウさんの悩み
アキヤマ先生は、学校行事で登校したイチロウさんと話をする機会をつくりました。イチロウ
さんは、はじめは口が重かったのですが、次第に、困っていることを話してくれました。「学校を
休んだきっかけは、今から考えれば、宿題が終わらなかったこと。5年生になり、勉強が難しく
なったし、字がうまく書けないし、書くのも遅い。」
アキヤマ先生は、話をしてくれたイチロウさんをねぎらい、「イチロウさんは、書くことが苦手
だったんだね。宿題が多かったね。これから先生と一緒に考えていこう。」と伝えました。
専門機関でのコメントとイチロウさん自身が感じている困り感を受け、校内でどのような支援
ができるのかを校内委員会で話し合いました。イチロウさんには、学習支援が必要であるという
ことになり、担任が学級で取り組むことと、校内体制として取り組むことなどを、具体的に探っ
てみました。



(4)担任が学級で取り組むこと













(5)校内体制として取り組むこと
学級で取り組む以外に、校内体制として取り組むこととしては、ティーム・ティーチングの活
用、校内に設置されている通級指導教室の担当者や養護教諭との連携が考え出されました。ひと
まず、学級での取り組みを、全校でバックアップするという「担任を支える校内体制」をとるこ
とにしました。


(6)アキヤマ先生の振り返り
イチロウさんが突然学校を休んだときは、どうしようかと悩んだ。
そんなとき、前担任の情報や校内委員会が心強かった。不登校には、
さまざまな背景があると考えられているが、イチロウさんのように「学
習のしにくさ」から苦戦している子もいるんだなあ。
イチロウさんは、これからも自分の特性を意識しながら生活してい
くが、教師が生活しやすくするための方法やヒントを与えてあげられ
たらいいなあ。それによって、いわゆる二次的な情緒的問題を防いで
あげることが必要。





・ 文字や形の認知が困難なので、ことばによる補足説明や個別に指で形を書いて指示する。
社会の地図学習、算数の図形、音楽のリコーダーの指使い等でも同様に行う。
・ 与える課題の量を考慮する。
・ 作文等、長い文章で表現するときには、鉛筆で書く以外の方法を選択できるようにする。
例:考えたことを録音してから書く。ワープロを使用する。
・ 話すこと、聞くこと等の得意分野を活用する。学級会の司会や発表会等で活躍できるよ
うにし、自信を高める。
・ 定期的に相談の時間を設ける。
・ 『必要な支援を必要な子へ』のスタンスで他児にも接する。
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3−4 「みんなで支援」を目指したクラスづくりをした事例














(1)家庭訪問
イトウ先生は、家庭訪問で情報交換をしました。
乳幼児期にことばの発達が遅いことで療育機関に通っていた経緯が
あり、自閉的傾向があるという見立てを受けたようでした。その後、幼
稚園や小学校時代には、担任と保護者が連絡を取り合うことで混乱した
状況を乗り越えて行ったということでした。また、5年生のころには、
身体的ないじめを受けていたこともわかりました。


(2)教育相談
6月の教育相談週間に、イトウ先生は、フユコさんと話をしました。
フユコさんによると、入学して間もなく、同じクラスの生徒から、言葉でのからかいを受けた
ことがあり、そのとき、ふと小学校のときいじめられたことを思い出してしまったということで
した。
そこで、からかいについては、先生から注意をすること、また、心配なことがあればいつでも
話をして欲しいと伝えました。
もうひとつ、フユコさんが悩んでいたことは、「自分は他の人と少し違う感じがする。」という
ことでした。イトウ先生は、人は一人ひとり違った個性をもっているのだということを伝えまし
た。また、「フユコさんは、絵が得意ね。」「独特の色使いやダイナミックな構図が素敵だと思う
わ。」と、意識的に担任の思いを伝えました。
しかし、フユコさんの自己評価は低いものでした。「絵なんかうまくても何の役にもたたない。」
「学校では自分は何もできない。」と大きな声で言い、苦手なことや嫌いなことは初めから避ける
傾向がみられました。

フユコさんは、中学校1年生。丸暗記的な内容の学習はできるのですが、グループ学習の場
では他児と一緒に活動ができなかったり独特な話し方をしたりします。5月のある朝、担任に
本人から「今日から学校を休みます。」という電話がありました。驚いたイトウ先生は、早速
保護者と連絡をとったところ、本人が学校に行かないと言い出し、家族もどうしてかわからず
困っているということでした。学級の生徒にフユコさんのことで思いあたることがないか尋ね
てみました。周囲の生徒はフユコさんの印象を“ちょっと変わった子”と捉えているようでし
た。特に、中学校で初めてフユコさんに出会った生徒の中には、からかいの対象にしている者
もいるということがわかりました。

POINT!
過去の不快な体験が、
あることをきっかけとし
て、突然、フラッシュバ
ックして混乱することも
あります。
学級のみんなが一人ひ
とりを思いやる、そんな
学級をつくりたいな。 わたしって、なんか
みんなと違うような
気がする。みんなが私
の遠くにいる。なぜ?
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--32/75--

29
フユコさんに自信をつけさせて
あげたいな。
クラス全体で、フユコさんを支え
るという気持ちをつくりたいな。

(3)クラスを人間関係づくりの基本とする取り組み
イトウ先生は、研修講座で学んだ「構成的グループエンカウンター」をクラスづくりに用いよ
うと考えました。
具体的には、毎日のホームルームでは短い時間で行えるショートエクササイズを継続して行い、
道徳や総合的な学習の時間、学校行事、進路学習等においては、学級の子どもたちの実態や学級
集団の状態に応じて計画的に取り組んでみました。








































POINT!
構成的グループエンカウンターの目的は、自他理解と
人間関係づくりです。
自己開示や自己主張し、感じたことや気づいたことを
振り返ることで、みんなで分かち合う力が培われます。
ホームルームでのショートエクササイズ(例)
「あいこじゃんけん」
ねらい:気持ちを合わせる難しさと心地よさを体験する。また、教師との心理的な距離を縮める。
内 容:教師の目を見て気持ちを合わせる。「グー、チョキ、パー」の中から教師と同じものを出す。これ
を3回繰り返す。隣の人とペアになり、同様に行う。
参考図書:『エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集』國分康孝監修 図書文化
学期末に実施したエクササイズ(例)
「もう一つの通知票」
ねらい: 自分やクラスメートが成長したことや、努力していることに気づき、自分で自分をほめたり、他者
のよいところを認めたりする大切さを知る。また、クラスの中で自分は認められている存在であり、
一人ひとりが大切な仲間であることを認識し合う。
内 容: 生徒一人ひとりが、クラスメートが成長したり努力していると感じていることをカードに記入する。
教師がひとまずカードを回収し、「もう一つの通知票」にクラスメートからのメッセージとしてカー
ドを貼っていく。
なお、カードの記入にあたって、次のような内容を生徒に伝える。『あなたのいいところ、あなた
の得意なところを見つけていきましょう。百点満点の人なんかいません。本当の自分をみつめて、あ
なたがあなた自身の一番いい友だちになってあげてください。マイナス点がついてしまったら、本当
の自分と仲良く解決していきましょうね。そして、あなたのまわりの人に優しい気持ちでかかわって
いきましょう。』
参考図書:『エンカウンターで学校を創る 心を育てる学校ぐるみの実践集』國分康孝監修 図書文化
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(4)フユコさんへの個別の支援
相手の思いや考え、ルー
ルを具体的に言葉で説明
・ 絵が描けることは素晴らしいことで、大切な特技です。
・ 一人ひとりはみんな違うので、得意なことや苦手なことも違ってよ
いのです。
・ フユコさんが、周囲の友だちをうらやましいと思うのと同じよう
に、絵が苦手な人はフユコさんをうらやましいと思っている。
・ 〇〇分になってチャイムが鳴ったら作品を見せてください。

具体的に心をこめてほめ

・ ここの線がとってもよい。
・ 色の使い方がすばらしい。
得意な分野を学級の活動
の中に取り入れて、クラ
スの中で役割が果たせる
場を設定
・ クラスの掲示物のイラストを描く。
・ 学級通信のイラストを描く。
・ 文化祭の学級展示物のイラストを描く。
・ 学級の旗作りの下絵を描く。そして、色はフユコさんの指示によっ
て他の生徒たちが塗っていく。

(5)イトウ先生の振り返り
中学時代は、思春期の真っただ中で、自己をみつめ他者と自分の違いを意識し始めます。フユ
コさんは、自分はどこか違うということで悩みました。フユコさんには、教育相談という視点で
本人の不安や悩みをしっかり聴くことが必要だと感じました。また、みんなでみんなを支えあう
クラスづくりを目指すことで、他児がフユコさんを理解することにつながったように感じました。



























コラム〜フラッシュバック〜

flash back 「カット・バックの一種。映画で、物語の進行中に過去の出来事を挿入すること。回想
を表現するための技法。(広辞苑)」と、あります。また、突然、昔の出来事を思い出して、つい先ほど
のことのように扱う現象を「タイムスリップ現象」と、いわれています。
タイムスリップ現象では、時間の前後は無視して、現在、生じている現象とよく似た過去のある時点
の感情的な場面のフラッシュバックが生じます。そして、あたかも過去のその場面が、今まさに蘇り、
感情的には再体験されてしまいます。
自閉症の記憶は、その多くが、ことばより映像として脳にしまわれているといわれます。過去の記憶
が、似たような場面で強く引き出されることがあると考えられます。
(心的)外傷後ストレス障害(PTSD)のひとつの症状としても、フラッシュバックがとりあげられて
います。

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3−5 外部機関と連携を図り、特性に応じた支援を行った事例




















(1)保護者面談
保護者に学校で混乱したときの様子を伝えることで、家庭でもしばしば同じようなことが見ら
れることが分かりました。幼児期には、言葉の発達が遅いために療育機関に通っていたことやそ
こで自閉症的な症状が見られるといわれたことがあったようです。小学校へ入学してからは、集
団活動が苦手でしたが、学習面では心配なことはなかったようです。
サトウ先生は、ゴロウさんの特性を理解し、学校での対応の方法を考えたいと保護者に伝えま
した。保護者は、そのことを了解してくれました。その後、就学前に通っていた療育機関へ保護
者が連絡をし、次のようなアドバイスが得られました。

中学校2年生の2学期から転校してきたゴロウさんは、言葉遣いが丁寧で、学級の生
徒にも丁寧語で話します。学校は休まず、毎日登校し、係の仕事などの役割はしっかり
と果たしている生徒です。授業中、小さい声だが独り言が多いことや会話を交わすとき
にゴロウさんからの一方通行のような気がすることが、担任のサトウ先生には、気にな
っていました。
10月の全校合唱コンクールを目指して生徒たちが自主的に練習を始めたある日、ま
とめ役の生徒が、職員室の佐藤先生のもとへ走ってやってきました。「サトウ先生!ゴロ
ウさんが…。」
教室では、ゴロウさんが大きな声を出して混乱状態でした。サトウ先生は、ゴロウさ
んに何があったのか尋ねましたが、ますます混乱していくばかりです。とりあえず、ゴ
ロウさんと別の教室へ行き、興奮が治まるまで待ちました。ゴロウさんに状況を聞きま
したが、一向に様子が分かりません。そこで、他の生徒に聞いたところ次のような状況
であったことがわかりました。「練習は4時で終了するはずだったが、4時を回ったとこ
ろで、もう1回だけ歌うことになった。すると突然ゴロウさんが大きな声をあげ、みん
なも混乱してしまった。」
このようにゴロウさんが混乱することが多くなったので、個別面談で保護者と相談す
ることにしました。
予定では4時に終わることになっていた
んだ。4時過ぎたのに、また、伴奏が始ま
ったんだ。「あと、1回で終わりにします。」
と、言ってくれたらわかったのに・・・
混乱してしまうのはな
ぜかしら。混乱して興奮し
ている時にはどう対応し
たらよいのかしら?
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32
対応
・曖昧な表現は避け具体的で簡潔な言葉で教示する。
・口頭での説明の他に、必要に応じて文字や写真等の視覚的な補助教材を使用して説明する。
・筆談形式が言葉によるコミュニケーションより通じやすい。
・活動を開始する前に、文字に書いて、段取りを説明する。
・予定を変更する場合は、早めに予告する。
・ほめるときは、何が良かったのかを具体的に伝える。
・時間がかかる作業に関しては、ワークシートを用いスムーズな行動へと導く。(図5)
・社会生活で必要なスキルを教える。人間関係を築くコツを教える(ソーシャル・スキル・
トレーニング)。
・グループ活動では、時間設定の確認や話し合いのルールを明確にする。
・混乱してしまう「言葉」や「苦手なもの」をリストアップしておき、周囲の人たちに知ら
せておく。
・「ゴロウさんが苦手であるという状況」をリストアップしておき、事前にロールプレイな
どで、その場面での対処法をゴロウさんに教える。
・ いやな気分になったときに自分自身でできる対処法を教える。(ストレスを解消する方法
など)






























特性
・ 知的能力は年齢相応だが、自閉症の特性が見られる。
・ 視覚的な認知力がよい。
・ 多弁だが、話の内容はゴロウさん中心であり、言葉のキャッチボールが苦手である。
・ 比喩や冗談など、言葉の裏にかくされた真意を読みとることが苦手である。
・予定の変更は混乱しやすい。
コラム〜ソーシャル・スキル・トレーニング〜

ソーシャル・スキル・トレーニングとは、社会生活を遂行するために必要なスキルを形成したり修正した
りするための訓練のことをいいます。その中には対人関係にかかわるスキルも含まれ、その内容として、挨
拶・会話の運び方・依頼の仕方・お礼の仕方・人のしぐさの読みとり方・人の話の聞き方・話し方などがあ
げられます。
学校生活をおくる上でも、さまざまなスキルが必要となります。例えば、「授業を受けるとき」を考えてみ
ると、@話し手に注目する A話を聞く B意見を言うときは挙手するなどのメッセージを出す C発言す
る D質問する E適度にうなずく等
トレーニングの一例として次のような内容があります。『@学習するスキルを特定し、Aスキルを学ぶ目的
を理解させ、Bモデルを示し、Cロールプレイで練習し、D観察者がフィードバックし、E実際に使ってみ
る。』
ところで、実際の学校生活では、様々な状況が繰り広げられます。その中で、対人関係を良好に築くため
には、状況の変化に柔軟に対応し、臨機応変にその場に応じたソーシャル・スキル使うことが必要になりま
す。
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33


“身だしなみ”という抽象的な言葉を具体化して書き出し、場面ごとに必要な項目をチェックで
きるようにしました。これを、ファイル式のバインダーに綴じ込み、毎日、担任とチェックする
ようにし、朝、登校前に家庭でもチェックするように保護者にも協力を求めました。

(図5)「身だしなみ スムーズ作戦」


























(2)サトウ先生の振り返り
なんとなく気になっていた生徒だったが、特性が理解できたとき、霧が晴れたようだった。ま
た、専門機関のアドバイスをもとに対応を考えられたことで、更に具体的な支援につながったと
思う。

POINT!
日常生活に必要な身辺動作や人とかかわるときに必要な能力(ソーシャル・スキル)などが、小学校高学年・
中学校になっても身についていないことがあります。「自然に身につく」と考えるのではなく、「具体的に教え
ていく」というスタンスが必要です。
10月 16日(水)

予定の変更 国語・数学なし キャンプの事前学習

場面 チェック項目 終わったら〇
Sc'o'B 〇
歯を磨く。 〇
制服を着る。
(ボタンをとめたか・ネクタイはまっす
ぐか・襟がはみ出していないか)

家を出るまでにするこ

髪の毛をとかす。 〇
ティッシュを机に置く。 ○
食べ終わったら口とテーブルを拭く。 ○
お弁当の時間
弁当箱をカバンにしまう。 ○
脱いだ制服はロッカーにしまう。 体育なし
鏡で体操服が半パンから出ていないかを
見る。

体育がはじまる前
体育館履きを持つ。
脱いだ体操着は袋に入れて、ロッカーに
しまう。
体育なし
鏡を見て襟、ボタン、ネクタイを点検す
る。

体育が終わったら
体育館履きをロッカーに入れる。

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--37/75--

34
4 校内支援体制づくりに向けた取り組み


校内支援体制(関連)図
































学 年
学 校
校内支援体制
校内委員会

特殊学級

通級指導教室
SO*"e-a<@SO
・教育相談センター ・相談機関
・医療機関 ・市町村教育委員会
・盲・ろう・養護学校 ・幼稚園、保育園
・大学、研究機関 等
4−1 学校全体での取り組み
4−8 校内委員会の設置
4−7 学年会・事例
検討会による情報交換
'S|'T 管理職
の役割
4−6 校内研修
会の実施
4−14 特殊学級
との連携
子ども
*UOEiZO 'S "C
Sw <%
4−11 交換
授業の実施
4−9 チーム
による援助
4−13 補習教室
での支援
4−12 少人
数指導の活用
'S|15 'E<%Zw"+-<3Z 'A
'IZw"+-
4−18 支援メニューの充実
4−19 個別教育計画について
4−16 保育園、幼稚園、小・中・
高等学校との連携
4−17 外部専門機関との連携
4−2 通常の学級における配慮と指導
4−3 教育環境の工夫
4−4 保護者
への支援
地域や学校の人的・物的資源をいかし柔軟に体制をつくっていきましょう!
4−10 養護
教諭の役割
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35
4−1 学校全体での取り組み


通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童・生徒に対しては、担任が配慮して
指導することに加え、学校全体の職員で子どもの共通理解を図り、校内での支援体制を工
夫していくことが大切です。そのためには、日頃から全校で取り組めるような校内支援体
制づくりを進めておく必要があります。

通常の学級における配慮
まず、その子どもを観察し、本人の困り感や特性をよく理解し、その特性にあった指導
上の配慮や授業の工夫、教室環境の整備等が必要です。

子どもの共通理解
全職員で子どもの共通理解を図るために、学校全体で研修会を実施したり、学年会や事
例検討会で、複数の職員の観察をもとに情報交換したりすることが大切です。

校内委員会の設置
校長、教頭、養護教諭、教務主任、特殊学級担任、児童・生徒指導担当、各学年代表、
心の相談員、スクールカウンセラー等で校内委員会を設置し、各学年で収集した情報をも
とに、多面的に実態把握をし、対応を検討することが有効です。児童・生徒生活委員会、
事例検討会等がすでにある場合は、それを活用する方法もあります。

学校全体での取り組み
実際の支援にあたっては、職員間での協力・連携により、学校内の人材、時間、場所等
の資源を活用する工夫が大切です。例えば、教科指導や特定の単元におけるティーム・テ
ィーチング指導、学級担任同士による交換授業の実施、習熟度別の少人数指導等がありま
す。特殊学級があれば、その担当者が通常の学級の担任と協力指導を行ったり、個別指導
を行ったり、専門性を生かして助言したりすることも有効です。

コーディネーターの役割
特別な支援を必要とする児童・生徒には、学級担任だけでなく、保護者、学校内の他の
職員、学校外の関係機関等、いろいろな人がかかわることになります。こうした、学校内
の複数の関係者や外部機関、保護者の連絡調整をするキーパーソンとして、コーディネー
ター的役割を担う人材を育成する必要があります。

外部資源の活用
子どもについての理解が困難だったり、なかなか取り組みの効果が得られなかったりす
る場合には、専門機関(総合教育センター、教育研究所、医療機関、養護学校等)へ相談
しましょう。客観的な実態把握や指導方法等についての専門的な助言が得られます。本県
の盲・ろう・養護学校では、それぞれの学校の専門性を生かした地域センターを展開して
います。
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36
4−2 通常の学級における配慮と指導


次のような点に配慮しましょう。

学級の指導の中で
学級は、子どもが生き生きと充実した学校生活を送るために、安心して生活や学習をす
る場であり、お互いが認め合い豊かな人間関係を育む集団の場です。学級づくりにあたっ
ては、子どもたちの個性を尊重し、一人ひとりの存在を認め、共に支え合い、協力し合う
ことの喜びと大切さを実感できるようにすることが大切です。



















授業の中で
指導内容の精選を図り、基礎・基本がしっかり身につくようにしましょう。そのために、
子どもの興味や関心をよく知っておき、学習の内容に応じた指導方法を工夫し、子どもが
主体的に学習に取り組めるようなわかりやすい授業を工夫することが大切です。








子どもの気持ちや個性を受けとめる
・話をよく聞く
・一人ひとりの行動をじっくり見つめる

子どもの自信や存在感を育む
・得意なことを伸ばす
・よいことを積極的にほめる
・学級での役割を持てるようにする
成就感や自己実現を得る機会を作る
・係を任せる
・様々な場で成就感がもてるように内容を工夫する
EZ(C)*'AOE^ ''A AOEoOE+- '.'e <@%i'Y''e
人間関係を育てる
・担任もともに活動し仲間関係を育てる
E'SZe'I-e 'E-'A'Al'|'c'e'e'ae''E'.'e
・協力して物事を取り組む経験をする
単元や活動のねらいの明確化と工夫
・興味や関心が持てるように教材を工夫する
ES^"(R)''I' 'A'<<'e'ae''E A'I'Z^ 'Y''e
'E'CH*v'.'e

子どもの実態に応じた目標の設定
・目標はわかりやすく、少なめにする
・得意な面をさらに伸ばすような目標を設定する
指示の仕方の工夫
・具体的に短く指示する
・視覚的な補助手段を活用する(メモ帳、ワー
fNfV[fgAZzSO"z**\"TMj
・こまめにチェックし励ます

書くときの配慮
・板書はたくさん書かないようにする。また書く
ところを囲ったりする
・ノート類は大きいマス目を使用する
・書きやすいワークシートを作成する
(量・内容・枠の大きさ等に配慮する)

生活のリズムを作る
・バランスのとれた食事がとれるよう保護者の
<|-I'"3/4'e
・できるだけ外で遊ぶ機会を設ける
行動の見通しをもたせる
・その日の予定を確実に伝える
・予定メモを書かせる(書いたものを
もたせる)
--40/75--

37
4−3 教室環境の工夫



様々な工夫

授業に集中できるように教室環境を整えることが大切です。







































持ち物の整理整頓
◎ 棚や箱を用意して整理し
やすいようにする

刺激の調整
◎ 掲示物の配置や備品等の
位置を工夫する

たし算
2+7=9

掲示物

子どもの座席の位置の配慮
◎ 教師のそばが望ましい △窓側を避ける
'Ze-{'AE'E'eZq'C'a'I<''E'.'e
今日の予定ボード
◎ 一日の見通しをつける
ZY'IZzSO'ISm"F''.'e






カバー等
--41/75--

38
4−4 保護者に対する支援


学校と家庭との連携は、とても重要なことです。しかし、スムーズに協力関係を築けな
いこともあります。保護者は長年にわたり、育てにくさのあるお子さんのために悩んだり、
周囲の人たちから誤解されたりしてきた場合があるので、学校から、また悪いことを聞か
されるのかと身構えてしまうこともあります。
保護者は、指導への大切な協力者です。保護者も事例検討会に参加してもらい、学校と
ともに児童・生徒を支援するために知恵と力を出していただきましょう。

保護者の悩みとしては・・
○ 小さい時から育てにくかった。いろいろと子どもに合わせた対応はしてきたつもりだ
ったのですが・・・家庭のトラブルは減ったが、学校での集団生活となると・・・
やっぱり、私たちの育て方が悪かったのでしょうか?
○ 学校から、またトラブル発生の連絡!「家庭でも、注意してください」と先生から連
絡が・・・子どもを叱るものの、学校で何があったのか、その場にいない保護者とし
ては、感情的に叱るしかないのです。
○ 周囲の保護者からの苦情が・・・どうしたらいいのでしょうか?

担任として支援できること
○ 個別面談で学校と家庭の様子を情報交換しましょう。家庭での対応法など、「具体的に
知らせてもらう」というスタンスが大切です。学校からは「困った子」としてではなく、
例えば「人にうまく気持ちを伝えることが難しいために○○さん自身が困っているよう
です。それで家庭と協力して、うまく気持ちを表現できるように援助したいのです。」
のように、教育上の課題として前向きに保護者に伝えましょう。また、ほんのわずかな
変化であってもよい変化があれば、できるのが当たり前と思わず、保護者に伝えましょ
う。
○ 相談を持ちかけられたとき、善意や責任感から「答えを出してあげないといけない」
と焦ってしまいがちですが、すぐに答えを出そうと考えないで、「一緒に考えていきま
しょう」という姿勢が大切です。
○ 学校でのトラブル等を保護者に伝えるときは、学校での対応も伝えるとよいでしょう。
○ 保護者が子育てについて悩んでいるときには、外部の教育相談機関や親の会等への情
報提供も一案です。
○ 保護者懇談会の折に、学級の様子や対応について担任から周囲の保護者に伝えること
で他の保護者からの理解を得ることもあります。AD/HDや高機能自閉症と診断され
ている児童・生徒の保護者が、他の保護者にそのことを伝えたいときには、その事実
を話してもらうことも考えられます。また、担任としてサポートできることを保護者
全員に伝えるとよいでしょう。<診断名だけが先走らない配慮を!>
○ 教師自らの気持ち(願い)を子どもへ伝え、話しやすい関係を作ることが大切です。

学校全体として支援できること
○ 特別な支援を必要とする児童・生徒についてのPTA研修会を開催したり、学校だよ
りの中で紹介したりして、正しい理解・啓発を図ることなども考えられます。
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4−5 校長の役割

特別な支援を必要とする子どもが入学する場合、その子どもの入学後の安全な生活、特
性に応じた学習、健康、進路について、校長として長期的な見通しを持ち、校内体制を作
って対応することが必要です。

学級担任への支援
学級担任は、学習指導や生活指導の場面で個別指導と全体指導を上手に行っていかなけ
ればなりません。学級担任が困っていることはないか、声かけや励ましが必要です。相談
を受けるとともに適切なアドバイスをすることが不可欠です。そのためには特別な支援を
必要とする子どもたちの状態を正確に把握しておくことが必要です。学級担任から話を聞
くだけでなく他の職員からも情報を得るように努めます。また、該当の子どもたちとのふ
れあいも状況把握に有効です。外部機関への相談等も含め、担任を孤立させないように配
慮しながら支援することが大切です。

保護者への支援
保護者の願いや考えを知ることが第一です.そのためには「○○さんにとって、良い方
向を考えましょう」という姿勢を常に持ち、話し合いを重ねます。「学校ではこんなことで
困っています、家庭で何とかしてください」という言い方は避けます。この話し合いには、
学級担任とともに管理職も同席し、保護者の信頼を得ることが肝要です。子どもの良さを
認め、「協力し合いながら育てていきましょう」という学校としての姿勢を伝えることも大
切です。

学校の支援体制作り
特別な教育的ニーズがある児童・生徒のよりよい支援を進めるために、校内委員会を設
けます。
@ 学校として子どもたちの実態を把握することに努めるとともに、一人ひとりのニーズに
応じた個別教育計画(18頁、56頁)を作ることが有効です。また、子どもの状態によ
っては、保護者と話し合い専門機関への相談を勧める必要があるでしょう。
A まず、学年の連携を強化します。学年としてどう指導していくかを明確にします。総合
的な学習の時間や行事等、学年で取り組む場合は協力体制をつくるとともに、学年外の
職員の協力を求めます。保護者との面談は学年職員が同席し、学年全体で育てる姿勢を
示します。
B 必要に応じて、ティームティーチングを組んだり個別指導の職員を加えたりします。そ
のために専科の教員の空き時間と教科の時間を組み合わせた時間割をつくります。
C 専門家(臨床心理士等)を招いた校内研修会を実施するなど、様々な工夫を通じて全職
員で指導にあたる意識と体制をつくります。
D 校内委員会等で情報交換や指導方法を検討し、全職員が共通理解のもと同一歩調の指導
ができるようにします。
E 今後、各学校に特別支援教育コーディネーターが必要になることを見通し、学校内や関
係機関、保護者との連絡調整役としてのコーディネーター的役割を担う人材を位置づけ
ます。
F 個人情報の管理に万全を期します。
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4−6 校内研修会の開催

通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童・生徒は、「わがままだから」とか、
「親の育て方が悪いから」と考えられがちです。だからこそ、子どもたちの支援を始める
にあたって、そのような理由に起因するものではないということを全職員が理解すること
が大切です。そこで、正しい理解のもとに適切な支援を進めるため、校内での研修会を行
い共通理解を図ることが有効です。この共通理解が個別支援に向けての下地となるのです。
校内での専門家による講演会や事例検討会等により理解を深めていきましょう。

講演会と講師
特別な支援を必要とする児童・生徒は、一人ひとり全く違うと言えます。学習の特異な
困難や特徴的な行動特性等について学ぶ他、それぞれの子どもに視点を当てた具体的な対
応の仕方や指導法について学んでいくとよいでしょう。養護教諭や特殊学級担任が講師を
務めてもよいですし、総合教育センターや、地域支援機能を持つ盲・ろう・養護学校では、
研修内容を伝えれば適切な講師を派遣します。校長を通して相談の依頼をしてみましょう。

講演会以外の校内研修の機会
校外の研修会に参加した職員による報告会や参考になる本、新聞記事の紹介等を常に行
うなど、様々な機会を通して職員の理解を広げていきましょう。

事例検討会で話し合うポイント
校内研修会として、事例検討会を実施することも有効です。まず、担任から、現在の子
どもの学習や生活の様子、長所、特性、困っていること(どんなことが・いつ頃から・ど
んな時に・どのぐらいの頻度で続いているか等)、保護者との連携状況、支援の経過、以前
の様子等について分かりやすく伝えます。
そして、@考えられる原因や背景、A原因や背景を除去・改善するための指導方針と具
体的手だて・長期目標・短期目標、B担任・学年担当・専科担当・養護教諭・管理職・そ
の他の職員のできることや役割分担、それぞれの連絡や連携の取り方、C保護者に協力し
てもらうこと、D学級の他の児童・生徒への対応の仕方、E外部機関との連携の必要性と
その内容について等の項目について話し合います。
事例検討会に、専門知識を持った他校の教員や学校カウンセラー、臨床心理士、指導主
事等、校外のメンバーが参加すると、違った立場から客観的な意見が得られるため大変有
意義です。
事例検討会のために作成した資料の取り扱いは、細心の注意を払います。特に、個人情
報が記載されている場合は、会議終了後、資料を回収します。
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○ 毎年、児童指導研修会全体会として不登校、LD、AD/HD等のテーマで全職
員で研修会を行っています。その積み重ねが日頃の指導にとても役立っていま
す。
○ 職員会議において、AD/HDの原因や特性、障害の診断項目、二次的障害、
相談につなげる目安等について、特殊学級の担任が講師となって研修会をしま
した。担任が自分の指導の問題として抱え込んでしまっては、協力体制はスタ
ートできません。
○ 総合教育センターの要請訪問相談を依頼し、該当児童の教育相談担当者に来校
してもらい、全職員で児童の様子や今後の指導方針等について共通理解を図り
ました。
○ その後、定期的に児童の様子と障害の特性、教職員の対応、校内体制作りなど
について具体的な内容での研修会を行いました。
○ 気になる児童ということで、専科担当も含めて一事例ずつ持ち寄り話し合いま
した。学年ブロック毎に市の心理の専門家を招き、特性理解や対応について研
修しました。
ある小学校では

コラム〜カリキュラム・コンサルタント、要請訪問相談〜
総合教育センターでは、「カリキュラム・コンサルタント」として、学校等か
らの依頼に応じ、研修会等への講師派遣を行っています。
また、「要請訪問相談」として、学校等の要請により学校に出向き、来所によ
る教育相談者や特別な支援を必要とする児童・生徒を担当する教員等の問題解決
に向けて、事例検討を中心とした相談を行っています。
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4−7 学年会・事例検討会による情報交換

子どもの状況について、複数の職員の観察を
もとに情報交換し、共通理解を図ります。その
ために、学年会や事例検討会を活用します。
この会において、児童・生徒の生育歴をはじ
め、家族環境、保護者の考え方、心理・行動・
学習面からの情報を収集し、整理してみること
はとても有効です。これらの情報をもとに、児
童・生徒の問題解決に向けて、それぞれの立場
でどのような手立てがとれるかをみんなで考え
実践し、次の会にその効果を確認します。



学校が荒れた時期を契機に、生徒一人ひとりを大切にし、職員全体で支援する
雰囲気が学校に根づいています。職員室での情報交換も頻繁に行われて、とても
風通しがよく、職員間で生徒の共通理解がよくできています。
気になる子どもの生徒指導や生活上の問題などについては、各学年で事例検討
会を行っています。事例検討会では、職員全員が必ず1事例ずつ提案することに
なっています。
担任以外の職員も事例を提案し、担任も自分のクラス以外の生徒についての提
案ができるので、担任が気づかなかった生徒の問題について、提案される場合があ
ります。また、同じ生徒について、複数の職員から違った視点で提案されて、検
討されることもあります。
事例検討会には、必要に応じて心の教室相談員やスクールカウンセラーにも参
加してもらっています。

ある中学校では
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ある小学校では
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校長、教頭、養護教諭、教務主任、特殊学級担当、児童・生徒指導担当、各学年担当等
で構成される校内委員会の働きも大切です。校内委員会は、特別な教育的ニーズのある児
童・生徒へのよりよい支援や指導を検討するための校内組織です。すでに教育相談部会等
が機能している場合は、それをもって委員会にすることもできます。
校内委員会では、各学年で収集・整理した情報をもとに、さらに多面的な実態把握に基
づいた検討を行い、よりよい支援や指導について、保護者と連携を図りながら検討します。
必要があれば、外部の相談機関の担当者や指導主事、通級指導教室の教員等に参加を要請
し、客観的で専門的な立場からの助言や、個別教育計画の作成(18頁、56頁)等について
の指導など様々な支援を得ます。














校内就学委員会を母体として、校長、教頭、養護教諭、教務主任、特殊学級担
当、児童指導部主任、各学年代表で校内委員会を構成しました。
子どもの多面的な実態把握に基づいて話し合うことを通して、子どもが抱える
問題を理解し、保護者の願いを聞いた上で、具体的な支援の方法を検討しました。
必要な時には、市教委の指導主事や教育センターの相談員の参加を要請し助言を
得ました。
校内委員会での検討を通して、特別な支援を必要とする児童の理解を深め、か
かわり方を検討でき、学校としてそれらの内容を共有化することができました。
また、対象児童について、担任の理解と支援だけでなく、学校全体での取り組
みや細かな配慮が展開されることにより、児童の状態が顕著に変化しました。
その結果、対象児童と類似した問題を抱える児童へも支援的な対応を行う視点
が芽生えました。
○ 児童・生徒の多面的な実態把握
○ 指導方法等の助言
○ 具体的な指導体制の検討
○ 個別教育計画の作成支援
校内委員会
校長、教頭、養護教諭、教務主任、特殊学級担任、
児童・生徒指導担当、各学年担当 等




学年会 学年会 学年会
担任



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ジロウさん(小学校3年生)は、周囲の子どもたちとの関係がうまくいかなかった
ので、担任外のタナカ先生が入り、チームで援助することになりました。
「1か月間、給食準備時間に、タナカ先生に持ち物の整理整頓の方法を個人指導し
てもらい、その努力を認めることで本人の自己イメージを高めたい」と個人的指導の
ねらいを保護者に理解してもらい、家庭でも協力して援助したり、ほめたりするよう
お願いしました。また、本人にも理解できるよう話しました。ジロウさんは、両親か
ら言われていたのか、「ぼくはいい子になりたいんだ」と了解しました。学級の子ど
もたちにも、「タナカ先生がお助けマンに来てくれるので、みんなにも協力してほし
い」と話しました。
「15分片付けができたら、がんばりカードにシールを貼る」と簡単なルールをつ
くり、最初の3日間は鉛筆、次は鉛筆と教科書・ノートと、はじめのうち目標は少な
くしました。他のものは援助者が片付け、その片付け方を見せて整理の方法を教えま
した。
こうして数週間後、ジロウさんは、「一人でできるんだけど、友だちが手伝ってく
れるんだよ」と照れながら言うようになりました。ジロウさんに友だちができたのは、
はじめてでした。こうしてチーム援助は実を結びました。
給食準備時間は、担任も子どもたちも動きが複雑になり、ジロウさんは周囲の子ど
もとの関係がうまくいかないことが多い時間でした。ここに援助に入ったことによ
り、しっかりやれていることを援助者からも担任からもほめられ、家庭でも認められ、
ジロウさんの自己イメージが高まっていきました。そのことにより、全体的な行動の
変化をもたらしたと考えられます。

4−9 チームによる援助

行動面に困難さがある子どもには、チーム援助が効果的です。援助者がその子の目標行
動に集中してかかわることで、その子一人ではなかなかできなかった行動が身につけられ
るだけではなく、何をしてもうまくできず叱られることが多かった行動の悪循環を、先生
からほめられた、うれしくて自信が出てくるという好循環に切り替えていくことができま
す。こうなると他の場面での行動改善も期待できます。
誰かの援助があればできそうだけれど、毎日(毎回)担任が集中して援助するのは難し
い部分を、担任と担任以外の職員が連携し、チームとして援助します。学年やその子の特
性を考慮しつつ、できるようになってほしい行動を提案し、本人の同意を得てから取り組
みます。
スモールステップで丁寧に、その子が自分でもできる、やり方がわかって自信が持てる
ように援助します。集中して毎日(毎回)取り組み、数週間で満足できる結果が出るよう、
目標や支援方法を工夫します。
チーム援助で行動改善につなげやすい取り組みとして、持ち物の整理整頓、給食当番、
着替え、掃除当番、持久走・縄跳びの練習参加、集会への参加等が考えられます。



チーム援助による援助の事例
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4−10 養護教諭の役割

保健室は、児童・生徒の体と心の健康のよりどころです。体の不調の原因は病気やけが
だけではなく、その背景として家庭での問題や学校生活への不適応、発達上の問題等につ
いて考えられる場合があります。保健室にはこのような多様な問題を抱えた子どもたちが
訪れます。
養護教諭は、発達的な視点を持って子どもたちを観察し、子どもたちの身体的訴えを聞
く必要があります。そして、それが疾病によるものなのか、発達的な問題なのか、不適応、
怠学傾向、神経症的なものなのかなどを見極めていく必要があります。
養護教諭は、子どもの身体的訴えから、その子どもにとって本当に必要な配慮や支援を
つかみとって、校内の教育相談につなげていく重要な役割を担っています。
特に保健室利用が多い子ども等、気になる子どもについては養護教諭と学級担任の密接
な情報交換が必要です。
また、養護教諭は保護者と接触することも多く、担任とは違った専門性をもった重要な
立場にあります。
AD/HDの診断を受け、定期的に薬を飲む必要がある子どもについて、養護教諭が管理
職の了解のもと、保護者、担任と連携して、援助をしている学校があります。

連携してできること
@ 子どもが不安定になったときの受け入れ場所
その子自身の居場所が不安定になったとき、一時受け入れて心の安定を図る場として
活用します。この場合、保健室はあくまでも「一時的な受け入れ場所」として位置づけ、
気持ちが落ち着いたところで付き添って子どもを教室に戻すようにします。この時、学
級内の人間関係等をつかんでおきます。
A 来室したときの配慮
しっかり受容し、些細なことでもほめて、気にかけていることを子どもに伝えます。
また、子どもとの関係がつくられてきたら、ただ受容するだけでなく担任と相談しなが
ら、これからの支援に何が必要か話し合い、それに沿って働きかけていきます。
B 職員室や学年の場で養護教諭として捉えた子どもの状況を伝える
この場合、養護教諭の判断でいきなり伝えるのではなく、職員全体に知っておいても
らうことは今どのようなことなのか、また、養護教諭としてどうその子を捉えて対応し
ているのかを伝えながら担任と相談し、時機を捉えてその子の状況を伝えます。
C 保護者との連携のバックアップ
保護者が混乱している場合もあります。最初の出会い方が信頼関係を築く上で大切で
あり、事前に相談し、担任と一緒に保護者に会って養護教諭としてできることを伝えま
す。

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からだの大きいシロウさんは、ことばで表現するのが苦手でした。そのため自分
の思いどうりにならないと「かっ」としてそばにあるものを投げつけて、クラスメ
ートに怪我をさせてしまうことがたびたびあり、クラスの保護者からの苦情も多く
ありました。シロウさんの両親もどうしてよいかわからず、問題が起きるたびにガ
ミガミ叱りつけていました。
シロウさんは、しだいにクラスの仲間から孤立し、授業中、校舎内をうろうろし
たり、時には無断で校外に出て地域でトラブルを起こしたりと、様々な問題を起こ
すことが多くなっていきました。
このような状態に担任の「困り感」も強くなり、養護教諭に相談がありました。
しばらくは保健室で受け入れ、落ち着かせるような対応を続けてみましたが、余り
変化が見られませんでした。そこでまず市のカウンセラーに母子の相談をお願いし
ました。
半年くらい対応してもらいましたが、行動が改善されないため、担任、カウンセ
ラーとも相談をして、保護者に医療を紹介しました。当初は保護者も受診を拒んで
いましたが、時間をかけて話し合い、納得してもらうことができました。受診の際
には、担任が作成した本児の資料を持参しました。しばらくして医師より書面にて
本児がAD/HDであり薬物治療を開始したとの連絡がありました。
保護者とのつながりができたら、積極的に機会を見つけ、その時々の支援内容や課題を
話し合います。子どもの状況をきちんとつかんでおき、前向きな学校の姿勢を言葉にして
伝えていきます。また担任にはきちんと報告をします。





















@ 子どもの状況の大変さや担任の困り感が強い場合には、スクールカウンセラーや専門
家の紹介をタイムリーに行う必要があります。日頃からアンテナを高くして、信頼のお
ける機関や専門家についての情報を集めておきます。
A うまくつながった場合でも、時機をみて電話や手紙でこまめに子どもや保護者の状況
を伝え合います。このことは子どもの状況に応じて適切な対応をしていく場合に必要な
ことです。また、担任への連絡もタイムリーに行います。また、担任、保護者、管理職、
養護教諭、専門家等が一堂に会して話し合う場の設定を場合によっては、養護教諭が行
う必要もあります。
B 子ども自身の「困り具合」が重度の場合には、担任と相談し資料を作成してもらい、
保護者の気持ちを支えながら医療機関へつなぐ必要があります。
専門家につないだ事例
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4−11 交換授業の実施

通常の学級の担任と特殊学級の担任が授業を交換したり、通常学級担任同士が授業を
交換したりして指導することを交換授業といいます。
担任以外が指導にかかわることによって、一人ひとりの子どもの実態を多面的に捉え
ることができ、また、学級の中の配慮を要する子どもに対して共通理解を図ることがで
きます。


通常学級の担任と特殊学級の担任が授業を交換し、児童の相互理解に努め
ています。通常学級担任が特殊学級児童を一対一で指導する経験を積むこと
により、通常学級の中の特別な支援を必要とする児童の指導に役立てていま
す。
また、特殊学級担任は通常学級での指導を行い、当該児童の実態を把握し
て、両者で共通理解を深めることにより、実際的な相談やアドバイスを行っ
て通常学級担任を支援しています。
一部の学年では、通常学級の担任同士が授業を交換しています。該当学級
の担任だけでなく、他学級担任や専科担当が指導にかかわることにより、特
別な支援を要する児童の実態を多角的に捉え、共通理解を図ることができる
ようにしています。









ある小学校では
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4−12 少人数指導の活用

少人数指導では、学習者一人ひとりの習熟の程度に合わせて、学習教材が準備され、指
導者が身近に付いて支援しながら学習課題に取り組むことができます。その結果、「わかっ
た。」という満足感や達成感、やればできるという自信がもてるようになり、学習面で困難
を抱える子の指導にとっても有効な指導方法です。
編成のタイプ
T 1学級を2グループに分け、2人の教師が指導に当たる。
U 2学級を3グループに分け、3人の教師が指導に当たる。
V 3学級を3グループに分け、3人の教師が指導に当たる。(指導に当たる教師は増や
さないで、学級を解体し、学年で習熟度別にグループ編成をする。)
W 学級内で一斉授業の後半に習熟度別の学習グループに分かれて学習する。
推進上の配慮点
<学習者に対して> ・学習グループの選択は、本人に判断させ、決定させる。
・学習途中でのグループ変更を可能にする。
・差別意識を生まない集団をつくる。
<保護者に対して> ・学習グループ決定に親も関与してもらう。
・子どもが学習に生き生きと取り組む姿を見てもらう。
・学習相談の場を設定する。


1学年から6学年まで、学級集団を解体して習熟度別に学習グループを編成し
ての算数の指導を実施しています。これらの指導を通して、子どもたち一人ひと
りを今まで以上にきめ細かく見ていく目が育ったことや協力体制ができたこと、
保護者との連携が深まったことなどの成果が出ています。また、児童や保護者か
ら、「算数が分かるようになった」、「好きになった」との声も聞かれます。
【1学年】
・3学級を習熟度別に4グループに分け、学級担任とティーム・ティーチング加
配1名の計4名で指導。
【2学年】
・3学級99名を5グループに分け、学級担任3名と特学担任1名とティーム・
ティーチング加配1名の計5名で指導。そのため、特別な支援を必要とする児
童が多くいるクラスは特学在籍児童も含め7名で学習している。
【3・4学年】
・3学級を習熟度別に4グループに分け、学級担任とTT加配1名の計4名で指
導。
【5・6学年】
・3学級を習熟度別に3グループに分け、学級担任計3名で指導。必要に応じ
て教頭がティーム・ティーチング指導者として援助している。
ある小学校では
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4−13 補習教室での支援

米国では、特別な教育的ニーズのある子どもが定期的に訪れて個別指導を受ける以外に
も、子どもたちが自由に来室して、勉強したり先生に相談したりすることができるリソー
スルーム(補習教室)が設置されています。ここでは、特別な教育的ニーズのある子ども
が少人数で個別の授業を受けたり、ソーシャルスキルトレーニング等を行ったりしていま
す。通常の授業よりもていねいに教えたり、はさみやカードを使ったり、途中で座席を交
代したりして、授業の中に気分転換を取り入れるなど、指導に様々な工夫や配慮がされて
います。
リソースルームは、現在の日本の教育制度には位置づけられていませんが、同じような
実践を試みている小・中学校が県内にも見られるようになりました。


校内就学指導委員会で協議される、通常の学級に在籍していて「気になる子」への
支援の在り方について悩みました。彼らは、特殊学級や「ことばの教室」への入級の
対象にはならなかったからです。そこで、空き教室を補習教室として設置し、個別の
支援を必要とする児童に対して支援を始めました。

【対象児の決定】
・各学級担任が、学習面で個別支援を必要とする児童をケースとして提案する。
・担任からの提案、本人の希望、保護者の了解を3原則として決定する。
【指導方法の工夫】
・担当は、専科教員、教務、児童指導担当が当たる。
・一児童に対し週1〜2時間実施。一人または数名のグループを対象に個別指導をする。
・教材・教具、指導方法を工夫する。場所・環境を整備する。
【校内体制づくり】
・担任と担当者との連携を十分に図る。
・児童指導と学習指導の両面から事例検討会を開き、事例研究を行うとともに具体
的支援の方針や手だてを決定する。
・外部の相談機関や専門家のアドバイスを受けるとともに校内で研修を深める。
・1年単位ではなく、6年間で学校全体で成長を見守っていくシステムを確立する。
・中学校との連携を進め、9年間を視野に入れた指導計画を考えていく。
【教育相談の充実】
・保護者の心の悩みを受け止め、「一緒に子育てを考えていく」スタンスで臨む。
・専門家を含めた保護者対象の教育相談を実施する。対応は、校長(教頭)、児童指
導主任、担任、学年主任、教育相談係等が行う。
・未就学児の保護者を対象とした教育相談を実施する。
【保護者との連携】
・「教育相談だより」を発行し、取り組みや補習教室について紹介する。
・補習教室での様子を保護者に知らせるとともに、担任、保護者、担当者で話し合い
の場を設定する。
ある小学校では
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4−14 特殊学級との連携


特殊学級が設置されている学校では、通常の学級担任と特殊学級の担当者との連携が大
切です。特殊学級の担任が通常の学級に入ってティーム・ティーチングを行ったり、必要
があれば、時間等を工夫して、個別指導を行ったりすることも効果があります。特殊学級
の担当者は、その専門性を生かして、学習面等へ
の個別指導を行ったり、通常の学級担任への助言
をしたり、教材の提供をするなど、その子どもに
応じたきめ細かい指導を支援することができます。
特殊学級の時間割を工夫し、校内の通常学級の
子どもへの個別的指導の時間を生み出している学
校もあります。



知的・情緒・弱視の特殊学級が設置されていますが、情緒・弱視ともに在籍児
童が1名で、交流による学習指導が多く実施されています。
交流学級での学習には、特殊学級担任が一緒
にいるため、ティーム・ティーチングとして、
特殊学級在籍児童だけでなく、通常の学級(交
流学級)に在籍している特別な支援を必要とす
る児童についても支援しています。学年間で共
通理解した上で、個別的な指導を進めています。
また、特殊学級で学習障害児等の取り出し指
導も行っています。
ある小学校では
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4−15 通級指導教室での支援

ことばやコミュニケーション、行動面や情緒面に特別な支援が必要な子どもたちに対し
ては、専門性の高い通級指導教室での指導が効果的です。
通級指導教室では、医学の面(生育歴、神経系の行動チェック等)、教育の面(学力、行
動観察、学習記録・作品、担任との教育相談等)、心理的な面(知能検査等)から子どもの
実態を把握し、個別教育計画を立て、個別指導やグループ指導を行います。
また、通級指導教室での個別指導やグループ指導の成果を、学級での活動や家庭生活に
いかすことができるよう、担任、保護者と連携を図っていきます。

通級指導教室でできることの例
○ 専門的な視点からの子どもの実態把握
○ 遊びやソーシャル・スキルの指導
○ 視覚的、聴覚的な認知発達、運動機能、適応的行動・情緒の安定等の個別的支援
○ 学校生活を円滑にするための保護者へのアドバイス、教育相談
○ 担任との連携・協力
○ 落ちついた静かな環境の提供
○ 障害理解のクラスへの出張指導、本人への教育相談


アキオさん(2年生)は教科の学習はよくでき、お話も上手ですが、離席や自分勝
手な行動が多く、クラスの子ども同士で遊んだり会話したりすることは、苦手でした。
通級指導教室では、@指導者を含めた小グループで遊ぶ経験を通して、遊ぶための
ルールを身につけ、楽しく遊べるように促す、Aロールプレイ(役割演技)で、学校
生活でのソーシャルスキルを学習させる、という目標を立てました。
はじめは遊びに誘っても、「嫌だよ」と言って、入ってきませんでした。無理強いを
せず、「そこで見ていて、やりたくなったらおいで」と声をかけ、しばらくたってから
もう一度誘うと入ってきました。しばらく様子を見て安心したようでした。
遊びは、一見簡単なようですが、複雑なルールがあります。例えばハンカチ落とし
で遊ぶためには、ハンカチを置かれていないのに動いてはいけない、置かれたらすぐ
に持って一方向に走る、鬼に追いつかれないように走る、鬼に追いつかれたら泣いた
り怒ったりしない、鬼を追い抜かない、誰かの後ろにそっと置く、その空いた場所に
一回りしてから座る、などを理解する必要があります。また、瞬時に行動を変えてい
く必要があります。アキオさんは何度も失敗しながら、遊びを覚えていきました。
ソーシャル・スキル・トレーニング(32頁参照)も必要です。人とうまく付き合う
ためのスキルを繰り返し取り上げていきました。
アキオさんは、楽しい雰囲気の中で、グループの子どもたちと仲良く遊ぶことがで
きるようになり、互いに名前を覚えて呼び合い、仲間意識が芽生え、通級を楽しみに
するようになりました。最近、クラスに仲のいい友だちができたそうです。
通級指導教室での事例
--55/75--

52
4−16 保育園、幼稚園、小・中・高等学校との連携

特別な支援を必要とする子どもたちには、周囲からの理解と適切な支援が必要です。
また、ライフステージすべてにわたって、その時々に必要な支援が過不足なく得られる
ことが望ましいと言えます。
入学後、保育園の園長を小学校に招き、子どもの様子を見てアドバイスを受けたり、就
学前に小学校の職員が幼稚園を訪問して、園での生活を参観したりできると引継ぎがスム
ーズにできるでしょう。
同様に、様々な校種間で情報交換の場を設定し、子どもた
ち一人ひとりのニーズを多面的に把握する中で、支援のあり
方を絶えず見直していくことが大切です。
学校教育をとおして、学年間の連携はもとより、学校間の
連携が望まれます。
保護者の了解を得て、情報交換・引継ぎの場を設定すると
いう方法もあります。


















連携の目的

○ 職員の理解を促すため。(担任はじめ全教職員で支援にあたるとい
うスタンスで!)

○ 必要な支援を継続するため。(新しい学校生活での支援計画の参考
になります。)

○ 保護者の重複説明を避けるため。(保護者は、進級あるいは進学す
るたびに、学校関係者に理解を求めるため何度も子どもの話をして
いるという現状があります。保護者の了解を得た上で必要な資料を
引き継ぐことも大切です。)
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53
4−17 外部専門機関との連携

特別な教育的ニーズを持った児童・生徒の指導では、一人で抱え込まないという姿勢で
取り組むことが大切です。同学年の担当や養護教諭等との連携はもちろんのこと、管理職・
他学年の職員等学校全体で見ていくという日頃からの校内体制づくりが重要となります。
また、二次的障害が発生する場合も考えられることを踏まえ、学校以外の専門機関との連
携を図っておくことも大切です。

総合教育センターや相談機関との連携
児童・生徒に適切な支援をするためには、早めに相談して特性理解や適切な対応の仕方
を学ぶことがとても大切です。総合教育センターでは、電話での相談や来所相談を行って
います。保護者に児童・生徒の様子を伝えて、了解が得られれば親子で相談機関に出向い
てもらい来所相談をスタートします。保護者から了解が得られない場合は、教員の教育相
談として指導法等について相談することもできます。総合教育センターには、各校に専門
の相談員(臨床心理士等)を派遣する要請訪問相談という制度があります。実際に児童・
生徒の様子を見ながら、指導法や対応の仕方等についての相談を受けることができます。

市町村教育委員会との連携
市町村教育委員会との連携も大切です。校内委員会や事例検討会に市町村教育委員会の
指導主事の参加を要請し、助言や支援を得ることができます。

養護学校等との連携
盲・ろう・養護学校は、それぞれの学校の専門性を生かし、地域センターとして地域の
小・中・高等学校の教員や障害のある児童・生徒の保護者に対して、相談活動や様々な情
報提供を行っています。学校の事例検討会に専門性のある養護学校の教員に来校してもら
うことも有効な方法です。

大学等との連携
近隣の大学・短大・専門学校等に、障害児教育
コース、児童精神医学課程、教育学部等がある場
合は、相談してみるとよいでしょう。研究機関か
らのアドバイス支援を得ることができます。


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54

医療機関との連携
特に、LD、AD/HD、高機能自閉症等の場合は、どの相談機関も、まだ多くの症例を
持っているとは言えません。そこで、児童専門の医療機関や療育機関での受診を勧めます。
診断や投薬によって、不必要な混乱や二次的障害を防ぎ、早期に適切な対応をとることが
できます。保護者に受診を勧める場合、細心の注意を払わなければなりませんが、医療機
関で診断してもらうことで、保護者が自分の育て方が原因ではなかったと安心する場合も
あります。医療機関に関する情報は、総合教育センターからも得られます。

児童相談所との連携
児童・生徒の家庭や地域での生活支援が必要な場合は、児童相談所の支援が必要になる
こともあります。児童相談所では、18才未満の子どもを対象に、行動・しつけ・性格・発
達等様々な相談を行っています。ケースワーカーの他に臨床心理士を始めとした専門家が
おり、一人ひとりの子どもに合った支援を一緒に考えてくれます。児童相談所は管轄が地
域ごとに決まっています。相談を希望する場合には、まず管轄の児童相談所に電話をして
みましょう。



○ 保護者に専門機関での相談を勧めましたが、了解を得られませんでした。
そこで、総合教育センターに電話で教育相談の予約をし、担任が臨床心理士
から、障害の特性や学校での対応の仕方について、具体的に教えてもらいま
した。担任は、指導の難しさを理解してもらえた満足感と当面の指導目標が
見つかり明るい表情になりました。

○ その後、保護者の理解が進み了解がとれたので、総合教育センターを紹介し
て親子での来所相談が始まりました。また、養護教諭から県立子ども医療セ
ンターを紹介することにより、投薬治療につなげることができました。
ある小学校では
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55
ある小学校では、すべての子どもが、そのニーズに応じた教育を受けられるよう
に学校づくりを進めています。豊富な支援メニューが用意され、一人ひとりに応じ
た適切な支援が行われています。

@ 学級担任が工夫してかかわる。
A ティーム・ティーチング、少人数指導の時間に支援する。
B 特殊学級担任が交流学習の時間に支援する。
C 課外授業を開講する。
D 他機関を紹介する。
E 校内での取り出し指導を行う。
F 学級に支援者が入り、個別に支援する。
G 特殊学級が学校生活全般を支援する。
H 学生ボランティアによる支援を行う。

4−18 支援メニューの充実

以上のように、通常の学級に在籍する特別な支援
を必要とする児童・生徒に対しては、学校内外の様々
な人的・物的資源を活用し、指導内容や指導方法等
を工夫・改善していく必要があります。
児童・生徒一人ひとりの状況に応じて、様々な資
源の組み合わせを考え、豊富な支援メニューを用意
していくことで、校内支援体制の充実を図ることが
できます。

















一人ひとりの状況に応じた新しい支援を考えていくには、担任一人や学校単位では限界
があります。学校全体での取り組みとともに、関係機関等とのネットワークづくりを推進
していくことが大切です。


ある小学校では
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56
また国の動きとして、「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(平成
15年3月)では、障害のある児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の
視点から適切に対応していくという考えの下、長期的な視点で乳幼児期から学校卒
業後までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを目的とし、「個別の教育
支援計画」(多様なニーズに適切に対応する仕組み)の策定、実施、評価
(「Plan-Do-See」のプロセス)が重要であるとしています。
また、この教育的支援は、教育のみならず、福祉、医療、労働等の様々な側面か
らの取り組みが必要であり、関係機関、関係部局の密接な連携協力を確保すること
が不可欠です。また、他分野で同様の視点から個別の支援計画が作成される場合は、
教育的支援を行うに当たり同計画を活用することを含め、教育と他分野との一体と
なった対応が確保されることが重要です。
LD、AD/HD等を含め、すべての障害のある子どもについて策定することとし
ています。
4−19 個別教育計画について

すでに神奈川県では、盲・ろう・養護学校において「個別教育計画」を作成・実施して
います。これは単なる、授業の年間指導計画ではありません。「個別教育計画」には、次の
ような特徴があります。





















「個別教育計画」をチームで作成することにより、関係者間の情報の共有化が促進され
ます。校内のコミュニケーションツールとして活用しましょう。
一方で、絶えずそれを評価し、より適切で効果的な教育計画を再計画していきます。文
部科学省が提唱する「個別の教育支援計画」(「Plan-Do-See」のプロセス)と同じ考え方で
す。重要なのはこのような一連の取り組みを蓄積し継続することによって、一貫した教育
が可能になることです。特別な教育的ニーズのある子どもに対しては、担任教師が代わっ
ても学校として継続的で一貫した教育を行うことが必要だからです。
・その作成にあたって、実態把握や指導目標・内容の設定は子どもに関係する
複数の者によるチームで行うこと
・保護者の意向を取り入れ、同意を得ること
・一定期間後の評価と再計画の立案というサイクルをもっていること
・学校場面にとどまらず、子どもの居住地域の社会資源の活用や、過去から将来に
わたるライフステージも考慮された、子どもの全体像を捉えた広がりのある教育
課程であること
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5 資 料










気づきのシート
チェックリスト
学習達成基準(国語)
学習達成基準(算数)
引用・参考文献
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平成 ・ 年度神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業 1213
気づきのシート(教員・担任用)
*この用紙は、児童の学校での様子をよりよく理解するためのものです。
あてはまる項目の□にレ印をつけて下さい。
平成年月日記入記入者氏名()
フリガナ 男生年月日(年齢)
・ 昭・平年月日
名前女 ( 歳)
在籍校市立小学校学年第学年
項 □:チエック欄内容
聞 1□ 集中力がなくて、聞き取りがうまくできない。
く 2□ 人の話している内容が理解できない。
・ 3□ 質問に適切に答えることができない。
話 4□ 単純な文章だけで話したり、使う言葉がかなり限定されている。
す 5□ 自分の考えを相手にうまく伝えることができない(筋道や事実関係等。 )
国 6□ 相手の話の内容に関係なく、一方的な話をすることが多い。
読 1□ 文字の読み間違いが多い。
語 む 2□ 音読が苦手である。
3□ 文章の内容がつかめない。
1□ 平仮名、カタカナで書けない字がある。
書 2□ 文字の形がとりにくい。
く 3□ 書くのに時間がかかる。
4□ 文章を書くことが難しい。
1□ 数字の読み間違いが多い。
算 2□ 10までの数の合成、分解ができない。
3□ 繰り上がり、繰り下がりの計算が困難である。
(、)。 数 4□ 時間の感覚が弱い 遅れやすい時計がよめても行動がともなわない等
5□ 位置感覚が弱い(並べない、下駄箱の位置がわからない等。 )
1□ 動作がとても不器用である(歩く、走る、バランスをとる等。 )
運 2□ 手先がとても不器用である(はさみ、ボタン、はし等。 )
動 3□ 落ち着きがなく、じっとしていられない(注意力。 )
、()。 ・ 4□ 自分勝手な行動が多く グループによる遊びや活動ができない 協調性
社 5□ 新しい状況になると過度に反応し混乱する。
会 6□ 約束した内容を忘れてしまうことが多い(宿題、ルール等。 )
性 7□ 相手の気持ちや表情を理解することが難しい。
8□ 一つの話題にこだわったり、同じ質問をくり返しやすい。
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59
平成 ・ 年度神奈川県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業 1213
チェックリスト(教員・担任用)
*この用紙は、児童の学校での様子をよりよく理解するためのものです。
あてはまる項目の□にレ印をつけてください。
平成年月日記入記入者氏名()
フリガナ 男生年月日(年齢)
・ 昭・平年月日
名前女 ( 歳)
在籍校市立小学校学年第学年
項 □:チエック欄内容
1□ 集団の中で、言葉の指示や注意が理解できない。
聞 2□ 聞いたことをすぐ忘れてしまう。
3□ 話を聞くとき、注意を集中していられる持続時間が短い。
く 4□ 簡単な単語の意味を取り違える。
5□ 話の内容についていけず、集団での話し合いに参加できない。
1□ 幼稚な言葉を使ったり、特定の音節の発音ができない。
話 2□ 単語などが出にくい。
3□ 順序を整理して話すことが難しい。
す 4□ 話題がとびやすい。
5□ 一つ話題に固執する。
1□ 似た字を間違えて読みやすい。
国 2□ 漢字の読み間違いが多い(音読みと訓読みの混乱、順序の逆転等。 )
3□ 助詞や文末を読み間違える(勝手読み。 )
語読4□ 一字一字は読めるが拾い読みである。
5□ 文節を区切って読むことができない。
む 6□ 文字や行をとばして読むことが多い。
7□ 読むときに過度に緊張する。
8□ 話のあらすじや文章のだいたいを読みとることができない。
1□ 「く」と「へ 「し」と「つ」等の似た文字を間違えて書く。 」、
書 2□ 鏡文字が多い。
3□ 枠やマスの中に文字が書けずにはみ出す。
く 4□ 黒板や教科書の文字を視写するのにが時間がかかる。
5□ 拗音や促音を正しく書けない。
6□ 話したいことや伝えたいことを文章に表すのが苦手である。
1□ 89を98と読んだり、ジュウゴを105と書いたりする。
2□ 数唱において、二度言ったり、抜かすなどして時間がかかる。
3□ 数字の「3」と量の「3個」などを対応させて理解することができない。
4□ +−×÷の記号の意味が理解できない。
数 5□ 繰り上がりのある足し算ができない。
6□ 繰り下がりのある引き算ができない。
7□ 筆算表記で、位を揃えることが難しい(2年生以上。 )
算 8□ 九九の暗唱や、九九を使った計算ができない(2年生以上。 )
図 1□ 形(○△□など)の仲間分けができない。
数 2□ おおよその形を視写することができない。
形 3□ 図形などを書くことが苦手である。
4□ 定規やコンパスを使うことが難しい(2年生以上。 )
数 1□ 簡単な文章題を読んで立式することができない。
学 2□ 表(時間割表など)の意味がわからない。
的 3□ 時間の流れや暦の意味が理解できない。


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60
項 □:チエック欄内容
1□ バランスをとるのが難しい。
粗 2□ スキップができない。
大 3□ リズムに合わせて体を動かすことが苦手である。
運 4□ 相手の動きに合わせて、同じ動きができない。
運動5□ 前転ができない。
動 6□ ボールの扱いがぎこちない。
微 1□ 紙の端をそろえて折ることができない。
細 2□ はさみで線に沿って切ることができない。
運 3□ 鉛筆や消しゴムをうまく使うことができない。
動 4□ 閉じた丸が描くことができない。
1□ 席にじっと座っていることが難しい。
2□ 注意がそれやすく、持続することが難しい。
3□ 気に入らないことがあると乱暴な行動をとる。
行 4□ 我慢できずにかんしゃくを起こす。
動 5□ 掃除・給食当番をやらない。
特 6□ 作業が極端に遅い。
徴 7□ 好きなことにしか集中できない。
8□ ゲーム等で負けることのがまんができない。
9□ できそうもないとすぐ諦めたり怒ったりする。
10□ 特定の物音や雰囲気への恐怖心が強い(運動会のピストルの音等。 )
1□ いじめられやすい。
社 2□ 人のいやがることをしたり、言ったりする。
会対3□ よく人にちょっかいを出し、注意をひこうとする。
性人4□ 自分勝手で遊びを続けることができない。
関 5□ ルールがわからなくて、遊ぶことができない。
係 6□ 挨拶や、お願い等がきちんとできない。
7□ 冗談が通じない。
8□ 相手の気持ちを読みとることができない。
1□ 宿題や提出物、学校で使う物等の忘れ物が多い。
生 2□ ノートや教材等をいつも違った場所に置いたりなどして、きちんと整理で
活 きない。
習 3□ ボタンかけ、ファスナー締め、靴ひも結び等がうまくできない。
慣 4□ 偏食や過食、少食がみられる。
5□ 食器を使って食事をすることがうまくできず、食べこぼしが多い。
*その他、気づいたことがあれば記入してください。
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61
○学習達成基準(国語)
*該当学年の当てはまる項目の□にレ印をつけて下さい。1項目でもレ印がついた場合は、前学年
の項目も同様に行って下さい。
T小学校1学年入学時〜1学期(「幼稚園の修了レベル」の達成度を調べる)
聞く・話す
1□ したこと、見たこと、聞いたことなどを自分なりのことばで話ことができない。
2□ したいこと、してほしいことを言ったり、わからないことを尋ねたりすることができない。
3□ 人の話を注意して聞き、相手にわかるように話すことができない。
4□ 挨拶することができない。
書く
1□ 文字に興味を持つことができない。
読む
1□ 絵本や物語などに親しみ、興味をもって聞いたり想像したりすることができない。
U 小学校2学年進級時〜1学期(「小1程度修了レベル」の達成度を調べる)
聞く・話す
1□ 順序を考えて話すことができない。
2□ 大事なことを落とさないように聞き取ることができない。
3□ はっきりした発音で話すことができない。
書く
1□ 平仮名を書くことができない。
2□ カタカナを書くことができない。
3□ 漢字を書くことができない。
4□ 簡単な文を書くことができない。
読む
1□ 平仮名を読むことができない。
2□ カタカナを読むことができない。
3□ 漢字を読むことができない。
4□ 順序を考えながら読むことができない。
5□ 声に出して読むことができない。
V 小学校3学年進級時〜1学期(「小2修了レベル」の達成度を調べる)
話す・聞く
1□ 順序を考えながら相手にわかるように話すことができない。
2□ 大事なことを落とさないようにしながら興味をもって聞くことができない。
3□ 話題に沿って話し合うことができない。
4□ 姿勢、口形などに注意してはっきりした発音で話すことができない。
書く
1□ 長音、拗音、促音、撥音などを書くことができない。
2□ 「は・へ・を」を正しく使うことができない。
3□ 句読点や、かぎカッコを使うことができない。
4□ 漢字を文の中で使うことができない。
5□ 主語や述語に気をつけて文を書くことができない。
読む
1□ 長音、拗音、促音、撥音などを読むことができない。
2□ 「は、へ、を」などを正しく読むことができない。
3□ 場面の様子などについて想像を広げながら読むことができない。
4□ 語や文のまとまりを考えながら読むことができない。
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62
W 小学校4学年進級時〜1学期(「小3修了程度レベル」の達成度を調べる)
話す・聞く
1□ 筋道を立てて話すことができない。
2□ 話の中心に気をつけて聞くことができない。
3□ 互いの考えの相違点や共通点を考えながら話し合うことができない。
書く
1□ 学年相当の漢字を書くことができない。
2□ 送り仮名に注意して書くことができない。
3□ 文と文のつながりを考えながら書くことができない。
読む
1□ 学年相当の漢字を読むことができない。
2□ 場面の移り変わりや情景を想像しながら読むことができない。
3□ 内容の中心や場面の様子がわかるように声に出して読むことができない。
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-63-
学習達成基準(算数)
*該当学年の当てはまる項目の□にレ印をつけて下さい。1項目でもレ印がついた場合は、前学年
の項目も同様に行って下さい。何か気になることがあれば、自由記述欄に書いてください。
<自由記述欄>
T小学校1学年入学時〜1学期(「幼稚園の年長・年中レベル」の達成度を調べる)
・・・小学校1学年3学期(「小学校1年1学期程度」の達成度を調べる) *
。 数と計算 ※/は同じ種類の問題でもレベルに差があることを示す
1□ 自分の年が言うことができない(6才または7才であること)。
2□ 具体物の数を数えることができない(1対1対応ができる5個まで10個まで10個以上)。 //
3□ 半具体物等利用して数の分解ができない(10以下の数で、例「5は2と3/10は6と4」)。
4□*数字が読むことができない[2桁までの数が読むことができない 例「18、56、87」]。
5□*足し算(繰り上がり無し)ができない[1桁+1桁例 「3+1/5+3」]。
6□*足し算で繰り上がりができない[1桁+1桁→2桁例 「5+5/7+4/6+8」]。
7□*引き算ができない(繰り下がり無し)[1桁−1桁例 「5−3/7−4/8−6」]。
量と測定(量の認識)
1□ 大小の比較ができない(長さ、大きさ、広さ 例「直接比較、手に取れる具体物」)。
2□ 大小の比較ができない(長さ、大きさ、広さ 例「間接比較、手に取れない物」)。
図形(図形認識)
1□ 単体の基本的な図形の名前・形の特徴が言うことができない(「三角、四角、丸」)。
2□ 身の回りのものの形の名前・形の特徴が言うことができない(「三角、四角、丸」)。
3□*基本的な形(「三角、四角等」)を作ることができない・分解できない・箱がわからない。
4□*体を動かすことができないし、方向・位置がわからない(上下、左右、前後)。
推論
1□ 架空の状況が頭の中に設定できない。
2□ 原因と結果が区別できない[熊さんが頭に包帯、熊さんが転んだ、どっちが先でしょうか]。
、。 3□ 推論できない[タイプ(絵がある):お皿1枚で饅頭3個ではお皿2枚では何個でしょうか] 1
、。 4□*推論できない[タイプ(絵がある):熊さんが森を歩いていますが次に誰に会うでしょうか] 2
U 小学校2学年進級時〜1学期(「幼稚園の年長・小1修了レベル」の達成度を調べる)
小学校2学年3学期(「小2の1学期程度」の達成度を調べる) *・・・
数と計算
1□ 具体物の数を数えることができない[100個まで/100〜(500)個)]。
2□*数の分解・合成ができない(10以上の数で、例「15は10と5/20は16と4」)。
3□*数字を読むことができない[3桁例 100/106/145/204/234/678]。
4□*足し算(繰り上がり無し)ができない[2桁+1桁、2桁+2桁。例23+4/56+13]。
5□*引き算(繰り下がり無し)ができない[1桁−1桁、2桁−1桁・2桁例 7−4/36−25]。
6□*文章題(一桁の足し算引き算で繰り上がり・繰り下がり無し程度)から、立式できない。
量と測定
1□ 大小の間接比較ができない(長さ、かさ、広さの間接比較例 「定規の利用」)。
2□*単位の意味がわからない(長さの単位、//m)。 mmcm
3□*時刻を読むことができない(午前と午後がわからない/長針と短針の理解ができない:時間
が読めない/分が読めない)。
図形
1□ 形を作ることができない・分解することができない。
2□ 方向・位置がわからない(上下左右前後、右斜め上、左斜め上、その他)。
3□ 基本的な図形の概念がわからない(三角形、四角形の弁別、特徴)。
推論
1□ 架空の状況が頭の中に設定できない。
。 2□ 仮定から推論ができない[山に雨が降りそうです川の水は増えそうですか減りそうですか]
3□ 問題文を読むことができない、問題の意味がわからない[条件は何か、わからないものは何
か]。
4□ 推論できない[タイプ(絵を提示せず:お皿1枚で○が6個ではお皿2枚では何個でしょう 1, )
か]。
5□*時間割の意味がわからない[次の時間、明日や他の曜日に行う授業の教科名がわからない。
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-64-
V 小学校3学年進学時〜1学期(「小2程度レベル」の達成度を調べる)
小学校3学年3学期(「小3の1学期レベル」の達成度を調べる) *・・・
数と計算
1□ 数を数えることができない[4位数、1000まで]。
2□ 数字を読むことができない[4桁例 1000/1001/1023/1104/1806/2456/7896]。
3□ 足し算で繰り上がりができない[1桁+1桁→2桁、1桁+2桁→3桁例 6+4/90+20]。
4□ 足し算で繰り上がりができない[2桁+2桁→2・3桁例「18+5/28+57/5+96/67+45]。
5□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁例 「14−5/40−8/50−30」]。
6□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁例 「45−9/83−56/100−65」]。
7□ かけ算ができない(九九の範囲1〜5の段程度)。
8□*かけ算ができない[2桁×1桁、2桁×2桁]。
量と測定
1□ 時刻を読むことができない(午前と午後がわからない/長針と短針の理解ができない:時間
が読めない/分が読めない)。
2□*単位の意味はわかるが、使うことができない(長さの単位 、、m、 )。 mmcmkm
、、、、、、。 3□*単位の意味はわかるが 使うことができない(重さの単位 かさ面積体積) mggkg
図形
1□ 基本的な平面図形の性質がわからない(直線、辺、頂点)。
2□*基本的な図形概念がわからない(三角形、四角形、正方形、長方形の弁別、特徴)。
推論
1□ 架空の状況を頭の中に設定できない。
、。 2□ 原因と結果の関係がわからない[熊さんが頭に包帯熊さんが転んだどっちが先で理由は]
、。 3□ 問題文を読むことができない問題の意味がわからない[条件は何かわからないものは何か]
4□ 推論できない[タイプ:1枚の時3個、2枚の時6個 では3枚の時はいくつと考えられま 3
すか]。
W 小学校4年以上(4年以上のLDについては、T〜Vを利用することが考えられる)
小学校4学年3学期以降〜(「5年以上」の達成度等の調査項目、必要度やや下がる) *・・・
数と計算
1□ 数を数えることができない(1000以上)。
2□ 足し算で繰り上がりができない[2桁+2桁→3桁、それ以上]。
3□ 引き算で繰り下がりができない[2桁−1桁・2桁、3桁−1桁・2桁・3桁、それ以上]。
4□ かけ算ができない(九九の範囲6〜9の段)。
5□*かけ算ができない[2桁×1桁・2桁、3桁×1桁・2桁・3桁、それ以上]。
6□*わり算ができない。
7□*小数の四則演算ができない。
8□*分数の四則演算ができない。
量と測定
1□ 大小の比較ができない(長さ、かさ、広さ)。
、、、。 2□ 時刻と時間の違いがわからない時間の計算ができない(時間+時間時間−時間その他)
3□*単位の意味がわかるが計算できない(長さの単位 、、m、 )。任意単位・普遍単位 mmcmkm
4□*単位の意味がわかるが計算できない(重さの単位 、、、 かさ、面積、体積)。 mggkg
図形
1□ 形を作ることができない・分解することができない・箱がわからない。
2□ 基本的な図形概念がわからない(三角形、四角形、正方形、長方形、直角三角形の弁別、特徴)。
3□*基本的な平面図形がわからない(直線、線分、二等辺三角形、正三角形、立方体、直方体)。
4□*図形の性質がわからない(垂直、平行、直角、対角線、平行四辺形、台形)。
数量関係
1□ 資料の分類ができない(犬と猫[2種]、鳥と虫と魚[3種]、その他またはそれ以上)。
2□ 二つの数量に関係があることを見つけることができない・わからない。
3□*棒グラフを読むことができない(資料3〜4種類位、資料5種類以上)。
4□*資料から棒グラフを作ることができない(資料3〜4種類位、資料5種類以上)。
推論
1□ 架空の状況を頭の中に設定することができない。
2□ 事実から推論できない[台風が九州にきましたどのような被害があったと思いますか]。
3□ 抽象的な仮定から推論できない[どんな多角形も三角形に分けられる]。
4□*問題文が読めるが、問題の意味がわからない[条件は何か、わからないものは何か]。
5□*推論できない[タイプ:ひし形は平行四辺形、平行四辺形は四角形ならばひし形は(四角形で 3
すか)]。
--68/75--

65



文 献 名 著 者 発行年月 発 行 紹 介 文
学習障害に対する指導につ
いて(報告) 学習障害及
びこれに類
似する学習
上の困難を
有する児童
生徒の指導
方法に関す
る調査研究
協力者会議
1999年7月 文部省
学習障害の定義、判断・実
態把握基準、学習障害児に
対する指導方法、指導形態
と場が示されている。また、
学習障害の判断・実態把握
基準(試案)では、児童・
生徒の特異な学習困難に担
任が気づき、校内委員会で
の実態把握、専門家チーム
での判断というガイドライ
ンが示された。
21世紀の特殊教育の在り方
について(最終報告)〜一
人一人のニーズに応じた特
別な支援の在り方について

21世紀の特
殊教育の在
り方に関す
る調査研究
協力者会議
2001年1月 文部省
小・中学校等の通常の学級
に在籍する学習障害児や注
意欠陥/多動性障害(AD/
HD)児、高機能自閉症児
等特別な教育的支援を必要
とする児童・生徒等に積極
的に対応していくことの必
要性が提言された。
今後の特別支援教育の在り
方について(最終報告) 特別支援教
育の在り方
に関する調
査研究協力
者会議
2003年3月 文部科学省
従来の特殊教育を改革し、
新しいシステムとして、障
害のある児童・生徒一人ひ
とりの教育的ニーズに応じ
て適切な教育や支援を行う
特別支援教育へ転換するこ
とが明確に示された。
これからの支援教育の在り
方(報告)
これからの
支援教育の
在り方検討
協議会
2002年3月
神奈川県教育
委員会
神奈川県における障害児を
含めた特別な支援を必要と
する児童・生徒に対する教
育の方向と実現に向けた具
体的施策が提言された。
学習につまずきのある子ど
もたちへの校内支援に向け

2002年3月

神奈川県教育
委員会
平成12・13年度文部科学省
委嘱「神奈川県学習障害(L
D)児に対する指導体制の
充実事業」の報告をもとに
とりまとめられています。
はじめよう学習障害(L
D)児への支援
2002年1月
福岡県教育委
員会
福岡県教育セ
ンター
学習障害の理論的な側面
だけでなく、学習上の困難
性の類型に応じた指導方
法のあり方についてまと
められています。
はじめようADHDの子
どもへの支援
2003年3月
福岡県教育委
員会
福岡県教育セ
ンター
Q&A形式により、AD/
HDの特徴など理論的な
内容から具体的な支援の
方法、そして校内の支援体
制まで多岐にわたってま
とめられています。
LD・ADHD特別支援マ
ニュアル−通常クラスでの
配慮と指導−
森 孝一 2001年6月 明治図書
LD、AD/HD等の実態把
握の方法について、行動観
察を作成し、それを活用す
ることによって子どもの状
態を分析的に把握し具体的
な特別支援に結びつくよう
内容が構成されています。
引 用 ・ 参 考 文 献
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66

学習障害(LD)及びその
周辺の子どもたち―特性に
対する対応を考える―
尾崎洋一郎

2003年8月 同成社
学習障害(LD)の理解の
ための内容、対応や指導の
ヒントがわかりやすくまと
められています。
ADHD及びその周辺の子
どもたち―特性に対する対
応を考える―
尾崎洋一郎

2002年5月 同成社
AD/HDの理解のための
内容、対応や指導のヒント
がわかりやすくまとめられ
ています。
学習障害(LD)理解とサ
ポートのために 柘植雅義 2002年6月 中公新書
通常の学級で学習してい
る学習障害(LD)の子ど
もたちへの効果的な支援
のための、本人だけでなく
親や教師ら周囲も対象と
するサポート体制の構築
に向けた取組についてま
とめられています。
ADHD児を救う愛の環境
コントロール―大切なのは
心を追いつめないこと
平山 諭 2001年7月 ブレーン出版
コンパクトにわかりやすく
脳のこと、認知のこと、環
境コントロールのことが書
かれています。
読んで学べるADHDのペ
アレントトレーニング―む
ずかしい子にやさしい子育

シンシア・
ウィッタム 2002年2月 明石書店
保護者向けのものですが、
日常のAD/HDのお子さ
んとの関わり方をすぐ使え
る方法でわかりやすく書か
れています。すぐ明日から
実行できることばかりで
す。
きみもきっとうまくいく―
子どものためのADHDワ
ークブック
キャスリー
ン・ナドー
エレン・ディ
クソン
2001年6月 東京書籍
親子で読んでいける本。チ
ェックリストとその解決策
がお子さんが読んでもわか
るように具体的に書かれて
います。
DSM-W-TR精神疾患の分類
と診断の手引
American
Psychiatric
Association
2003年8月 医学書院
精神疾患の判断がわかりや
すくポイントが押さえられ
ています。
図解雑学 臨床心理学 図
解雑学シリーズ
松原 達哉 2002年5月 ナツメ社
臨床心理の様々な状況を図
解入りで1ページにまとめ
られていて、ここから専門
書へ移ると良いと思いま
す。
光とともに…(1)〜(5)
戸部けいこ 2003年4月 秋田書店
マンガの本です。自閉症児
を持つ母親の子育て奮闘
記。自閉症理解のため子ど
もにも先生にも読んでほし
い本です。
高機能自閉症・アスペルガ
ー症候群入門―正しい理解
と対応のために
内山登紀夫
(編)
2002年3月

中央法規出版
対応方法が具体的に示さ
れ、障害についても理解し
やすい。本人告知について
もふれられています。
自閉症スペクトル―親と
専門家のためのガイドブ
ック
ローナ
ウィング
1998年11月 東京書籍
高機能やアスペルガーも
含めた自閉症の新しい概
念についてわかりやすく
説明されています。
ガイドブック アスペルガ
ー症候群―親と専門家の
ために
トニー
アトウッド
1999年8月 東京書籍
アスペルガー症候群につ
いてのゆたかな紹介と具
体的な対応のヒントが満
載です。
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67

あなた自身のいのちを生
きて―アスペルガー症候
群、高機能自閉症、広汎性
発達障害への理解
グニラ
ガーランド
2003年7月
クリエイツか
もがわ
本人自身の手記です。
アスペルガー症候群と高
機能自閉症―その基礎的
理解のために
ゲーリー
メジホフ 2003年9月
エンパワメン
ト研究所
TEACCHから出され
たアスペルガー、高機能自
閉症についてのテキスト。
ぼくのアスペルガー症候
群―もっと知ってよぼく
らのことを
ケネス
ホール
2001年12月 東京書籍
子どもが読める、本人の手
記。アスペルガー症候群の
世界が子どもの言葉で書
かれています。
ぼくのこともっとわかっ
て!アスペルガー症候群―
小・中学校の事例と医師か
らの解説 健康双書―全
養サシリーズ
全国養護教
諭サークル
協議会
2003年8月
農山漁村文化
協会
現場の養護教諭が入学から
卒業まで関わり、校内支援
体制を築き、専門機関とも
連携しながら子どもの成長
を助けた実践の記録です。
ADHD、LD、HFPDD、軽度MR
児保健指導マニュアル―
ちょっと気になる子ども
たちへの贈りもの
小枝達也
加我牧子他
2002年7月 診断と治療社
著者はすべて医師だが、学
校や家庭でどんな支援が
できるかを具体的に記し
てあるのでわかりやすく、
すぐ力になり、一冊手元に
置きたいものです。
プロジェクトアドベンチ
ャーの実践 対立がちから
に―グループづくりに生
かせる体験学習のすすめ
ウイリアム・
J. クレイド
ラー
2001年12月
C.S.L.学習評
価研究所
コミュニケーション能力
を身につけるために役に
立ちます。
アスペルガー症候群と高
機能自閉症の理解とサポ
ート―よりよいソーシャ
ルスキルを身につけるた
めに ヒューマンケアブ
ックス
杉山登志郎 2002年12月 学習研究社
日々関わる人が知ってお
きたいサポートのポイン
トがしぼって書いてあり
ます。
教室で行う特別支援教育
育てるカウンセリングに
よる教室課題対応全書
月森久江

2003年6月 図書文化社
長所活用で発達の障害を
のりこえ、発達を促進する
支援について書かれてい
ます。
教師のためのカウンセリン
グワークブック
菅野 純 2001年2月 金子書房
学校カウンセリングの考え
方や技法、特別な配慮を要す
る子どもたちと保護者への
働きかけのノウハウがワー
クシートで自習できます。
石隈・田村式 援助シートに
よる チーム援助入門―学
校心理学・実践編
石隈 利紀
田村 節子
2003年3月 図書文化社
援助チームシート・援助資
源チェックシートを使っ
て、子どものいいところ、
強いところを発見。「チーム
援助」実践のすすめ。
ADHDの明日にむかって
認め合い・支え合い・赦し
あうネットワークをめざし

田中康雄 2001年10月 星和書店
介入・連携の戦略、安定した
生活の枠組み作り、「ADH
D眼鏡法」など、未来への展
望ある現実的な対応のヒン
トに励まされます。
この星のぬくもり
自閉症児のみつめる世界 曽根富美子

取材協力
森口奈緒美
1997年12月 ベネッセ
ご本人と保護者の話を参考
に描かれたマンガ。強いスト
レスと恐怖のためにパニッ
クを起こしてしまうことが
よくわかります。自閉症児の
世界が理解できる一冊です。
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平成14年度・15年度
「AD/HD・高機能自閉症と思われる児童・生徒への特別な支援のあり方研究」
調査研究協力員会
<助言者>
所属職名氏名備考
関戸英紀平成15年度 横浜国立大学助教授
諏訪利明平成14、15年度 海老名市立わかば学園学園長
<調査研究協力員>
所属職名氏名備考
鎌倉市立西鎌倉小学校教諭養田和香代平成14、15年度
藤沢市立鵠沼小学校養護教諭南辻恵子平成14、15年度
平塚市立江陽中学校教諭田邊裕美平成14、15年度
真鶴町立真鶴中学校校長犬丸克彦平成14、15年度
愛川町立高峰小学校校長滝本かな子平成14、15年度
城山町立川尻小学校松元喜久枝平成14年度 教諭
相模湖町立千木良小学校中田早苗平成15年度 教諭
相模原市立橋本小学校教諭戸田淑子平成14、15年度
湘南養護学校梅原美香平成14、15年度 教諭
藤沢市教育委員会
指導主事天利智子平成14年度(現障害児教育課)
葉山町教育委員会小林恭子平成15年度 指導主事
愛甲教育事務所小川朋子平成14年度 指導主事
田所健司平成15年度 愛甲教育事務所指導主事
義務教育課中林由美子平成14年度 指導主事
山近佐知子平成15年度 義務教育課指導主事
障害児教育課安藤正紀平成14年度 指導主事
吉野雅裕平成15年度 障害児教育課指導主事
<総合教育センター>
所属職名氏名備考
柏木雅彦 総合企画課主査
鈴木孝雄 人材育成課教育指導員
研究開発課研修指導主事林正直
教育相談課研修指導主事山口秀子
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おわりに
多くの方々の御協力と御助言のおかげで「ティーチャーズ・ガイド」という形で 、
研究をまとめることができました。本調査研究ではAD/HD・高機能自閉症と思われ
る児童・生徒の通常学級における現状の把握、問題点及び課題の整理を行いました。
さらに通常の学級に在籍している特別な支援を必要としている児童・生徒に対して、
その行動特性の背景を探り、行動の見立てや具体的な支援方法等について、校内支援
システムと関係づけながら研究を行って参りました。その中でLDについても理解や
、。 その支援方法等について検討し一緒にまとめていく方が有意義であると考えました
学級・学校で支援の輪が広がり、子どもたちにとって過ごしやすい・学びやすい学
校となりますよう願いを込めて2年間の研究成果をまとめましたが、支援のあり方を
探る先生方のお役に立てるものになっているか心配ではあります。様々な御感想、御
意見をいただき、今後さらに充実したものにしていけるよう努力していきたいと思っ
ています。
また、記述についてお気づきの点がありましたら、担当までお知らせいただければ
ありがたく存じます。
最後に、海老名市立わかば学園の諏訪利明学園長には、今言葉が先行している感の
あるLD、AD/HD、高機能自閉症についての正確な理解や捉え方について的確な
御助言をいただき、また横浜国立大学の関戸英紀助教授には、LD、AD/HD、高
機能自閉症児への対応、具体的なかかわり方について多大なる御示唆をいただきまし
た。あらためて心から感謝の意を申し上げます。
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LD、AD/HD、高機能自閉症の理解と支援のための
ティーチャーズ・ガイド


発行日 平成16年1月30日

発行者 鈴木 宏司

発行所 神奈川県立総合教育センター

〒251-0871 藤沢市善行7−1−1

電話 (0466)81−1659 (研究開発課 直通)

ホームページ http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/
--74/75--


県章神奈川カリキュラムセンター(善行庁舎)
〒251-0871 藤沢市善行7-1-1
TEL (0466)81 -0188
FAX (0466)84 -2040
教育相談センター(亀井野庁舎)
〒252-0813 藤沢市亀井野2547-4
TEL (0466)81 -8521
FAX (0466)83 -4500
神奈川県立総合教育センター
ホームページ http://www.edu -ctr.pref.kanagawa.jp/
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